アレック・ボールドウィン、撮影中の銃弾誤射事故が正式に終結 ─ 検察が上訴取り下げを発表

2021年10月、アレック・ボールドウィン主演の西部劇映画『Rust(原題)』の撮影現場で起こった銃弾の発射事故が正式に終結した。
米Varietyなどの報道によると、2024年12月23日(月曜日)、特別検察官のカリ・モリッシー氏が事件の上訴を取り下げたことを発表。ニューメキシコ州のラウル・トレス検事総長の事務局は、判事によって指摘された「手続き上の重大な不正を鑑みて、(本件の)上訴を断念した」との声明を公開した。
本件は2021年10月、『Rust』の撮影現場でリハーサル中に小道具の銃が発射され、被弾した撮影監督のハリーナ・ハッチンス氏が死亡、ジョエル・ソウザ監督が負傷したことを受け、ボールドウィンが過失致死罪に問われていたもの。空砲であるはずの小道具に実弾が込められていたこと、銃を握っていたボールドウィンが「引き金を引いていない」と主張したことなど不明瞭な部分が多く、ボールドウィンは自らの責任を否定していた。
7月に行われた公判にて、検察側はボールドウィンに過失があったと主張。しかし、検察側が重要な証拠である銃弾を弁護側に引き渡していなかったことが判明し、メアリー・マーロウ・ソマー判事は3日目に訴えを棄却した。弁護側は、検察側が意図的に証拠を隠していたと主張し、ソマー判事もモリッシー特別検察官の事件処理は「悪意に近いものがある」と批判した。
ボールドウィンの弁護を担当するアレックス・スピロ氏とルーク・ニカス氏は、上訴棄却の正式な決定について、「アレック・ボールドウィンと弁護団による、当初からの主張の最終的な正当性を証明するもの」と述べた。「言葉にしがたい悲劇でしたが、アレック・ボールドウィンは無実です。ニューメキシコ州で法の支配は変わらず維持されています」。
なお、ウクライナに住むハッチンス氏の両親と妹は上訴の取り下げに反対しており、代理人を通じて、州検事総長の判断は「(家族を)非常に動揺させるもの」とコメントした。現在も遺族はボールドウィンとプロデューサーに対する民事裁判を継続しており、こちらは解決に至っていない。
上訴を取り下げたモリッシー検察官は、判事による棄却は不当であったとして、ボールドウィンが銃器の安全規則に違反していたと引き続き主張。「ハリーナ・ハッチンス氏の死に対し、ボールドウィン氏の責任が問われないことを遺憾に思います。上訴の取り上げにあたり、未解決の訴訟が遺族に正義をもたらすことを願っています」との声明のなかで記した。
映画『Rust』は1880年代のワイオミング州を舞台に、両親を亡くした13歳の少年が、自分と弟の生存を賭け、疎遠だった祖父とともに逃走する物語。2024年11月、ポーランドのカメリメージ映画祭にてワールド・プレミア上映された。同映画祭は世界の撮影監督を表彰するもので、ハッチンス氏は早くからカメリメージ映画祭での上映を希望していたという。舞台挨拶にはボールドウィンも登壇したが、事件に関する話題や質問は一切受け付けられなかった。
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Source: Variety