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『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』徹底解説 ─ あらすじ、小ネタからキャスト情報まで完全ガイド

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
WIZARDING WORLD characters, names, and related indicia are (c) & (TM)Warner Bros. Entertainment Inc. WB SHIELD: (c) & (TM) WBEI. Publishing Rights (c) JKR. (s20)

J・K・ローリング原作、世界的ベストセラー小説『ハリー・ポッター』シリーズの映画版シリーズ第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)は、ファミリー層だけでなく大人の映画ファンも唸らせた一作。のちに『ゼロ・グラビティ』(2013)や『ROMA/ローマ』(2018)を手がけるアルフォンソ・キュアロン監督は、ちょっとダークなアプローチで原作の大胆な映像化に挑んだ。

本記事では、あらすじから名優ぞろいの出演者たち、監督、小ネタをじっくりとご紹介。鑑賞のお供に是非どうぞ。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』予告編

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』あらすじ

魔法使いの少年ハリー・ポッターはホグワーツ魔法魔術学校の3年生。夏休み、ハリーは人間界で魔法を使用してダーズリー家を抜け出してしまった。しかもその道中、ハリーは魔法省の大臣コーネリウス・ファッジと遭遇。ところがファッジはハリーを見逃すと、アズカバンの監獄に服役していたヴォルデモートの手下、シリウス・ブラックが脱獄したことを明かした。

噂によると、シリウスはハリーの両親の死に深く関わっており、今はハリーの命を狙っているという。生徒を守り、シリウスを捕らえるとの名目で、ホグワーツにはアズカバンの看守・吸魂鬼(ディメンター)が現れた。「闇の魔術に対する防衛術」の新任教授リーマス・ルーピンは、ハリーに「守護霊の呪文」を教える。そんなある日、魔法族が暮らす村・ホグズミードを訪れたハリーは、シリウスが父親の親友であったこと、しかし父を裏切って闇の魔法使いの手下になったことを知り……。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』小ネタ解説

1.クリス・コロンバス監督降板の理由は?

シリーズ第3作となった『アズカバンの囚人』では、前2作の『賢者の石』と『秘密の部屋』を手掛けたクリス・コロンバス監督が降板。その理由は、前2作で身体的に疲れ果ててしまったため。また、「2年半の間、子供達と一緒に夕食を食べられなかった」というのも理由のようだ。「4人の子どもが居ますが、今では一緒に過ごせています」と2002年のインタビューで語っている。

2.ハリー、ハーマイオニー、ロンの3役者への「宿題」

新たに監督に就任したキュアロン監督は、ハリー役ダニエル・ラドクリフ、ハーマイオニー役エマ・ワトソン、ロン・ウィーズリー役ルパート・グリントに、役を理解するため「自分のキャラクター視点のエッセイを書く」という宿題を出した。

ハーマイオニーのように優等生のワトソンは16ページにも及ぶエッセイを書き上げて提出。ハリー役ラドクリフは1枚に書きまとめた。そしてロン役のグリントは……1枚も書かなかったという。

3.シリウス・ブラックのタトゥー

『アズカバンの囚人』では、ゲイリー・オールドマン演じるシリウス・ブラックが初登場。彼の身体のタトゥーは、ロシアの刑務所内のギャングたちのタトゥーを参考にしてデザインされたという。

4.二代目ダンブルドアをイアン・マッケランが断った理由

ダンブルドア校長先生を演じたリチャード・ハリスが今作までに他界したため、『アズカバンの囚人』からはマイケル・ガンボンが引き継いだ。ここにはイアン・マッケランも候補に挙がっていたが、既に『ロード・オブ・ザ・リング』で魔法使い(ガンダルフ)を演じていたマッケランは「伝説の役はひとつで充分。二役なんて望みすぎだ」と断っている。

5.目じゃなくて氷です

ハリーたちが乗るホグワーツ・エクスプレスにディメンターが現れるシーンでは、雨が氷に変わる。アルフォンソ・キュアロンが雨を“氷(ice)”にしたいとアイデアを語った際、監督のメキシコ訛りの英語を視覚チームが“目(eyes)”と聞き間違えた。そのため最初のストーリーボードの同シーンは目玉が降ってくる画になってしまい、監督を驚かせたという。

6.シビル・トレローニー先生役はエマ・トンプソン

占い学のシビル・トレローニー先生を演じているのは、『ハワーズ・エンド』(1993)『ラブ・アクチュアリー』(2003)や『メン・イン・ブラック』シリーズのエマ・トンプソン。当時4歳だった娘を喜ばせるためオファーを引き受けたという。ちなみに同役オファーはティルダ・スウィントンにも渡ったが、断られている。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』主な出演者・キャスト

ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター役)

Daniel Radcliffe ダニエル・ラドクリフ
Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:SDCC_2015_-_Daniel_Radcliffe_(19119473773).jpg

1989年、イギリス・イングランド出身。1999年にBBC製作ドラマ「デビッド・コパーフィールド」で俳優デビューを飾る。11歳で『ハリー・ポッター』シリーズの主役に大抜擢され、世界的な知名度を獲得。以降、2012年製作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』までの全8作で主演を務めた。2011年にはブロードウェイ・ミュージカル『How to Succeed in Business Without Really Trying(原題)』のリバイバル版(1961年初演)で主演を務め、キレキレのダンスと歌唱パフォーマンスを披露している。

『ハリー・ポッター』以降は、『キル・ユア・ダーリン』(2013)『ホーンズ 容疑者と告白の角』(2013)「ヤング・ドクター」(2012-2013)など、映画・ドラマ作品への積極的な出演を見せる。このほか、ポール・ダノと共演のインディペンデント映画『スイス・アーミー・マン』(2016)や『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』(2016)などの話題作で存在感を放った。次回作として、両手に拳銃を固定された主人公を演じるサバイバル・アクション映画『ガンズ・アキンボ』の日本公開を2021年2月に控える。

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ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー役)

ルパート・グリント ロン・ウィーズリー「東京コミコン2019」
©THE RIVER

1988年、イギリス・イングランド出身。2001年に『賢者の石』でスクリーン・デビューを飾る前は、学校や地元の劇団で上演される舞台に立っていた。『ハリー・ポッター』の大ファンだったというグリントは、中でも好きだったロン役に狙いを定めてオーディションに応募。ロンをイメージした即興ラップや原作小説のセリフを読んだビデオを送るなど、熱烈なラブコールで見事役を勝ち取った。

『ハリー・ポッター』完結後の2013年には、シャイア・ラブーフ主演の映画『バレット・オブ・ラブ』に出演。『スナッチ』(2000)のドラマ・リメイク版「スナッチ・ザ・シリーズ」(2017-)ではプロデューサー・デビューを果たした。スリラー・ホラーの名手M・ナイト・シャマラン製作総指揮・監督のドラマシリーズ「サーヴァント ターナー家の子守」(2019)では怪演を見せている。2019年には「東京コミコン」のため来日した。

ルパート・グリント ロン・ウィーズリー「東京コミコン2019」
©THE RIVER

エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー役)

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1990年、イギリス人の両親のもとフランス・パリに生まれる。5歳までパリで過ごした後、イギリス・オックスフォードに移住した。スクリーン・デビューは『ハリー・ポッターと賢者の石』。8回のオーディションを経て、ハーマイオニー・グレンジャー役を射止めた。『ハリー・ポッター』完結後も継続して映画に出演。『マリリン 7日間の恋』(2011)『ウォールフラワー』(2012)『ノア 約束の方舟』(2014)など、注目作・話題作を経た後、2017年に実写映画版『美女と野獣』のヒロイン、ベル役に起用された。直近では『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)に出演している。フェミニズム運動にも熱心に取り組んでおり、2014年には国連組織UN Womenの親善大使に任命された。

ロビー・コルトレーン(ルビウス・ハグリッド役)

Photo by killydoon https://www.flickr.com/photos/killydoon/1251037387/|Remixed by THE RIVER

1970年代から、テレビや舞台で活動する俳優・コメディアンとしてキャリアをスタートする。『フラッシュ・ゴードン』(1980)で映画デビューを果たしたのちには、バイプレーヤーとして多数の映画・ドラマに出演。90年代に入ると、ドラマ「心理探偵フィッツ」(1993-1996, 2006)や『007 ゴールデンアイ』(1995)のヴァレンティン・ドミトロヴィッチ・ズコフスキー役などの代表作に恵まれる。『ハリー・ポッター』のハグリッドで名前を世界的に知らしめた。そのほか『オーシャンズ12』(2004)や『ブラザーズ・ブルーム』(2008)など。

アラン・リックマン(セブルス・スネイプ先生役)

Alan Rickman アラン・リックマン
Photo by Joella Marano https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alan_Rickman,_2011.jpg

1946年、ロンドンの労働者階級の家庭に生まれる。グラフィック・デザイナーを経て、ロンドン王立演劇学校に入学。演劇の道を志す。1985年上演のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーによる舞台『Les Liaisons Dangereuses』のブロードウェイ版(1987)でトニー賞に初ノミネート。1978年のテレビ映画『Romeo & Juliet(原題)』で映画デビューを飾り、その後は『ダイ・ハード』(1988)や『ハリー・ポッター』シリーズをはじめ、数々の名作に出演を重ねる。『ロビン・フッド』(1991)で英国アカデミー賞助演男優賞を受賞。1997年のエマ・トンプソン出演作『ウィンター・ゲスト』、2014年のロマンス映画『ヴェルサイユの宮廷庭師』で監督を務めている。2016年、すい臓がんにより他界。遺作は、『アイ・イン・ザ・スカイ世界一安全な戦場』(2016)と、多くの作品でタッグを組んできたティム・バートンの監督作『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(2016)。

マイケル・ガンボン(アルバス・ダンブルドア校長役)

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1940年生まれ。15歳で学校を退学したのち、技術者としての鍛錬を積み、機械技術者としての認定を受ける。ところが22歳で転身し、ウィリアム・シェイクスピア作『オセロ』で初舞台を踏む。1965年、ローレンス・オリヴィエ主演『オセロ』で映画デビュー。しかし映画界への本格進出は80年代半ばで、それまでは舞台を中心に活動した。映画の代表作に『スリーピー・ホロウ』(1999)『ゴスフォード・パーク』(2001)『アメイジング・グレイス』(2006)『英国王のスピーチ』(2010)『ジュディ 虹の彼方に』(2019)など。記憶力の衰えを理由に、2015年に舞台からは引退し、その後は映像分野で活動を続けている。

なお、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(2002)でダンブルドアを演じたリチャード・ハリスは、2002年10月、『秘密の部屋』の公開を待たず病没。本作『アズカバンの囚人』以降、マイケル・ガンボンが演じている。

マギー・スミス(ミネルバ・マクゴナガル先生役)

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1934年生まれ。17歳で女優としてのキャリアをスタートし、いくつもの舞台を踏んだのち、ロイヤル・ナショナル・シアターの常連俳優となる。1960年代から映画でも活躍し、『オセロ』(1965)『ミス・ブロディの青春』(1969)『ナイル殺人事件』(1978)『カリフォルニア・スイート』(1978)『最強最後の晩餐』(1984)『眺めのいい部屋』(1985)『ゴスフォード・パーク』(2001)などでアカデミー賞やゴールデングローブ賞を受賞、あるいはノミネートされるなど輝かしいキャリアを誇る。そのほか代表作に『天使にラブ・ソングを…』シリーズや「ダウントン・アビー」(2010-2015, 映画2019)。

ゲイリー・オールドマン(シリウス・ブラック役)

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1958年生まれ。70年代半ばから演技を学び、のちに舞台デビュー。80年代には映画にも進出し、アレックス・コックス監督『シド・アンド・ナンシー』(1986)で注目を浴びる。その後、『JFK』(1991)『ドラキュラ』(1992)『トゥルー・ロマンス』(1993)『レオン』(1994)『フィフス・エレメント』(1997)『エアフォース・ワン』(1997)『ハンニバル』(2001)などに出演し、当代きっての悪役俳優としても名を馳せた。しかし、それゆえに一時はスランプにも悩まされている。

本作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』はゲイリーのキャリアにとってターニングポイントとなった一作で、この後、ゲイリーは『バットマン ビギンズ』(2004)『ダークナイト』(2008)で注目を浴びたのち、『裏切りのサーカス』(2011)ではアカデミー賞主演男優賞候補となった。大作からインディペンデント映画まで規模やジャンルを問わず数々の作品に出演し、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017)ではアカデミー賞&ゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞。デヴィッド・フィンチャー監督とタッグを組んだ最新作『Mank/マンク』は、2020年12⽉4⽇(⾦)よりNetflixにて独占配信開始。

デイビッド・シューリス(リーマス・ルーピン役)

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1963年生まれ。学生時代に演技を学び、1985年にテレビドラマで俳優デビュー。『ネイキッド』(1993)で映画主演に抜擢され、カンヌ国際映画祭の男優賞に輝いたのち、レオナルド・ディカプリオ主演『太陽と月に背いて』(1995)やブラッド・ピット主演『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(1997)で準主役を演じる。近年の作品に『戦火の馬』(2011)『ゼロの未来』(2013)『レジェンド 狂気の美学』(2015)『マクベス』(2015)『ワンダーウーマン』(2017)『もう終わりにしよう。』(2020)など。映画監督・小説家としても活躍している。

ティモシー・スポール(ピーター・ペティグリュー役)

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1957年生まれ。英ナショナル・ユース・シアターと王立演劇学校で学んだのち、1978年に俳優デビュー。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやナショナル・シアターなど名門劇団の舞台に立ち、80年代からは映画・テレビでも精力的に活動する。代表作に『秘密と嘘』(1996)『ハムレット』(1997)『バニラ・スカイ』(2001)『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)『英国王のスピーチ』(2010)『否定と肯定』(2016)など。『ラスト サムライ』(2003)では通訳のサイモン・グレアム役を演じ、日本語の演技も披露した。主演映画『ターナー、光に愛を求めて』(2014)ではカンヌ国際映画祭男優賞など、いくつもの映画賞に輝いている。

エマ・トンプソン(シビル・トレローニー役)

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俳優の両親、演出家・劇作家の祖父をもつサラブレッドであり、学生時代から文学を専攻するかたわら演技を始める。1982年に女優デビューし、舞台やテレビで活躍。映画『ヘンリー五世』(1989)をはじめ、ケネス・ブラナーとタッグを組んでウィリアム・シェイクスピア作品に多数出演した。『ハワーズ・エンド』(1992)でアカデミー主演女優賞に輝き、『日の名残り』(1993)『父の祈りを』(1993)でもアカデミー賞候補となっている。その後、『いつか晴れた日に』(1995)では脚本・主演を務め、アカデミー賞脚色賞を受賞、主演女優賞候補となるなど高い評価を受けた。

そのほか、代表作に「エンジェルス・イン・アメリカ」(2003)『ラブ・アクチュアリー』(2003)『新しい人生のはじめかた』(2008)『ウォルト・ディズニーの約束』(2013)『ヒトラーへの285枚の葉書』(2016)『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』(2017)など。脚本家としての活動も継続しているほか、『美女と野獣』(2017)『ドクター・ドリトル』(2020)など声優としての映画出演も多数。スタジオライカ作品『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』の日本公開を2020年11月13日(金)に控える。

トム・フェルトン(ドラコ・マルフォイ役)

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1987年、イギリス・イングランド出身。『ハリー・ポッターと賢者の石』でドラコ・マルフォイ役に抜擢される前からCMやドラマ、映画などで活躍する。2012年『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』までの全8作でマルフォイ役を演じた。シリーズ完結後は、『猿の惑星: 創世記』(2011)や「THE FLASH/フラッシュ」(2016-)『オフィーリア』(2018)などの作品に継続的に出演。現在も『ハリー・ポッター』シリーズの共演者と親交を持っており、ハーマイオニー役エマ・ワトソンや、フレッド&ジョージ・ウィーズリー役のジェームズ&オリバー・フェルプスとの交友の様子をInstagramに投稿している。

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ハリー・メリング(ダドリー・ダーズリー役)

キーパー ある兵士の奇跡
ⓒ2018 Lieblingsfilm & Zephyr Films Trautmann 『キーパー ある兵士の奇跡』2020年10月23日全国公開

1989年生まれ。子役として数回舞台を踏んだのち、『ハリー・ポッター』シリーズのダドリー役で俳優としての本格デビューを果たす。祖父・叔父ふたり・従兄も俳優というサラブレッドで、名門劇団「ナショナル・ユース・シアター」やロンドン音楽演劇アカデミー(LAMDA)にて研鑽を積む。『ハリー・ポッター』完結後、2010年代はコンスタントに舞台に出演しながら、テレビドラマや映画でも頭角を現す。主な出演作に、映画『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』(2016)『バスターのバラード』(2018)『オールド・ガード』(2020)『悪魔はいつもそこに』(2020)のほか、Netflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」(2020)など。イーサン・コーエン監督の新作『The Tragedy of Macbeth(原題)』を控えるなど、注目の若手俳優として成長を遂げた。

ダドリー役ハリー・メリング特集!

リチャード・グリフィス(バーノン・ダーズリー役)

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1947年生まれ。大学時代に演劇を学んだのち、1974年に俳優デビュー。舞台でウィリアム・シェイクスピア作品の道化役など個性的な役柄で親しまれたのち、映画・ドラマに進出する。『ハリー・ポッター』シリーズ以外には、『ウィズネイルと僕』(1987)『ヒストリーボーイズ』(2006)『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(2011)『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠 ヘンリー五世』(2012)など。『バレエ・シューズ』(2007)ではハーマイオニー役のエマ・ワトソンと共演した。2013年に病没、遺作は『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(2013)へのカメオ出演となった。

フィオナ・ショー(ペチュニア・ダーズリー役)

Fiona Shaw フィオナ・ショウ
Photo by Marie-Lan Nguyen https://www.flickr.com/photos/jastrow/5367869161/

学生時代は哲学を学び、のちに王立演劇学校にて演技の訓練を積む。舞台・映画・テレビとボーダレスに活躍し、特に舞台ではローレンス・オリヴィエ賞に数度輝く名女優として知られる。映画では『ハリー・ポッター』シリーズ以外に『アンナ・カレーニナ』(1997)や『ツリー・オブ・ライフ』(2011)『コレット』(2018)『エノーラ・ホームズの事件簿』(2020)。テレビドラマでは「トゥルーブラッド」「フリーバッグ」「キリング・イヴ/Killing Eve」など近年の人気シリーズにも多数出演している。

デイビッド・ブラッドリー(アーガス・フィルチ役)

David_Bradley デヴィッド・ブラッドリー
Photoo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:David_Bradley_(9362687819).jpg

1942年生まれ。学生時代から演劇活動を始め、1970年代からはイギリスの名門劇団「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー」のメンバーとして活動し、同じく名門劇団「ナショナル・シアター・カンパニー」にも登場した。長年にわたって舞台で活躍し、1990年代から映像にも積極的に進出。『ハリー・ポッター』シリーズのフィルチ役のほか、映画では『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』(2007)『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)に出演。テレビドラマでは「ゲーム・オブ・スローンズ」「ストレイン 沈黙のエクリプス」「レ・ミゼラブル」など。ギレルモ・デル・トロ監督によるアニメ映画『ピノキオ(原題:Pinocchio)』ではゼペットじいさん役を演じる。

ロバート・ハーディ(コーネリウス・ファッジ役)

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1925年生まれ。第二次世界大戦時には空軍パイロットとしての訓練を積み、1958年に俳優業をスタート。舞台ではシェイクスピア作品に数々出演し、イギリスの長寿テレビドラマ「All Creatures Great and Small(原題)」(1978-1990)に出演。その後も数々の映画やドラマに出演し、ウィンストン・チャーチル役を幾度も演じたことでも知られる。『ハリー・ポッター』シリーズでは、第2作『秘密の部屋』から第5作『不死鳥の騎士団』(2007)まで魔法省大臣のコーネリウス・ファッジを演じ、これが大スクリーンでの代表作となる。2017年病没。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』出演者/吹替声優

キャラクター名 キャスト 日本語吹替声優
ハリー・ポッター ダニエル・ラドクリフ 小野賢章
ロン・ウィーズリー ルパート・グリント 常盤祐貴
ハーマイオニー・グレンジャー エマ・ワトソン 須藤祐実
ルビウス・ハグリッド ロビー・コルトレーン 斎藤志郎
セブルス・スネイプ先生 アラン・リックマン 土師孝也
アルバス・ダンブルドア校長 マイケル・ガンボン 永井一郎
ミネルバ・マクゴナガル先生 マギー・スミス 谷 育子
シリウス・ブラック ゲイリー・オールドマン 辻 親八
リーマス・ルーピン デイビッド・シューリス 郷田ほづみ
ピーター・ペティグリュー ティモシー・スポール 茶風林
シビル・トレローニー エマ・トンプソン 幸田直子
ドラコ・マルフォイ トム・フェルトン 三枝享祐
ダドリー・ダーズリー ハリー・メリング 忍足航己
バーノン・ダーズリー リチャード・グリフィス 楠見尚己
ペチュニア・ダーズリー フィオナ・ショー さとうあい
アーガス・フィルチ デイビッド・ブラッドリー 青野 武
コーネリウス・ファッジ ロバート・ハーディ 篠原大作

アルフォンソ・キュアロン監督

アルフォンソ・キュアロン
Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alfonso_Cuar%C3%B3n.jpg | Remixed by THE RIVER

1961年生まれ、メキシコ出身。学生時代に哲学と映画を学び、テレビ業界でキャリアをスタートさせる。1991年に『最も危険な愛し方』で映画監督デビュー。『リトル・プリンセス』(1995)『大いなる遺産』(1998)を経て、『天国の口、終りの楽園。』(2001)が高く評価され、ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞を受賞、アカデミー賞脚本賞候補となる。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』への起用は、前2作を手がけたクリス・コロンバスが離脱したのち、原作者J・K・ローリングが『天国の口、終りの楽園。』を気に入っていたことから実現したもの。前作からのトーンチェンジ、大胆な脚色など野心的なアプローチはファンの間で賛否両論となったが、批評家からは好評を博した。

その後、『トゥモロー・ワールド』(2006)では現在もなおトレンドのひとつである“擬似ワンカット撮影”にいち早く挑み、同作から7年を経た『ゼロ・グラビティ』(2013)はヴェネツィア国際映画祭のオープニング作品として上映された。同作は極めて高い評価を受け、キュアロンはアカデミー賞・英国アカデミー賞・ゴールデングローブ賞で監督賞を受賞。Netflix映画『ROMA/ローマ』(2018)はヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を射止め、アカデミー賞最多10部門にノミネートされ、外国語映画賞・監督賞・撮影賞を受賞。ストリーミング配信を前提とするNetflix作品とアカデミー賞の関係性は現代の映画界における重要なトピックのひとつだが、ここでもキュアロンは歴史の先がけとなった。そのほかプロデューサーとして、盟友ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』(2006)、アン・ハサウェイ主演『魔女がいっぱい』(2020年12月4日公開)を手がける。

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』商品情報

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』は、公開後さまざまなバージョンのDVD・ブルーレイがリリースされてきた。2020年10月現在、単独リリースで最も上位の規格は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(3枚組)」で、未公開シーン集やメイキング、監督インタビューなど充実の特典映像を収録している。ブルーレイ・DVD単独のコレクターズ・エディションや廉価版もそれぞれリリースされている。

そのほか『ハリー・ポッター』シリーズの全8作品を収録した「ハリー・ポッター 8-Film ブルーレイセット (8枚組)」「ハリー・ポッター 8フィルムコレクション<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(16枚組)」もそれぞれリリースされている。この機会にすべて手に入れたいという方はぜひこちらを。

Source:『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』小ネタ解説[1]BBC,[2]Huffpost,[3]The New Times,[4]What Culture,[5]IMDb,[6]IMDb

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THE RIVER編集部THE RIVER

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