Menu
(0)

Search

【解説】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』予告編を徹底考察 ─ 時系列、新スーツ、ミステリオとエレメンタルズ

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

2019年1月15日、映画スパイダーマン:ファー・フロム・ホームの特報映像が公開された。このたびお披露目となったのは、米国版とインターナショナル版の2種類だ。

本記事では、それぞれ異なるシーンが含まれる今回の映像をくまなく解説していくとともに、まだ誰も知らない『アベンジャーズ/エンドゲーム』(4月26日公開)以降のマーベル・シネマティック・ユニバースを考察・予測していきたい。

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)および『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)のネタバレが含まれています。

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』予告編

米国版予告編

日本版予告編

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』物語と時系列

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、かつて『ファー・フロム・ホーム』のストーリーについて、“ピーター・パーカーが夏休みにヨーロッパへ遊びに行く話”だと語っていた。今回の予告編は、まさにそうした趣向を前面に押し出したつくり。トム・ホランド演じるピーター、ゼンデイヤ演じるミシェル、ジェイコブ・バタロン演じるネッド、トニー・レヴォロリ演じるフラッシュといった前作の顔ぶれが再集結し、ヨーロッパへと繰り出していく。

また先に記しておけば、今回の映像では、『ファー・フロム・ホーム』のストーリーが『アベンジャーズ/エンドゲーム』の内容とどういった関係にあるのかを判断することはできない

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のクライマックスでピーター・パーカー/スパイダーマンは塵と消えてしまい、本作に登場するニック・フューリーもそれは同じである。もし本作の時系列が『エンドゲーム』以降なら二人は復活することになるが、『インフィニティ・ウォー』以前が舞台ならば、そうした展開は一切関係ないことになる。プロデューサーのエイミー・パスカル氏は、本作が『エンドゲーム』直後から始まることを以前明かしていたが、もはや、その発言をすんなり信じてしまってよいものか…?

ピーター・パーカー、旅行にスーツは必要?

ピーター・パーカーご一行が本作で向かうのは、イギリス・ロンドン、イタリア・ベネチア、チェコ・プラハを巡る2週間のヨーロッパ旅行。2種類の映像では、それぞれ異なるシーンからピーターのヨーロッパ行きが示される。

まずは米国版特報映像をチェックしてみよう。ヨーロッパへのスクール・トリップのため、ピーターは前作『ホームカミング』に登場したおじさんの店で道具を揃え、荷造りをする。スパイダーマンのスーツを旅先に持っていくべきかどうか……ピーターは一瞬悩んで、「ヨーロッパに“親愛なる隣人、スパイダーマン”はいらないよね」とクローゼットの扉を閉める。

かたや日本版特報映像では、空港での手荷物検査でカバンからスパイダーマンのスーツが登場。「忘れ物よ!」というメイおばさんのメモが添えられているあたり、ちゃっかりスーツは持っていくことになったようだ。ちなみに出国のために問題となったのはバナナだった模様。

実は、この短いシーンにはふたつのイースターエッグが存在する。ピーターのパスポートに記されている誕生日は8月10日だが、これはコミックの世界にスパイダーマンが初登場した、1962年刊行「Amazing Fantasy #15」の発行日と同じ日付。かたやコミックでピーターのフルネームは「ピーター・ベンジャミン・パーカー」だが、映画ではミドルネームが削除されて「ピーター・パーカー」となっていることも特筆しておきたい。

さらに米国版特報映像の46秒目でピーターがカバンを閉じると、そこには「BFP」の文字が確認できる。ミドルネームは不明だが、これはベンおじさんことベン・パーカーのイニシャルと考えてよさそうだ。マーベル・シネマティック・ユニバースでは、過去に繰り返し描かれてきたベンおじさんのエピソードを示唆する程度にとどめているが、こうした細部に痕跡が残されているのである。

メイおばさんとハッピー・ホーガン

少し話題を横にそらして、先に米国版特報映像のみに含まれているシーンをチェックしておこう。

米国版予告編は、ホームレスの支援にスパイダーマン(ピーター)とメイおばさんが参加している場面から幕を開ける。『ホームカミング』のラストシーンでメイおばさんはピーターのスーツ姿を目撃していたが、やはりメイおばさんには「ピーター=スパイダーマン」であることが知られている状況、それどころか二人は協力関係にあるようだ。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly