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大コケ確実視された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が成功、当時の批判記事をクリス・プラットが感動スピーチに

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
Supplied by LMK 写真:ゼータイメージ

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』?そんな無名キャラクターの映画が当たるわけがない!マーベル/ディズニーはご乱心か?

2014年のマーベル・シネマティック・ユニバース映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』公開前には、少なからずこういった批判があった。今でこそ『ガーディアンズ』はすっかり人気キャラクターになったし、マーベルが無名キャラクターを映像化することも珍しくなくなったが、当時は懐疑的な声もずいぶん多かったのだ。

シリーズを大成功に導いたジェームズ・ガン監督はTwitterで、「『ガーディアンズ』が発表された時、ファンが『これ、要るか?』って言っていたのを思い出す」というファンの書き込みに反応。「キャストとクルーと僕も、よくこういう批判記事に晒されてきたよ」とツイートした。

そこでガン監督がURLを紹介しているのは、2014年の2月、まだ『ガーディアンズ』1作目が公開されていなかった頃に掲載されたネット記事だ。「『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、マーベル基準では失敗作になるだろう」というタイトルで、本作がコケて終わるはずだという見解が述べられたものである。

この記事はまず、「マーベル映画は驚異的なヒット作が続いているが、それも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で終わるだろう。この無名作では、幅広い観客に届かない」という見出しに始まり、「喋るアライグマと人間みたいな木の、無名のヒーローグループの映画。マーベルのファンがどれだけネットで予告編を再生したからと言って、興行的ヒットは見込めないだろう」と企画を批判している。

続けて、「『アイアンマン』も知名度は高くなかったが、『ガーディアンズ』ほど無名ではなかった」「コミック界では有名だったが、一般認知度はなかった『ウォッチメン』だって興行的に失敗した」「『ガーディアンズ』はPG-13レーティングなので、親が子どもを連れて行きにくい。スパイダーマンやアイアンマンと違って先行アニメもないので、子どもたちにも知られていない」など、もっともらしい根拠とともに作品の失敗を占っている。さらに記事では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の出演者たちにも魅力がないとまで論じている。

「無名スーパーヒーローを登場させるだけではなく、最善の俳優(ブラッドリー・クーパー)に声優だけをやらせる。他の実写キャストはクリス・プラット。彼は映画を牽引できたことがない。それに無名のカレン・ギラン、プロレスラーのデイヴ・バウティスタ。実際の映画スターといえば、『スター・トレック』と『アバター』のゾーイ・サルダナのみだが、この2作の成功だって、彼女のおかげだったとは言い難い。」

この記事はとにかく、無名ヒーローと無名キャストによる単独映画なんて無謀だと言いたかったようだ。最後には、「マーベルは先に『ガーディアンズ』の短編映画を公開して、キャラクターを紹介しておくべきだった」と提案している。記事は映画の失敗を確実視し、「銀河を救うためには、おそらくアイアンマンやソーの出番が必要だろう」と結んでいる。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、まだヒーローの集合映画が物珍しかった『アベンジャーズ』(2012)の大ヒット後に登場した映画で、確かに大胆不敵な企画ではあった。彼らは実際に無名キャラクターだったので、疑問視する声があったのも当然だし、当時の空気感をまだ覚えているファンも多いことだろう。

しかし蓋を開けてみれば、SFと往年のヒットナンバーを組み合わせた唯一無二の世界観や、ジェームズ・ガンならではユーモアとハートある演出がたちまち話題に。当時はまだ『スター・ウォーズ』続3部作公開前だったが、質の良い新作SFアドベンチャーを求めていたファンからは、一部で「新時代の『スター・ウォーズ』」とも表される評判作になった。製作費1億7,000万ドルに対し、最終的な世界興収は7億7,000万ドル以上の成功作となっている。

ジェームズ・ガン監督は今回のツイートで、「『ガーディアンズ』は、それまでに公開されていた他キャラクターの映画の中で一番の稼ぎをあげた」と誇らしげに書いている。

その後の人気ぶりはファンならよくご存知の通り。2017年に続編『Vol.2(邦題:リミックス)』が公開されれば、1作目越えの8億6,900万ドルの大ヒット。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でアベンジャーズに合流すると、世界中のファンを大興奮させた。さらに現在は、待望のシリーズ第3作を控えているところで、すでに撮影も済ませている段階だ。

実はその『Vol.3』クランクアップの日、スター・ロード/ピーター・クイル役で主演のクリス・プラットが、この記事のような当時の批判を用いて感動的なスピーチを行ったのだそうだ。ガン監督によれば、プラットは批判の見出しや文を引用しながら、1分ほど熱く語ったのだそう。おそらく、当初は批判にも晒されてきたけれど、自分たちはこれだけ頑張って、今までやってきたんだと、『ガーディアンズ』の旅路を振り返るものだったのだろう。シリーズはこの『Vol.3』で完結。『Vol.3』のクランクアップはつまり、この日でキャストやクルーたちが解散する日だったわけである。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、銀河のならず者やはみ出しものたちが、なんとか結束しながら、最終的には「銀河の守護者」として成長していく群像劇。その物語が、まさに現実とリンクしているわけだから面白い。成功するハズない、だって?くそったれガーディアンズ・オブ・ギャラクシーへようこそ!

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3(原題)』は2023年5月5日より米公開予定。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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