映画『ブレイド』、当時スタジオが白人にすり替えようとしていた ─ 脚本家が拒否の結果、ウェズリー・スナイプス主演に

マーベル・コミック原作のヴァンパイア・ホラー・アクション映画『ブレイド』シリーズの人気は、主演の黒人俳優ウェズリー・スナイプスの魅力によるところが大きい。同シリーズは、第一作目が1998年に米公開、続編『ブレイド2』が2002年に、『ブレイド3』が2004年に米公開。シリーズ三部作が完結されるまでの人気を誇った。

ところが制作当時、ウェズリー・スナイプスが演じた主人公ブレイドが、スタジオの意向のため白人俳優にすり替えられる可能性があったのだという。シリーズ誕生から20年、脚本を務めたデヴィッド・S・ゴイヤーがEntertainment Weeklyにて明かした。
「白人にできないか」
デヴィッドの記憶によれば、監督は当初『ブレイド』をスタジオ側に提案する際、三部作とする必然性を「黒人ヴァンパイア版の『スター・ウォーズ』」という表現で説明したという。人間とヴァンパイアの混血である主人公ブレイドについて、「人種問題を破壊的なやり方で取り扱う」、つまり、人間とヴァンパイアという2種に属しながら、その両方からも受け入れられない、という皮肉まで描く必要性を考えていた。
ところがスタジオ側の返答は、「ブレイドを白人にできないか」というものだった。結果から見れば明らかなように、デヴィッドはこれを断固として拒否。そもそもブレイドは、原作コミックでも黒人男性として描かれてきているのである。デヴィッドは、「どう考えても絶対にできません。それはひどすぎる、無理です」と返したのだった。
この記事がEntertainment Weeklyに掲載されてからおよそ1週間、今度は主演のウェズリー・スナイプスが別のインタビューにて本件にコメント。件の記事について直接尋ねられると、「(事実について)僕も知りませんでした。その記事は読みましたよ」と答え、「ハリウッドめ!」と嘆いた。もしも白人版になっていたら?と尋ねられると、「(自身のものに比べて)イケてなかったと思うな!間違いねぇ!」と笑って答えている。
90年代後半から00年代前半にかけ、現在のアメコミ映画ブームに先駆けて展開されていた『ブレイド』シリーズの復活(具体的には、マーベル・シネマティック・ユニバースへの合流)を望む声は多く、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが「いつかね」と希望を持たせているほか、『スパイダーマン:ホームカミング』ジョン・ワッツ監督も参戦を熱望。ウェズリー・スナイプス自身も、「共演してほしいということだったら喜んでやりたい」とスタンバイしている状態だ。