【ネタバレ】『NOPE/ノープ』オレンジの『スコーピオン・キング』パーカーに込められた意味とは ─ 「オリジナルの脚本にはなかったもの」と監督

この記事には、『NOPE/ノープ』のネタバレが含まれています。
『スコーピオン・キング』は、オリジナル脚本に存在しなかった要素

『NOPE ノープ』の主人公は、雲に覆われた飛行物体の襲撃により不可解な死を遂げた父の子どもたち、“OJ”ことオーティス・ヘイウッド(ダニエル・カルーヤ)とエメラルド・ヘイウッド(キキ・パーマー)。ハリウッド唯一の黒人経営牧場を亡き父から引き継いだ兄妹は、謎の飛行物体を正体を暴き、“バズり動画”を撮影しようと奮闘していく。
OJは少年時代だった頃、“ジーン・ジャケット(Gジャン)”という映画撮影用に調教していた馬を引き連れて、『スコーピオン・キング』の撮影に父と共に参加することになった。ところが撮影の直前になって、その馬は使われなくなってしまい、ラクダを代わりに投入する格好となったのだ。妹のエメラルドを含め、家族全員に苦い思い出が残っている『スコーピオン・キング』。そのスタッフパーカーを着たOJは、ヘイウッド家が築き上げてきた歴史を背負う馬に乗り、同じく“ジーン・ジャケット”と名付けた飛行物体の命がけの撮影に挑むのである。
このヘイウッド家にとって、『スコーピオン・キング』に様々な想いが込められているわけだが、Empireのポッドキャストにてジョーダン・ピール監督は、「これはオリジナルの脚本には存在しなかったもの」と説明している。
「12歳の時に主人公は父と一緒に何かに携わったことがあり、このパーカーは父が手に入れた記念品になるだろうと思っていました。そこから逆算したとき、どんな映画になり得たかということを考えるようになったんです。そこで、『スコーピオン・キング』が思い浮かびました。オレンジ色でなければならないと考えていたので、すべてが完璧だったんですよ。」
“オレンジ色でなければならない”とは、一体なぜだったのだろうか。オレンジは情熱的な印象の色であり、研究結果によると、エネルギーを高める効果があるとも言われている。飛行物体の撮影に精魂を傾ける主人公の決意や、その家族の想いを背負って立つ男を現す色として相応しいものと言えそうだ。またオレンジは刺激の強い色であり、人々の注目を集めやすく(交通標識や広告に使用されるのもこのため)、飛行物体を引き付ける役目を担うものとしても完璧だろう。さらに米国では囚人服の色としても馴染み深いなど、さまざまな観点から読み解ける設定になっている。
『スコーピオン・キング』に話を戻すと、本作は『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』(2001)に登場した最強の戦士、スコーピオン・キングを主人公とした物語。舞台が古代エジプトであることからも、オレンジ色が全面に押し出された一作となっている。つまり、2002年前後に製作された映画を探し求めていく過程で、『スコーピオン・キング』がピール監督の目に止まり、偶然にも、OJのパーカーにイメージしていたカラーともマッチしたということだろう。
『NOPE/ノープ』は公開中。
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Source: Empire