Menu
(0)

Search

ノーラン新作『オデュッセイア』は史上初の全編IMAXフィルムカメラ撮影、新技術「ブリンプ」の詳細が判明

クリストファー・ノーラン
HellaCinema https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DunkirkFilmGearPatrolLeadFull.jpg

クリストファー・ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』は、史上はじめて全編IMAXフィルムカメラで撮影された映画となる。英Empireがその詳細を報じた。

これまでハリウッドでは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)をはじめ、『デューン 砂の惑星 PART2』(2024)や『スーパーマン』(2025)などがIMAXデジタルカメラで全編撮影されてきた。しかし、IMAXフィルムカメラは全編の撮影には不向きで、ノーランも『オッペンハイマー』(2023)でさえ全編の半分程度でしか使用していなかったのである。

ノーランが『オデュッセイア』のため、IMAX社とともに新たな技術の開発にあたっていたことは以前から報じられていた通り。今回、ノーランは「ブリンプ(blimp)」と呼ばれるシステムがカギを握っていたことを明かしている。

「ブリンプ・システムが変化の決め手でした。俳優がセリフをささやいていても、顔から30センチの距離で撮影できて、しかも音を使うことができる。世界で最も美しいフォーマットで、細やかな演技をとらえることができるようになりました。」

これまでIMAXフィルムカメラは、“騒音”の問題が大きな制約を生んでいた。撮影時に大きな音が出るため、生音でセリフを録音できず、アフレコで音声を録り直す必要があったのだ。

撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマは、この新技術をノーランに紹介するため、デヴィッド・ボウイの楽曲「サウンド・アンド・ヴィジョン」の歌詞を朗読する子どものクローズアップ映像をIMAXスクリーンで上映したという。「とても感動的でした。非常に細やかな映像と音が融合し、投影されていた」とはホイテマの談。ノーランも「衝撃的でした。これまで絶対に撮れなかったショットだった」と感想を語っている。

本作は詩人ホメロスによる英雄叙事詩『オデュッセイア』に基づく“神話的アクション大作”。マット・デイモン演じるイタカの王オデュッセウスは、トロイア戦争のあと、故郷で帰りを待つ妻・ペネロペイアと再会するため、10年にわたる過酷な旅に出る……。ノーランはイタリアやギリシャ、スコットランドなど世界各国で撮影を敢行しており、使用されたIMAXフィルムは200万フィートにもおよぶと伝えられている

ちなみに、過去には幾度となくIMAXカメラを破壊してきたことで知られるノーラン。「今回は一台も壊していません。すべて生き延びました」と激しい旅路からの“生還”を認めている。

出演者は、イタカの王オデュッセウス役のマット・デイモン、息子テレコマス役のトム・ホランドほか、アン・ハサウェイ、ゼンデイヤ、ルピタ・ニョンゴ、シャーリーズ・セロン、ロバート・パティンソン、ジョン・バーンサル、ベニー・サフディ、エリオット・ペイジ、ヒメーシュ・パテル、ビル・アーウィン、サマンサ・モートン、ジョン・レグイザモ、ローガン・マーシャル=グリーン。プロデューサーはエマ・トーマス。

映画『オデュッセイア』は2026年公開、配給はビターズ・エンド(US公開日は7月17日)。

Source: Empire

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly