ディズニーのフォックス買収、業界人はどう見た?ライアン・レイノルズ、ジェームズ・ガン、『デッドプール』『キングスマン』原作者ほか

米ウォルト・ディズニー・カンパニーによる21世紀フォックス社の事業買収は、全世界に大きな衝撃を与えている。2017年11月に第一報が伝えられてはいたものの、まさか現実の出来事になろうとは、最初の時点でどれだけの人が想像していただろうか……。
この動きに敏感に反応していたのが、映画『デッドプール』(2016)で主演・製作を兼任したライアン・レイノルズだ。“過激なヒーロー映画”路線を開拓した人物として、ディズニー傘下に収まるかもしれないという複雑な思いがあったのだろうか。
2017年12月14日の公式発表に次いで、映画・コミック業界の重要人物たちが、次々に買収報道へのコメントを発表している。
ディズニー/フォックス、両陣営のクリエイターが反応
ディズニーによるフォックス買収交渉の第一報、そして交渉再開の報道の際に彼らしい……いや、“俺ちゃん”ことデッドプールらしいユーモアを示してみせたのがライアン・レイノルズだ。このたびの正式発表に対しては、シンデレラ城を背景に連行されるデッドプールの画像を添付してコメントしている。
Apparently you can’t actually blow the Matterhorn. pic.twitter.com/2bEAAcZrUv
— Ryan Reynolds (@VancityReynolds) 2017年12月14日
「どうやら、マッターホーン(・ボブスレー ※編注:ディズニーランドのアトラクション)を吹っ飛ばすことはできないらしい。」
この“20世紀フォックス側”であるライアンのツイートに反応したのが、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(2014, 2017)を手がけた“ディズニー側”の映画監督ジェームズ・ガンだ。
I love that you had this photo ready to go, @VancityReynolds. This dude is PREPARED. https://t.co/FunC53qr2K
— James Gunn (@JamesGunn) 2017年12月14日
「この写真を投稿するために用意してたところが大好き。こいつ、準備してたぞ。」
もちろん、大のマーベル・ファンで知られているジェームズ監督も、このたびの公式発表ではTwitterにて感想を記している。ライアンと違うのは、とにかく彼が喜んでいるらしいところだ。
While there are many aspects to Disney’s acquisition of 21st Century Fox’s assets, I am personally incredibly happy about it, for obvious reason.
Welcome home, old friends. 😭 https://t.co/MpQHEnOTVL
— James Gunn (@JamesGunn) 2017年12月14日
「ディズニーによる21世紀フォックスの事業買収にはいろんな面があるけれど、僕は個人的に、ある理由からとてもうれしいです。おかえりなさい、古い友人たち。」
ちなみにジェームズ監督は、筋金入りのファンらしい投稿でさっそく映画ファンを煙に巻いてもいる。「僕のオフィスの隣に近づいてるのを見たよ」というコメントとともに添付されているのは、コミック「X-MEN」に登場する正体不明の生物ドゥープの画像だ。
Just saw this guy pulling up next to my office. pic.twitter.com/7oH9kjrR4D
— James Gunn (@JamesGunn) 2017年12月14日
『キングスマン』『デッドプール』原作者の反応
一方、映画業界に完全に身を置いていないからだろうか、コミック関係者の反応はやけに冷静なものだったりもする。
20世紀フォックスが製作した映画『キングスマン』(2014)の原作者マーク・ミラーは、「ディズニーにとっては有益。フォックスにとっては、尋常じゃない官僚政治が創作に入り込んできて有害」とツイート。さらに「プロジェクトに対して努力するスタジオが減るのは才能にとっても有害。この件の良い部分が見つからない。『デッドプール』みたいな見事なギャンブルはディズニーにはありえない」と断じたのだ。
Good for Disney, bad for Fox as extra levels of bureaucracy creep into creative. Also bad for talent as agents have one less studio bidding for projects. I see zero upside to this, beautiful gambles like Deadpool never happening at Disney. https://t.co/pGJjDbC8YN
— Mark Millar (@mrmarkmillar) 2017年12月14日
マーク氏の連続ツイートはこれだけにとどまらず、「フォックスでX-MEN/ウルヴァリンの打率はすごく高い。9本中6本がいい出来だ。ただし、今では使い尽くされて再充電が必要。ディズニーは新鮮なスタートを切る助けになるだろう」と記してみたり、やがて全キャラクターが合流することになりそうなマーベル・シネマティック・ユニバースについても「キャラクターが多すぎると主な観客層が入り込めない。マーベルのシンプルさは最高の強み」だと述べて、「もし5年前にX-MENとファンタスティック・フォーが手元にあったら、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『アントマン』(2015)は作られたでしょうか?[中略]これ以上ユニークなプロジェクトが失われないことを望みます」と主張したのだ。さて、あなたはどう思う……?
一方、ライアン・レイノルズと同じく報道の初期段階から自身のスタンスを明言していたのが、『デッドプール』原作者のロブ・ライフェルド氏だ。今回も米Comicbook.comの取材に対して、こんな皮肉交じりの声明を発表している。
「(ディズニーCEOの)ボブ・アイガーは、こんな空前の歴史的成功を、偶然ディズニーにもたらしたわけではありません。彼はやってのけたんです。彼は文化を理解しているし、より大切なことに、ファンの心配を理解していますよ。
デッドプールの話題は、報道が出てからすぐに高まっていますし、正直言って、どうしてライアン・レイノルズがデッドプールで成功したことにちょっかいをかけるんでしょうね? 会う人みんなが、彼らはライアンのデッドプールを去勢したやつを求めてるんだって真っ先に言いますよ。ですから、アイガーは信頼の基盤を築くことが賢明ですし、個人的にもありがたいですね。それがデッドプール・ファンの心配を軽減しますから。」
そんな中、フォックス製作の長寿アニメ『ザ・シンプソンズ』(1989-)の脚本家であるジェームズ・L・ブルックス氏は、同作のアニメーションを手がけるマット・グレイニング氏のイラストとともにこんなコメントを寄せたのだった。
Simpsons say “hi” to Mickey with respect (he’s a lot older than we are) pic.twitter.com/bD6wTZebas
— james l. brooks (@canyonjim) 2017年12月14日
「シンプソンズは、敬意を込めてミッキーに“ハイ”と言いますよ(彼は私たちよりずいぶん年上なんです)。」
Sources: https://www.newsarama.com/37796-industry-reactions-to-disney-fox-buyout.html
http://deadline.com/2017/12/disney-fox-merger-mark-millar-x-men-twitter-1202227125/
http://comicbook.com/marvel/2017/12/14/rob-liefeld-deadpool-disney-marvel-fox-mcu/
http://variety.com/2017/biz/news/disney-fox-merger-celebrities-react-deadpool-1202641053/
Eyecatch Image:
[Left] James Gunn Photo by Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28557194032/ )
[Right] Ryan Reynolds Photo by Gage Skidmore ( https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19569352488/ )
Remixed by THE RIVER