映画レビューサイトをめぐるネガキャンが話題に ─ 狙いは『ブラックパンサー』、「ヘイト・スピーチ許さない」サイト側が声明

映画の印象を大きく左右する影響力を持つ大手映画レビューサイトRotten Tomatoesをめぐって、熱心なファンがライバル映画シリーズの作品に悪評価を投稿するよう呼びかけたネガティブ・キャンペーンが話題となっている。中心となる作品は、アメリカで大変な話題を呼ぶディズニー/マーベル映画最新作『ブラックパンサー』だ。

『ブラックパンサー』は、前売りチケットの売り上げがヒーロー映画史上最高額を達成、初動興収予測は1億5,000万ドルを超えるとされる。ワールド・プレミアで先行上映を行えば批評家からは大絶賛のレビューが相次いだ。人気ラッパーのケンドリック・ラマーらを起用し、ヒップホップを大々的にフィーチャーした音楽も話題で、一般公開前にも関わらず多方面からの支持を掴んでいる。

DCファンの主張


こうしたディズニーとマーベルによる止まぬ快進撃を快く思わないのが、ライバル的ユニバースであるDCコミックス原作映画の熱心なファン(のうちのごく一部)だ。『アベンジャーズ』を中心としたマーベル・シネマティック・ユニバースが隙のない成功を続けるのに対し、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)や『ジャスティス・リーグ』(2017)などのDC映画シリーズ(DCEU)の置かれた立場はやや厳しい。

これを苦に思ったとあるファンが、 Rotten Tomatoes上で『ブラックパンサー』のネガティブ・キャンペーンを行うという恐るべき企画を立案。Facebook上でイベントを作成し、以下のように呼びかけた(イベントページは現在は削除されている)。

「Rotten Tomatoes上における『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の観客レビューが大絶賛であったことや、こうしたディズニーの商習慣、つまりDCEUに悪印象を与える結果となった市場操作に対し、不満の声がにわかに上がっている。ディズニーに反撃し、DCコミックスや映画、ならびに彼らの影響を被る他の当事者らを陥れる批評家を雇えなくするよう、ネズミの巣を退治する時がやってきたのではないか。私は、『インフィニティ・ウォー』やNetflix番組などに向けてこのイベントを設立する。奴らに差をつけるために集うのだ。マーベルのファンにネタバレをかましたいなら、このイベントを活用して我々に知らせてくれ!」

立案者は、以前『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)に対してもネガティブ・キャンペーンを行おうとした人物。今回は『ブラックパンサー』の悪評をRotten Tomatoesに投稿し、評判を下げようという企みだ。Facebook上では、3,700人がイベントに参加予定と回答。各メディアは「DCファンらが『ブラックパンサー』にサボタージュ」と報じていた。

このネガティブ・キャンペーンに対し、Rotten Tomatoesはどう対処したか。同サイトのスポークスマンがThe Wrapを通じ、次のように声明を発表した。

「我々Rotten Tomatoesは、エンターテイメントについて討議や話し合いをする熱心なファンのためのプラットフォームとなったことを誇り、その責任を真剣に背負っている。我々はファンの多様な意見を尊重しているが、ヘイト・スピーチは許さない。我々のセキュリティやネットワーク、ソーシャルの専門チームはサイト内をつぶさにモニタリングしており、このような活動はサイトからブロックされ、コメントも即座に削除される。」

 

トマトメーターは正しいか?

「つまらぬ舞台には腐ったトマトを投げる」光景が名の由来となった有力サイトRotten Tomatoesでは、批評家スコアと一般観客スコアの2種類の指標が存在する。「トマトメーター」と呼ばれる批評家レビューは、肯定的な”fresh”、否定的な”rotten”(腐ってる)の二段階のどちらかに振り分けられ、その割合によって映画の評判がひと目でわかる仕組みとなっている。映画宣伝の場でも大々的に活用される機会も多く、評判を著しく左右する重要指標の一つと言える立場になっている。このトマトメーターが市井の印象と必ずしも一致しないことが多く、この度のネガティブ・キャンペーンを行ったファンはその点に我慢ならなかったのだ。

DC映画のファンは、Rotten Tomatoesが創り上げた批評システムの割を食ってきた。批評家スコアはマスコミ向けの試写を経て付けられるため、一般公開時には既にトマトが新鮮であるか腐っているかが決まっているのだ。封切り時に既に「腐った」烙印を押されてしまっていては、熱心なファンは快く思わない。過去には『スーサイド・スクワッド』の同サイトにおける悪評価に憤ったファンが同サイトの閉鎖を訴えかけたことも話題になったほどだ。この時の発起人は、以下のように主張していた。(補足させていただくが、DC作品の一般観客スコアは決して悪くなく、支持者は非常に多い。)

「批評家たちは『バットマン vs スーパーマン』や『スーサイド・スクワッド』といったDCエクステンデッド・ユニバース作品にいつもひどいレビューを寄せる。たとえ本当はすぐれた映画だったとしても、それらは人々の意見に影響を与えてしまう。」

 

当のファンが最初に嘆いた『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のトマトメーターについても議論の余地があった。賛否分かれてしかるべき内容の『最後のジェダイ』だったが、”fresh”か”rotten”の二段階でしか分けられないというトマトメーターはその性質上、こうした作品の評価を一口で表すには向かない。結果として『最後のジェダイ』トマトメーターは91%となり、一見すれば「誰もが大絶賛」の印象を放っているが、その隣で一般観客によるスコアは48%と半数を割っている。(記事公開時点)

どうやら当のネガティブ・キャンペーンを立案したファンは、ディズニーが何らかの操作を行ってマーベルやDC作品のトマトメーターを左右できるよう仕向けているのではと考えたようだ。これに対しRotten Tomatoesは、評価を意図的に変更することはないとし、全てそのままの声を掲載していると断じている。

Source:https://www.thewrap.com/alt-right-facebook-group-wants-to-sabotage-black-panther-rotten-tomatoes-score/

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THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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