『スター・ウォーズ』スピンオフ『ハン・ソロ』監督降板の原因となった「創作上の相違」とは何だったのか?ロン・ハワード新監督もコメントを発表【和訳あり】

2017年6月21日(日本時間)、『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ(アナザー・ストーリー)作品『ハン・ソロ』から、『LEGO®ムービー』などを手がけたフィル・ロード&クリス・ミラーが降板すると伝えられてから3日が経過した。すでに新監督として『アポロ13』『ビューティフル・マインド』などのロン・ハワードが起用されており、まもなく製作は再開される予定だ。
THE RIVERでは、今回の『ハン・ソロ』監督交代劇について随時情報を追いかけてきた。フィル&クリス前監督の降板第一報はこちらの記事で、また降板に至るまでの経緯はこちらの特集記事で、ロン・ハワード監督の就任速報はこちらの記事でご確認いただきたい。
ハリウッドにおいて、大作映画から監督が離脱する際に「創作上の相違(creative difference)」という言葉が使われるのは決して珍しいことではない。しかし今回、フィル&クリス前監督は降板コメントで、この理由について「好きではないのですが、今回だけはこの決まり文句が真実です」と記している。
では『ハン・ソロ』の現場では何が起こっていたのか、「創作上の相違」とは一体なんだったのか? エンターテインメント・ウィークリー誌の取材ではその内情が新たに語られている。また本記事では、ロン・ハワード新監督が発表した『ハン・ソロ』へのコメントもあわせてご紹介したい。
左から『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』ギャレス・エドワーズ監督、フィル&クリス監督、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』コリン・トレボロウ監督。
「創作上の相違」2つの説
もちろん『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)で起きた再撮影・再編集トラブルと同じく、私たちは現場で起きた真実を100%知ることはできない。エンターテインメント・ウィークリー誌が報じたのも、『ハン・ソロ』やフィル&クリス監督の関係者による証言である。この証言によると、「創作上の相違」には2つの説がある。
①コメディはどこまで求められたのか?
フィル・クリス監督が得意とするのは、代表作『21ジャンプストリート』などに顕著なコメディ演出である。もちろんルーカスフィルムも、『ハン・ソロ』にこうしたコメディの要素を求めていたことは間違いないだろう(そうでなければ、そもそもがミスマッチだったという話になる)。
エンターテインメント・ウィークリー誌によると、多くの関係者が同意している説に、「ルーカスフィルムは『ハン・ソロ』にコメディ・タッチを求めていたが、フィル&クリス監督はコメディを作ろうとしていた」というものがある。言葉の上ではわずかな違いだが、実際には恐ろしい違いである……。『ローグ・ワン』ではギャレス・エドワーズ監督があまりにダークな戦争映画を作ったために、ルーカスフィルムが作風を明るくするため再撮影に踏み切ったという説があった。この説が真実かどうかはさておき、今回はルーカスフィルムが『ハン・ソロ』をもっと落ち着いた作品にしようとしていたということだろうか。
②即興演出で脚本が改変された?
もっともエンターテインメント・ウィークリー誌は、別の関係者による説も大きく取り上げている。それは、フィル&クリス監督の特徴である“即興性を重視した演出”が物語を改変したことが原因だったというものだ。この説は、以前ハリウッド・レポーター誌が報じたものと大枠は同じである。
フィル&クリス監督は俳優陣に即興の演技を求めることがままあり、そうしてシーンが出来上がることに信頼を置いていた。まして『ハン・ソロ』の場合は、ドラマ『アトランタ(原題:Atlanta)』の脚本・演出が高く評価されるドナルド・グローバーや、ドラマ『フリーバッグ』の脚本・主演を務めるフィービー・ウォーラー=ブリッジがキャスティングされている。
ある関係者によると、フィル&クリス監督は「自分たちの映画を作るためにオファーされた」のだと考えていたという。それゆえ、脚本と異なる場面が出来上がることもありうるという考え方だったようだ。やがてその方針が、『スター・ウォーズ』の重要人物であるローレンス・カスダンらが手がけた脚本を改変することに繋がったとしたら……。しかしここでは、両監督が実際に脚本を改変していたかどうかは問題ではないだろう。肝心なのは、ルーカスフィルム側がそう感じたのではないかということだ。
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