『X-MEN: ダーク・フェニックス』はクライマックスにして集大成 ─ 監督「本物の喪失や痛みを描く、今までとは違う作品に」

先日、映画『X-MEN』シリーズの最新作『X-MEN: ダーク・フェニックス』の予告編が公開された。ソフィー・ターナー演じるジーン・グレイの別人格“ダーク・フェニックス”が覚醒し、世界やX-MENにとって最大の脅威となる…。コミックの有名エピソード「ダーク・フェニックス・サーガ」を原案とする本作は、史上最もダークなX-MEN映画になるという。
脚本・監督を務めるのは、『X-MEN』シリーズで脚本・製作を担当してきたサイモン・キンバーグ。本作が監督デビューとなるが、シリーズを知り尽くしているがゆえ、その熱の入りようは尋常ではない。第1作『X-メン』(2000)から19年、キンバーグ監督は本作を「クライマックス」であり「集大成」だと豪語するのだ。
「これまでのX-MENとは違う」
このたび公開された『X-MEN: ダーク・フェニックス』の予告編について、米Entertainment Weeklyにて、キンバーグ監督は「これまでの『X-MEN』とは違うということを示したかった」と話している。
「ショッキングなことや激しい出来事、ドラマティックなことが起こる。リアリティのある映画、決して良くはない事態が待っている映画です。そしてそれ以上に、(予告編では)ジーン・グレイ/ダーク・フェニックスが全員にとって本当の脅威であるということを示したいと思いました。」
ジーン・グレイは自分自身の力を制御できず、世界に危険をもたらし、身近な人々を傷つけていく。“ダーク・フェニックス”として目覚めた彼女は、世界最強にして最悪の存在としてX-MENの前に立ちはだかるのだ。監督は「ジーンが壊れてしまい、コントロールを失ったことを的確に描くには、本物の喪失や痛み、恐怖、脅威を描かなければなりませんでした」と話している。また、「X-MENがバラバラになることも描きたかった」とも。
仲間であるはずのジーンは、なぜ自分たちの脅威となってしまったのか。その存在にどうやって向き合えばいいのか。キンバーグ監督は、本作に「友人が敵になり、敵だった人物が味方になる」展開が待ち受けていることを明かしている。ちなみにスコット・サマーズ/サイクロップスとチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXは、ジーンを救うべく手を組んで行動するようだ。
「スコットにとってジーンは最愛の人、チャールズにとっては娘のような存在です。チャールズはジーンを少女のころから知っているし、彼女の問題に責任を感じているんです。ジーンの人生にとって間違ったことをしてしまったのではないかって。」

同時に監督は、「X-MENがバラバラになっている時、ジーン自身もバラバラになっている」と話している。本作でジーンを描くにあたって、監督は統合失調症や解離性同一性障害を参考にしたとのこと。演じるソフィーも疾患についての研究を重ね、“頭の中であちこちから声が聞こえる”という状況を体験し、それが人間の精神にどんな影響を与えるかを理解するため、ヘッドホンで数々の声を聞きながら日常的に街を歩いたそうだ。
「この映画には暗喩的な部分があると思います。もしもあなたの近しい人や家族が、ドラッグや精神的な問題、あるいはもっとささいな出来事によってコントロールを失ってしまったら、あなたはどこかで彼らを諦めてしまうのか。どれくらいの間、彼らに希望を持ち続けられるのか。」
『X-MEN』シリーズの集大成、クライマックスに
「これまでの『X-MEN』とは違う」と述べたキンバーグ監督だが、本作については「ある意味での集大成だと思って取り組みました」とも言い切っている。すなわち、これまで積み上げられてきたものがあって初めて描けるストーリーだということなのだ。
「(この映画は)シリーズのクライマックスです。メイクのテストをしている時、雰囲気を作るために、ドアーズの“The End”を流しました。あらゆる物語や、これまで長い時間をかけて作り上げてきた関係性が最高潮を迎えるんだと。
みなさんが(X-MEN)ファミリーと20年間一緒に過ごしてきたなら、この映画ではファミリーが本当に試される、バラバラになるところを見ることになります。[中略]危機、試練、喪失、そういった感覚があるんです。この映画を経て登場人物がどこへ向かっていくのか、今回は本当に想像できません。」
- <
- 1
- 2