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『DUNE/デューン』に込められた若者へのメッセージ、主人公ポールの冒険に見る「恐怖」【会見特集3】

DUNE/デューン 砂の惑星
©2021 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

『メッセージ』(2016)『ブレードランナー 2049』(2017)などで知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が新たに手がけるスペクタクルSF映画『DUNE/デューン 砂の惑星』が、2021年10月15日(金)に公開される。これに先がけ、日本の媒体のみが参加を許された、ヴィルヌーヴ監督と主演のティモシー・シャラメによる記者会見が開催された。

『DUNE/デューン』は、ヴィルヌーヴ監督が満を持してのSF超大作。フランク・ハーバートによる同名小説に基づき、名家の後継者として砂の惑星デューンを治めていくことになる少年ポール・アトレイデスの成長譚が描かれる。

2021年8月下旬、THE RIVERはこの会見の模様をテーマ/トピックごとに整理し、計5回の連載をお送りした。このたび、これに続く連載第2弾を実施。第1弾では作品についてだけでなく、監督とティモシーのプライベートな部分もご紹介したが、第2弾では製作の舞台裏や作品のテーマ性など、『DUNE/デューン』に的を絞った内容に迫り、計3回にわたってお届けしていく。

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連載を締めくくる第3回では、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が作品を通して伝えたい若者世代へのメッセージについてだ。

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「恐怖は人の心を殺す」

上述の通り、『DUNE/デューン』は10代の少年ポール・アトレイデスの成長を通して、宇宙規模で展開される陰謀や自然の厳しさなど、様々な困難が描かれていくことになる。ポールとの年齢がより近ければ近いほど、共感できることは多くなるはずだ。

会見の場で、ヴィルヌーヴ監督は「若い方々には、ポールが歩むアイデンティティを見つけていく道のりや、世界で自分の居場所を見つけていく道のりに感動してもらえたら良いなと思っているんです」と、まさに若者世代へのメッセージを伝えている。「彼(ポール)は長い歴史の重荷を背負っているからこそ葛藤していくことになるわけですが、そうした状況でも自分の知性と好奇心、異文化に対するオープンな心を持ちながら、アイデンティティを探していくことになるんです」。

筆者は本作のレビューで、『DUNE/デューン』の世界は「環境破壊や企業の搾取、先住民問題といった社会問題を抱えた現代へのアナロジーとして通じるところも多分にある」と記した。まさに実世界が反映されたような本作で、現代に生きる若者世代はポールに自分の姿を重ねあわせることになるのではないかと思う。

また、これは原作小説でも大きなテーマの1つとして描かれていることではあるが、ポールが歩む道のりの中で最大の障壁になるのが、“恐怖”そのものだ。原作でのポールは「恐怖は人の心を殺す(Fear is a Mindkiller)」という自己暗示のような言葉を繰り返し自分自身に問いかけるが、この世界における一番の敵は恐怖なのである。それは、実世界に生きる若者世代にとっても同じことではないだろうか。

1995年生まれ、現在25歳の主演ティモシー・シャラメも若者世代に分類されるだろう。そんなティモシーも本作でポールが対峙していく“恐怖”について会見の場で語ってくれていた。「ポールの恐怖はいっぱいあると思うんです」と話すティモシーは、さらに掘り下げていく。

「社会に溶け込んでいけるかといった、大人に成長していく中で経験していく恐怖や、肉体的な変化についての恐怖もあります。あと、彼はよく夢を見るんですが、夢を見る回数がどんどん増えていくにつれて、想像できないような暗い運命(dark fate)が自分に待ち受けているのではないかというような恐怖も感じていくんです。」

ティモシーはこうも話す。「この映画の最後に皆さんは、1人の若い少年がその(恐怖という)概念がどういうものなのかを理解するようになる姿を目の当たりにするでしょう」と。その内容こそ、本編を観終えてからのお楽しみだ。しかし、鑑賞の前と後では、特に若者世代にとってはそれまで感じていた何らかの“恐怖”との向き合い方が変わっていくことになるのかもしれない。

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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