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『スポットライト』監督、マーベル映画批判に「いろいろな映画があって良いじゃないですか」

スティルウォーター
© 2021 Focus Features, LLC.

マーティン・スコセッシやリドリー・スコットといった巨匠映画監督らが、マーベルやDCといったスーパーヒーロー映画を批判するような発言が、近年取り沙汰されている。たとえばスコセッシが「あれは映画じゃない、よくできたテーマパークだ」と言えば、リドリー・スコットは「あんなものはクソくだらない」と、ドゥニ・ヴィルヌーヴは「他作品のコピー&ペーストに過ぎない」、ジェームズ・キャメロンは「壮大とは思えない」と、それぞれの視点から辛辣な言葉で表現している。

もちろんこうした批判に対する反論もあって、例えば俳優ステラン・スカルスガルドは「マーベル映画はあるべきだと思う」と、スパイダーマン役のトム・ホランドは「スケールが違うだけで、(スーパーヒーロー映画も)本物の芸術作品」と支持している。

こうした「マーベル映画論争」について、『スポットライト 世紀のスクープ』(2015)でアカデミー作品賞を獲得したトム・マッカーシー監督はフラットな考えと共に俯瞰しているようだ。マッカーシー監督は『スポットライト』といった社会派のタイトルのほか、『扉をたたく人』(2008)のようなヒューマンドラマも得意とし、さらに『名探偵ティミー』(2020)のような全年齢向けの、いわゆるエンタメ作品も手がける幅広い感性の持ち主。最新作『スティルウォーター』は2022年1月14日より日本公開となっているが、こちらは娘の無実を証明するために、異国の地で奮闘する父親の姿を描いたサスペンス・スリラー。そこには社会的・政治的なメッセージも込められている。

監督の代表作『スポットライト』にも、スーパーヒーロー映画でお馴染みのマーク・ラファロやマイケル・キートンが出演しているし、『スティルウォーター』主演のマット・デイモンも、『マイティ・ソー /バトルロイヤル』(2017)にチラリと姿を見せている。この話題についてTHE RIVERは、マッカーシー監督に尋ねてみた。

「マーティン・スコセッシがThe New York Timesに書いていた記事は素晴らしかったと思います。彼が言っていることは、いろいろな人が言っていることと同じですね」とマッカーシー監督は話す。「私は、様々な映画があるべきだと思います。マーベル映画の出来はとんでもなく素晴らしいですし、役者たちも素晴らしいし、監督たちも素晴らしい。技術的なサポートも素晴らしいし、莫大な資金がかかっていますし、すごくうまく出来ていると思います。多くの観客の共感を得ていますよね。良いじゃないですか。映画が増えれば観客も増える」。

続けて、「いろいろな映画があって良いじゃないですか」と朗らかに答えてみせる監督。「(マーベル映画は)シネマじゃないって?どうなんでしょう。それはシネマの定義によりますよね。そりゃ、楽しめない、観ちゃいられないって人もいるでしょう。私は好きですよ。楽しみたいですもん。」

「もちろん常に観ているわけではありませんので、私も全作観ているわけではありません」としながら、マーベル映画には「非常に良い作品が何作かある」と支持。「私にもスーパーヒーロー映画に出演している友人がたくさんいます。素晴らしい仕事をしていると思いますよ。おっしゃる通り、マット(・デイモン)も『マイティ・ソー』に登場していますしね」と、ヒーロー映画で活躍する友人たちを称えた。

「つまり、みんなクリエイティブ的にやりたい事をやっていけばいいんですよ。私は素晴らしい映画が作られていることをリスペクトしていますし、支持しています。でも、そういう映画ばかりが市場を独占してしまうという恐れがあるのもわかります。それは良くないよねって思いますけど。より物静かなヒューマンドラマや、政治的・社会的に一石投じるような映画のための余地があって欲しい。コメディも、ラブコメも、私はすべての映画を愛していますから。

映画には多様性があって欲しいですね。人種とかジェンダーとかっていう意味じゃなくって、ストーリーテリングの種類という意味での多様性です。きっとそういう闘いは続いていって、映画はしかるべき観客を見つけていくんだと思います。」

スティルウォーター
© 2021 Focus Features, LLC.

マッカーシー監督は『プーと大人になった僕』(2018)『くるみ割り人形と秘密の王国』(2018)で脚本を手がけるなど、マーベル・スタジオの親会社ディズニーとの仕事も既に複数回こなしている。それでは、いつか自分自身でスーパーヒーロー映画を作ってみたいとは考えているだろうか?そう聞いてみると、少し考えてから「スーパーヒーロー映画の中で何かオリジナルな事を発信できるかが分からない」と回答。もっとも、自分の中で納得できるものがあれば、やぶさかではないようだ。

ストーリーがオリジナルなものであれば挑戦してみたいですね。私にとってはそれが大切なんです。『スティルウォーター』のような映画も、何かオリジナルな事をやりたくて、新しいストーリーを語ろうと努めました。それこそシネマを作ろうとね。そこに刺激を受けるんです。

なので、『絶対にない』とは言いませんが、『オリジナリティがある』『自分のオリジナリティを持ち込める』という条件であれば、やってみたいです。」

トム・マッカーシー監督の最新作『スティルウォーター』は、2022年1月14日、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開。

監督のフルインタビューはこちら

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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