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なぜニッケルバック?『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』ED曲の理由がコレ

ディック・ロングはなぜ死んだのか?
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ニッケルバック(NICKELBACK)と聞くと、洋ロックファンは微妙な反応をする。

カナダのロックバンドで、ボーカルのチャド・クルーガーの野太い歌声が特徴的。「サムデイ」「フォトグラフ」など良曲は多く、実際に大ヒットの実績も多い、名実ともに世界的ロックバンドだ。

それなのに、だ。ロックファンがニッケルバックに苦笑いをするのには不憫な理由がある。カウンターカルチャーの精神を忘れ、大衆に迎合したくだらない曲ばかりを作っているとされ、「商業ロック」とか「量産型」とか「安っぽい」とか、さんざんに言われているのだ。「世界で最も嫌われているバンド」とも呼ばれているから、難しい。最近では、デッドプールにまでコケにされてしまっており、登場人物に「耳で聴くゴミ」とまで言われている。

そんなニッケルバックの代表曲「ハウ・ユー・リマンド・ミー」を、わざわざエンディング曲に起用した映画がある。2020年8月7日より公開中の『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』だ。監督は、死体のダニエル・ラドクリフが屁をこいて海を渡る『スイス・アーミー・マン』(2016)で奇想天外な才能を見せたダニエル・シャイナート。

監督は、ニッケルバックのことが「最も嫌いなバンドのひとつ」だと言っている。バンド仲間の死を描く『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』で、どうしてそんなニッケルバックの「ハウ・ユー・リマンド・ミー」を起用したのか?

「(劇中の)ジークやアールは、大多数の人物が共感できない人物だけど、映画を観ていると不思議と彼らに共感していくように構成を練ったんです。だから、僕も最も嫌いなバンドのニッケルバックの曲をあえてエンディングに使う事にしたんです。映画を観たあとにニッケルバックを聞くと、ジークやアールへ共感したのと同じように、良く聞こえてくるんです」。これでは擁護しているのか貶しているのか分からない……。

「それに、今回使用した『ハウ・ユー・リマンド・ミー』は過去の過ち・やってしまった事への後悔を歌う歌詞で、取り返しのつかない事をやらかしてしまったジークとアールの心情をそのまま表しているから、これ以上にない程ピッタリな曲だったんです。この映画を観て、少しでも「ニッケルバック」を好きになって欲しいと思ってます!」やっぱりちょっとディスってる……?

こちらが『ハウ・ユー・リマンド・ミー』のミュージック・ビデオ。2001年の作品だから、当時の懐かしい思いが蘇るファンも多いことだろう。同曲は、ボーカル チャドの当時の妻アヴリル・ラヴィーンがカヴァーして、映画『ONE PIECE FILM Z』(2012)主題歌に使われていたこともあった。

ちなみに監督はTHE RIVERとのインタビューで、同曲の使用について「予算面に関しては慎重に確認していました。結果的にそれほどかかりませんでした(笑)」と明かしている。「予算が余ったので、『クリードもステインドもP.O.Dも使える!』と。結果的に個性溢れるバンドの楽曲が集まって、凄く興奮しました」。3ドアーズ・ダウンやリンプ・ビズキットからは断られてしまったとか。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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