「マルチバースは実在しない」 ─ 『ドクター・ストレンジ』スコット・デリクソン監督が持論

僕たちが知らないだけで、どこか別の平行世界が存在するかもしれない。そこには、今いるあなたとは全く別のあなたがいて、似ているようで似ていない別世界の中で暮らしている…。
SF作品の設定として定番ともなっている「マルチバース(多元宇宙)」の存在について、『ドクター・ストレンジ』のスコット・デリクソン監督は否定的だ。スコット監督は自身のTwitterで、次のように述べた。
The multiverse is a super-exciting idea for both scientists and storytellers —but let’s not forget that it’s just a theory without a shred of verifiable evidence confirming its existence.
I personally do not believe in it.
— Scott Derrickson (@scottderrickson) 2019年1月4日
「マルチバースは、科学者とストーリーテラーの両者にとって、超面白いアイデア。でも、実在すると証明できる証拠のかけらもない、ただの説に過ぎないことも忘れないようにしよう。個人的には、信じていません。」
マルチバースといえば、アメコミでは古くからお馴染みの概念だ。例えばスパイダーマンには、最も知られたピーター・パーカー版のスパイディのほか、2099年の未来を舞台とした「スパイダーマン2099」や、1933年に活躍する「スパイダーマン・ノワール」などが存在する。アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』はこの概念を映像化する作品で、平行世界を生きる複数のスパイダーマンが多数登場するという物語だ。

また、DCコミックス原作のドラマシリーズでは、かねてよりマルチバースの存在は大きなトピック。2018年にはアローとフラッシュの2大ヒーローが入れ替わった世界を描くクロスオーバー・シリーズ「エルスワールド」も登場していた。
もしもマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)にマルチバースの概念が取り入れられるなら、そのきっかけに近い存在がドクター・ストレンジだった。事実、『ドクター・ストレンジ』劇中には「暗黒次元(ダーク・ディメンション)」、「ミラー次元(ミラー・ディメンション)」、「アストラル次元」といったマルチバースとも捉えうる世界が登場している。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』においては、考えうる未来の行き先についてストレンジが1,400万以上のパターンを見通す、という描写もあった。
もっともスコット監督は、何もMCUにおけるマルチバースの是非を否定したわけではなく、現実世界におけるそれを信じていないと述べたに過ぎない。それでも、当人が信じていないものを映画作品に取り入れるとも考えにくいだろう。公開前の2016年7月には「『ドクター・ストレンジ』がマーベル・シネマティック・マルチバースの始まりになると思う」と語ってもいたスコット監督だが、将来的にMCUにその概念が取り入れられる可能性はどれ程あるだろうか。
スコット・デリクソンは、『ドクター・ストレンジ』続編にも監督としての再登板が決定している。報道によれば、2021年中の公開を目指すと言われる。
Source:@scottderrickson