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『シャン・チー』実現きっかけはファンの『ブラックパンサー』ビデオ、ケヴィン・ファイギが明かす

シャン・チー/テン・リングスの伝説
©Marvel Studios 2021

2021年9月3日に公開を迎える『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品初のアジア系ヒーローが主人公の映画となる。2018年、故チャドウィック・ボーズマンが演じた『ブラックパンサー』がアフリカ系コミュニティの存在を表象し、多様性の向上が求められるエンターテインメント界から大きな注目を集めたことは記憶に新しいが、今度は『シャン・チー』がハリウッドの歴史に新たな1ページを加えることになるのだ。

以前、主演のシム・リウは、『ブラックパンサー』が「業界の流れを変えた」として、『シャン・チー』実現のきっかけになったことを明かしていたが、これには製作側も同じ認識でいるようだ。このたび英Empireのインタビューにて、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが、『シャン・チー』製作の決断を大きく後押ししたエピソードを明かしている。いわく、『ブラックパンサー』が公開される前の出来事だという。

「私は、『ブラックパンサー』のポスターが初めて公開された時、口コミ動画をネット上で見たのを覚えています。映画館にいる若い男性たちが、そのポスターを見て興奮し、呆然としているもので。その姿には感動してしまいました。私たちが作ろうとしていた映画にみんなが興奮していたんですから。けれど同時に、私たちにとっては厳しい“気づき”の時でもありました。彼らがあのようなリアクションを取っていたのは、それまで見たことがなかったからです。『ブラックパンサー』は“誰にだって、超人的な描かれ方をした自分たちの姿を見る権利があるんだ”という考え方を集約した作品でした。

このように語るファイギだが、実は2000年代初頭頃から『シャン・チー』の映画化には興味を示していたという。米Rotten Tomatoesにてファイギは「“もし映画化できたら最高じゃないか”と思うリストに入っていたのが『シャン・チー』なんです」と明かしていたのだ。もっとも、当時から時代は先に進み、エンターテインメントに実社会のコンテクストの反映がより求められるようになった。“もし映画化できたら最高じゃないか”の言葉が包含する意味も、捉え方では大きく変わったはずである。

エンタメ作品を通して多様性を表象すると、ときにポリコレ(ポリティカル・コレクトネスの略)の濫用だとして批判されることもあるが、MCUの取り組みは当事者の視点から行われている。『シャン・チー』で監督を務めるデスティン・ダニエル・クレットンがそのひとりだ。アジア系アメリカ人として生まれ育ったクレットン監督は、「今まで、自分のように歩き、話し、自分と同じような服を着て、自分や友人も好きな音楽を聞く、真のアジア系アメリカ人のようなヒーローは見たことないです」と話しながら、それこそが『シャン・チー』に興味を惹かれたきっかけだと語っている。「新米スーパーヒーローの目線から、アジア系アメリカ人が経験してきたことを見せる何かを作ることにすごく興奮しました」。

本作の出演者は大部分がアジア系の俳優で構成されている。これについても「98%アジア人キャストで作りたい」と主張したファイギたっての実現だ。主人公シャン・チー役のシム・リウのほかキャストには、トニー・レオンやオークワフィナも参加している。また、脚本には『GODZILLA ゴジラ』(2014)を手がけた中国系アメリカ人のデイヴ・キャラハムが起用されており、まさにハリウッドに身を置くアジア系の俳優・製作陣によって実現した映画が『シャン・チー』なのだ。

映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は2021年9月3日(金)全国公開。

Source: Empire,Rotten Tomatoes

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。