『GODZILLA ゴジラ』徹底解説 ─ あらすじ、怪獣&キャスト紹介からメイキング、未公開シーンまで

我らが怪獣王、ゴジラがハリウッドからやってきた。東宝怪獣映画『ゴジラ』シリーズを米国にて再リメイクした『GODZILLA ゴジラ』は、2014年5月に米国公開され、同年7月に日本上陸。本作はレジェンダリー・ピクチャーズによる「モンスターバース」の第1作だ。その集大成『ゴジラVSコング(原題)』の公開を2021年に控え、2020年6月20日、この“はじまりの作品”が土曜プレミアムに登場する。
あまり『ゴジラ』になじみがない方にも、『GODZILLA ゴジラ』はシリーズの入門編としてうってつけ。この記事では、あらすじや解説、出演者&スタッフ情報、そして怪獣の基本情報など、さまざまなトピックをお届けしていく。『ゴジラ』シリーズの、そして本作の試みの一端をうかがい知ることができれば幸いである。
『GODZILLA ゴジラ』予告編映像
『GODZILLA ゴジラ』あらすじ
1999年、フィリピンにて炭鉱の崩落事故が発生した。調査に訪れた芹沢猪四郎博士(渡辺謙)は、事故現場の奥深くで、恐竜のような化石を発見する。そこからは、何か巨大な生き物が這い出したかのような痕跡が残っていた。同じころ、日本・雀路羅[ジャンジラ]市の原子力発電所で働く核物理学者のジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン)は、謎めいた地震の背景を探っていた。妻で技師のサンドラ(ジュリエット・ビノシュ)とともに発電所に向かうが、異常はおさまらない。突如として発生した大地震により、発電所は倒壊。周辺は立入禁止区域となってしまった。
15年後、2014年。ジョーとサンドラの息子であるフォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、軍人として成長し、爆弾処理班に従事して世界中を飛び回っていた。妻のエル(エリザベス・オルセン)、息子のサムが待つ我が家に帰った日、ジョーが日本で逮捕されたとの連絡が入る。身柄を引き取るべく日本を訪れたフォードに対し、ジョーは、政府は何かを隠している、発電所には何かがあると陰謀論を語るのだった。真相を解き明かすべく、フォードはジョーとともに立入禁止区域に足を踏み入れるもあえなく逮捕される。2人が送致された発電所を管理しているのは、特務研究機関・モナーク(MONARCH)。巨大な物体を前に、謎の解明にあたっていた芹沢はジョーの主張に耳を傾けるが、その時、15年前と同じ大地震が襲いかかる……。
『GODZILLA ゴジラ』怪獣紹介/解説
ゴジラ GODZILLA

言わずと知れた怪獣王。1954年版『ゴジラ』では、ジュラ紀から白亜紀の海棲生物がビキニ環礁の核実験で住処を追われ、海上に出現したものではないかと推測された。その後の東宝映画では、ルーツは同じではあるが、原子実験によって巨大生物として変貌したものとも説明される。しかし、本作『GODZILLA ゴジラ』では先史時代から存在したとみられる巨大生物という設定。そもそもビキニ環礁での核実験はゴジラを殺すことが目的だったとする歴史改変は、ある意味ではシリーズ史上最大の設定変更だろう。
ゴジラはシリーズを通じてしばしばサイズを変えており、本作では身長108.2メートル、体重は9万トンとなった。製作当時としては過去最大のゴジラだったが、『シン・ゴジラ』(2016)や続編『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で記録は更新されている。見た目や特徴は日本版を踏襲しつつ、やや大柄で骨太な印象。劇場公開時にはおおむね賛辞をもって受け入れられたが、一部には「ピザとコーラで太ったゴジラ」と揶揄する声もあった。これに対し、芹沢猪四郎博士役の渡辺謙は、米メディアにて「太っているとは思わないけど、ゴジラはダイエットコーラは飲まないでしょうね」とジョークをもって応じている。
日本版と同じく、武器は口から吐く放射熱線(ただし本作では、熱線の使用後に激しく消耗する様子が確認できる)。正面からの格闘や尻尾を使っての戦闘なども行う。なお、本作では「“GOD”ZILLA」すなわち神としての側面が強調されており、この解釈は続編『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)でより一層際立つことになる。
ムートー M.U.T.O.
『GODZILLA ゴジラ』でゴジラと対峙する敵怪獣。名称の「ムートー」はこの怪獣を指すものではなく、「未確認巨大陸上生物(Massive Unidentified Terrestrial Organism)」のこと。本作の前日譚コミック『ゴジラ:アウェイクニング〈覚醒〉』(ヴィレッジブックス)では、「死の群れ」と呼ばれる生物が「ムートー」と呼ばれている様子が描かれた。