『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』はどう評価されたのか ─ メディアやジョージ・ルーカスの反応は

ジョージ・ルーカスと『フォースの覚醒』
ルーカスにとって『フォースの覚醒』は、我が子同然であるシリーズをディズニーに売り渡し、初めて自らの手元を離れたスター・ウォーズ映画だ。ルーカス自身にも『ジェダイの帰還』に続く3部作の草案はあり、ディズニーに提案も行っているが、却下されている。
ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長を筆頭とした首脳陣とルーカスが新作のアイデアについて話し合いの場を持った際、ルーカスは「交渉の中で送ったストーリーが使われないことが分かると、たちまち怒り始めた」ことがあった。「自分のストーリーが切り捨てられたことに落胆していた」のだとか。

ともかく『フォースの覚醒』が出来上がると、試写で鑑賞したルーカスは「落胆を隠していなかった」といい、「新しいものが何もないじゃないか」と口にしたという。
ルーカスが期待した「新しいもの」は、ストーリーやキャラクターのみならず、新しい技術にもある。ルーカスにとって『スター・ウォーズ』の歩みとは映画技術の歩みであり、SFXやCG技術、デジタル上映の発展に大きく貢献してきたもの。米ディズニーCEOのボブ・アイガーの回顧によれば、ルーカスはこうした技術的挑戦が見られなかったことに落胆していたというのだ。
アイガーは「彼は間違っていない」との一方で、「しかし、彼は熱心なファンでもスター・ウォーズの典型を感じられる映画を提供するというプレッシャーも認めてくれなかった」と本音も吐露している。曰く、「新しいものが何もない」のは、意図的なものだったのだ。
「視覚的にもトーン的にも過去作に近いもの、ファンの好みと期待から大きく離れすぎないものを、意図的に作ったんです。でも、ジョージが批判したのは、まさにそこでした。スター・ウォーズ映画の過去と今後の数年を考えると、J・Jは、“これまで”と“これから”に橋を架けるという、ほぼ不可能なことをやり遂げてくれたと思いますよ。」
サーガ完結作『スカイウォーカーの夜明け』公開を控え、J・J・エイブラムスやルーカスフィルム社長のキャスリーン・ケネディには、『フォースの覚醒』時のルーカスの関与を振り返る機会が訪れている。
J・Jは『フォースの覚醒』について「ジョージにとってのオールタイム・ベストになることを願っていました。僕はただ、彼を丁寧に扱いたかっただけなので」と語り、ルーカスについては「自分が生み出したもの、自分の赤ん坊を誰かに売り渡すという決断は、小切手にサインしてニッコリ笑うよりも、ずっと複雑なことに違いありません」と言及。キャスリーンは「ジョージは、J・Jやライアン(・ジョンソン、『最後のジェダイ』監督)の決断すべてには賛成しないかもしれません。けれども彼は、映画づくりについてしっかりと理解している。私はそう思います」との心情を語っている。
『フォースの覚醒』より描かれたレジスタンスとファースト・オーダーの戦い、レイ、フィン、ポー・ダメロン、そしてカイロ・レンの物語、ルーク・スカイウォーカーやハン・ソロ、レイア・オーガナたちの伝説は、ついに『スカイウォーカーの夜明け』で幕を下ろす。サーガは完結するが、スター・ウォーズの銀河は世界中のファンたちの意見交換と共に、さらに拡大してくのだろう。それは、“遠い昔、遙か彼方の銀河系”でではなく、今を生きる我々の世界で体験できる現象だ。飛び込まないなんて手はない。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、2019年12月20日(金)より日米同時公開。
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