黒レンジャーは黒人、黄色レンジャーはアジア人「間違いだった」と「パワーレンジャー」脚本家

日本の「スーパー戦隊」シリーズをアメリカに輸出し、現地ローカライズとともに製作の「パワーレンジャー」シリーズ第1作として1993年から米放映された「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」について、ブラックレンジャー役を黒人俳優に、イエローレンジャー役をアジア人俳優に配役したことは「大きな間違いだった」と、当時の脚本家トニー・オリバーが反省を語った。
「マイティ・モーフィン・パワーレンジャー」シーズン1では、ブラックレンジャー/ザック・テイラーとしてアフリカ系俳優のウォルター・ジョーンズが、イエローレンジャー/トリニー・クワンとしてベトナム系のサイ・トラングが起用された。「パワーレンジャー」はその後アメリカでも人気シリーズとなり、2023年放映の最新作「パワーレンジャー・コズミックフューリー」まで全30シーズンが続いている。
脚本のオリバーはドキュメンタリー番組「Hollywood Demons」内にて同作のキャスティングを振り返った。当時は「誰もステレオタイプな考え方をしていなかった」というが、ある日の会議でアシスタントに指摘されたことで、問題性に気付いたという。現在では「大きな間違いだった」と後悔している様子だ。

この批判や内省は以前からあったものだ。2013年掲載の米Complexによるインタビュー企画では、当時の製作陣やキャストが「全く意図的ではありませんでした」と振り返っている。脚本・監督を務めたシュキ・レヴィはイスラエル出身で、当時はアメリカに来て日が浅かった。「肌の色に関して、アメリカのような環境で育ったわけではありません。私たちはイスラエル育ちで、黒人もどんな肌の色の人と同じようにいました」と説明。配役が偏見をはらんでいたことについては「あの時、話題にあがったことはありませんでした。大きな問題でもありませんでした」と話している。
ピンクレンジャー役のエイミー・ジョー・ジョンソンは「現代ではあり得ないことですね」とコメント。ゾードン役のデヴィッド・フィールディングは「(2013年当時)少し前にトニー・オリバーとイベントの登壇で一緒になって話すことがあったんですけど、彼もその時ビックリしていましたね」と伝えている。
悪役のリタ・レパルサ役を務めたバーバラ・グッドソンは、「もしああいうキャスティングになっていなかったとしても、“どうしてブラックレンジャーを黒人レンジャーにしないんだ”と、逆に批判されてた可能性もありますよね」と指摘。「サイの次にイエローレンジャーを演じたのはアジア人ではなく黒人でした。どこにでも嘲笑する材料はあるものです」と語っている。
2017年の実写映画版『パワーレンジャー』では、演じるキャラクターのカラーにかかわらず、さまざまな人種・属性が配役された。アメリカ版「パワーレンジャー」は現在、新作となる実写シリーズがディズニープラス向けに準備中と報じられている。
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Source:Entertainment Weekly,Complex