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マーク・ラファロを『アベンジャーズ』に誘ったロバート・ダウニー・Jr.「ラファロ、一緒にやろう」 ─ 登場シーンの脚本も決め手に

アベンジャーズ
Walt Disney Studios/LMK 写真:ゼータ イメージ

『アベンジャーズ』(2012)ハルク/ブルース・バナー役としてマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に登場したマーク・ラファロは、MCUでは珍しい“2代目”だ。『インクレディブル・ハルク』(2008)でハルクを演じたエドワード・ノートンがスタジオとの方針の違いにより離脱したため、後任者として白羽の矢が立ったのである。当初、出演をためらったラファロの背中を押したのが、アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.とジョス・ウェドン監督だったという。

米国のテレビ番組「The Tonight Show」に登場したラファロは、「最初、ハルク役を引き受けようとしなかったって本当ですか?」と尋ねられるや「怖かったんです」と答え、当時を振り返った。「自分よりも先に、とても上手にやられているものがある。そこに何を加えることができるのかわからなくて」

しかも当時、『キッズ・オールライト』(2010)や『エターナル・サンシャイン』(2004)などで知られていたラファロには大作映画の経験もなかった。「インディーズ映画しかやったことがないから、自分が適任なのかもわからない。だけどジョス・ウェドンは“大丈夫、適任だよ”と言ってくる(笑)」。さらにその背中を押したのが、『ゾディアック』(2007)で共演したロバート・ダウニー・Jr.だったのだ。

「ダウニーから電話がかかってきて。僕が口ごもったり、モゴモゴ言ったりしてたせいだと思うんですが、彼が“ラファロ、やろう。一緒にやろう”と言ってくれて。あれはほんとにアイアンマンっぽかったな。その後、やるべきだと思ったんですよ。」

ちなみにロバートといえば、キャプテン・アメリカ役を引き受けるかどうか悩みに悩んでいたクリス・エヴァンスにも激励の電話をかけていたことで知られる。マーベル・スタジオはエヴァンスの獲得に力を注いでいたが、エヴァンスは大作への出演に消極的で、オファーを2度断っていたのだ。その後、ロバートの電話を受けたのちに、ラファロと同じくエヴァンスも出演を決意している。

マーク・ラファロ 東京コミコン2019
©THE RIVER

ところで、ラファロがハルク役を引き受けたもうひとつの理由は“脚本”だった。なんでも、ラファロは若いころから「脚本を読まずに映画には出ることはしない」と固く決心していたとか。「だって、レシピがボロボロならどうしようもないから。若い俳優にとって、唯一の力は“ノー”と言うことだけです」。秘密主義で知られるマーベルは、脚本を読みたいというラファロの要求を当初断ったが、のちに態度を和らげたという。

「ジョス(・ウェドン監督)が、“これが脚本の20ページぶんくらい。バナーについて書いてある”と。最初のシーン、スカーレット(・ヨハンソン)演じるブラック・ウィドウがインドでバナーと出会うところを読んで、“ああ、これはおもしろい、素晴らしい”と思ったんです。ユーモラスだし、遊び心もあって、これなら何ができそうだって。」

その後、ラファロ演じるハルク/ブルース・バナーは現在に至るまで多くのファンに愛されてきた。その決め手が、まだハルクの能力が発露していない登場シーンにあったとはいささか意外ではないか。独特の作品選びによって確かなキャリアを築いてきたラファロの審美眼がうかがえるエピソードである。

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Source: The Tonight Show

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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