撮影現場での銃誤射、アレック・ボールドウィンが過失致死罪で起訴

映画セットでの撮影中の銃誤射事件について、問題の場面の当事者となったアレック・ボールドウィンと、銃の管理者ハンナ・グティエレスが過失致死の疑いで刑事訴追される見通しとなった。米Deadlineが伝えた。
この事件は2021年10月、西部劇映画『ラスト(原題:Rust)』の撮影現場にて小道具の銃が誤射され、被弾した撮影監督のハリーナ・ハッチンスが死亡したもの。本来は空発であるはずの小道具の銃に実弾が込められていたことや、問題のシーンで銃を握っていたボールドウィンが「私は引き金を引いていない」と主張したことなど、不明瞭な部分が多かった。事故の直後から、製作チームのずさんな体制やトラブルが相次いで報告されていた。
ボールドウィンはほかに「私の責任ではない」とも訴えていたことから、亡くなったハリーナの夫マシューはボールドウィンに責任を求めて怒りをあらわにしていた。遺族はボールドウィンら製作チームを訴えていたが、2022年10月には正式に和解を結び、訴えを取り下げていた。
一方でサンタフェ地方検事は本事件の刑事訴追に向けた捜査を進めていた。ニューメキシコ州第一司法地区メアリー・カーマック=アルトワイズ検事は「アレック・ボールドウィンと映画『Rust』製作チームのメンバーの刑事訴追に向けた十分な証拠があると判断した」と発表。本件で銃器管理を担当していたハンナ・グティエレスと共に、ボールドウィンを月末までに2件の過失致死罪で起訴する方針を明らかにした。
2件とも第4級重罪とされるもので、それぞれ最長18ヶ月の懲役と5,000ドルの罰金。ただし銃器取り扱いが関わっていたことを考慮し、懲役5年に加重される可能性があるという。
ボールドウィンに問題の銃を手渡した助監督のデヴィッド・ホールズは司法取引に応じ、執行猶予つき禁固刑と6ヶ月の保護観察処分が下される。
アルトワイズ検事は、「彼(ボールドウィン)は手にする銃の中身が安全であることを確認する絶対的な義務がある」と見解。ただし、業界関係者からは「俳優が銃のチェックをしなくてはならないという厳密なルールはない」「検事は撮影現場での銃器の取り扱いプロセスについて深く誤解していると思う」との声もあがっていると、米New York Timesは紹介している。
捜査では551ページに及ぶ報告書も作成された。事故発生前、撮影用の拳銃一丁が暴発し、その数分後にも別の銃が発砲されていたことが明かされている。また、引き金を引いていないとするボールドウィンの主張も銃構造の見地から疑問視されるようになった。ボールドウィンが誤射した実弾のほか、撮影現場からはさらに5発の実弾が見つかったことも詳述されているという。
製作陣が遺族と和解した際には、2023年1月より映画を製作再開するとも伝えられていた。製作陣は撮影地をカリフォルニア州に移してロケハンを行なっているところだというが、現在までに正式な撮影再開は発表されていない。
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Source:Deadline,New York Times