サム・ライミ、『ドクター・ストレンジ』でマーベル映画復帰の心境は ─ 『スパイダーマン3』は「本当にひどい経験だった」

『死霊のはらわた』で知られる映画監督サム・ライミのキャリアは、2022年にひとつの到達点を迎える……とは、少々言いすぎだろうか。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』は、『スパイダーマン』3部作を手がけたライミにとってスーパーヒーロー映画への復帰作であり、ホラー監督としてのスキルも存分に発揮できる一作。ヒーロー映画史においても、ひとつの節目を迎えるような感慨がある。
では、『スパイダーマン3』(2007)から15年ぶりとなるヒーロー映画を手がけるライミ自身は、『ドクター・ストレンジ』への就任をどう受け止めていたのだろうか。米Colliderでは、かつての苦々しい記憶を率直に明かしている。
「(ヒーロー映画に)もう一度立ち向かえるとは思いませんでした。『スパイダーマン3』の監督が本当にひどい経験だったからです。ネットが炎上して、あの映画を毛嫌いする人たちが、そのことを僕に知らせてくる。思い出すのもつらかったですね。だけどその後、『ドクター・ストレンジ2』の話が来ていることがわかりました。エージェントから電話があって、“マーベルが監督を探していて、あなたの名前が出ています。興味はありますか?”と。それで、今でもやれるかどうかを考えました。」
ライミの復帰は多くのファンに受け入れられた感があるが、本人の中には大きな葛藤があったのだろう。オファーを受けた理由について、「(ヒーロー映画は)本当に大変な仕事だし、そういうタイプの映画。だけど、理由はそれで十分だと思ったんです」と答えている。ライミの挑戦心に火がついた、ということだろうか。
ちなみに、ライミは前作『ドクター・ストレンジ』(2016)も大いに気に入っていたそうで、「スコット・デリクソン(監督)が素晴らしい仕事をしてくれたから、“やろう”と言いました」とも語っている。「彼らはキャラクターを最高の場所に導いてくれました。僕は“またスーパーヒーロー映画を作るぞ”という考え方ではなく、たまたまヒーロー映画だったという気持ちでした」。
Source: Collider