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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』アイアンマンの◯◯に秘められた◯◯ ─ なぜ◯◯◯◯だったのか、監督と脚本家が完全解説

アベンジャーズ/エンドゲーム
ⒸMarvel Studios 2019

この記事には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレが含まれています。

アイアンマンへの敬意

もちろんルッソ監督やマルクス&マクフィーリーにとっても、トニー・スターク/アイアンマンの死は簡単に決断できるものではなかったという。ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの最期についても同様だ。したがって物語の結末については、トニー役のロバート・ダウニー・Jr.、ナターシャ役のスカーレット・ヨハンソンとの間で議論が重ねられた。ジョー監督は「二人以上に役柄をきちんと理解している人はいませんから」と中国・贵圈に語っている。

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なかでもロバートに対しては、『エンドゲーム』の結末について、事前の提案が行われていた。米The Hollywood Reporterにて、アンソニー・ルッソ監督は当時の様子を振り返っている。

「ロバートこそがMCUを始めた人。そしてトニー・スタークの物語は、MCUにおいて最も長く、おそらくそのすべてに跨っているものです。そんなキャラクターに終わりを用意したいと考えた時、ロバートにも納得してほしいと思いました。MCUに多大なる貢献をしてくださったわけですから。[中略]ロバートは複雑な心境だったと思いますが、最後にはすべてを受け入れてくださいました。」

『エンドゲーム』に携わっている、映画版アイアンマンの生みの親はロバートだけではない。トニーの運転手ハッピー・ホーガン役のジョン・ファブローは、『アイアンマン』『アイアンマン2』(2010)で監督を務め、『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』では製作総指揮を担った。ファブローは当初、トニーが命を落とすという展開に非常に落ち込み、また悲しんだそう。ルッソ兄弟はファブローに「正しい展開を描けば、物語は強力なものになります。この結末が今の時代には必要だと思うんです」と訴え、最後には理解を得たという。

スパイダーマン:ホームカミング
『スパイダーマン:ホームカミング』© 2017 Columbia Pictures Industries, Inc. and LSC Film Corporation. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: © & ™ 2017 MARVEL.

こうした経緯があったゆえだろう、ジョー監督は、本作の公開後、結末に対する批判が集まることも覚悟していたようだ。

多くの人がこの結末に満足せず、僕たちに怒りを抱くことは分かっています。ですが、これこそが重要な結末でした。悪が勝利することがあれば、ヒーローが勝利することもあり、栄光のためにヒーローが犠牲になることもある。これこそが人々に力を与える物語であり、希望を描くこと、本当になされるべきことを描くことだと考えています。」

「ヒロイズムを描きたかった」

ルッソ兄弟は米Entertainment Weeklyにて、「本作ではヒロイズム(英雄的行為)について描きたかった」と言い切っている。「ヒロイズムとは、時に全てを賭ける(whatever it takes)行為でもあるんです」。ジョー監督は贵圈のインタビューで、このようにも語った。

「普通、ヒーローの死はすさまじい悲劇だと考えられるもの。けれども私たちは、これはそうではないと考えています。トニーの死が希望を取り戻し、全宇宙の半分を救えたのなら、その死は力強く、また大きな意味があるもの。悲しみや怒りに溺れるべきではないのです。」

しかし、なぜガントレットを装着して指を鳴らすのはトニーだったのか。ソーやスター・ロード、キャプテン・マーベルではいけなかったのか。トニーが命を落とした時、タイム・ストーンで生き返らせることもできたのではないか。ジョー監督は、それはできない決断だったと一貫して述べている。

ドクター・ストレンジが見た1,400万の未来のうち、唯一の希望は、アイアンマンがサノスに近づき、ストーンを手に入れて指を鳴らすこと。もしもアイアンマンを救えば、サノスが勝つという運命も変えられなくなってしまいます。アイアンマンの犠牲は、たったひとつの勝利する道に必要なものでした。」

さらにジョー監督は、「ある意味でトニーは死に向かっていく運命にあり、そのことを彼自身もずっと分かっていたと思います」とも語る。

「なぜならトニーは、宇宙を救わない自分自身を絶対に許すことができないから。彼の中には常に予兆があったんです。危機が迫っていることをいつも感じていたし、いつか自分が危機に直面するとも思っていた。(悪にとって)スタークは最も恐ろしい男です。彼には強い心があるから。」(EW)

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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