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『マイティ・ソー バトルロイヤル』米国より最速レビュー到着!「シリーズ最高」「最初から最後まで大笑い」ただし問題作の予感

マイティ・ソー バトルロイヤル
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』の試写が米国にてスタートしたようだ。例に漏れず、多くの現地メディア関係者がSNSを通じてその感想を伝えてくれている。

誤解を恐れずにいえば、米国での最速試写といえば、その感想には基本的にポジティブな内容ばかりがあふれるものだ。もちろん本作にも絶賛の意見が多数寄せられているのだが、それでもどうやらいつもとは様子が異なるように思われる。彼らの言葉の端々からは、笑い、楽しみながらも、どこか“動揺”のようなものが感じ取れるのである。
鬼才(あえてこう形容しよう)タイカ・ワイティティ監督が仕掛けた『マイティ・ソー』シリーズの最新作、その「問題作の予感」を少しだけ嗅ぎ取ってほしい。

史上最も笑える『マイティ・ソー』

まずはColliderのスティーヴン・ワインストローブ氏による感想からご紹介しよう。あらゆる映画を観ては、その感想を速報として伝えてきた同氏による感想の第一声はワイティティ監督への賛辞だった。

「『マイティ・ソー バトルロイヤル』は大好きな映画です。タイカ・ワイティティは素晴らしい仕事をしました。映画には彼のトレードマークであるユーモアが詰まっていて、最初から最後まで笑わされました。知らなかったサプライズがいくつかあり、そのうちひとつはまさしく最高、マーベル映画史上もっとも愉快なシーンかもしれません。音楽/サウンドトラックは素晴らしいし、ビジュアルにもぶっ飛んだところがある。なるべく早く見直すことにします。新たなマーベルの覇者の誕生です。」

The Wrapのウンバート・ゴンザレス氏は、作品の感想を興奮気味にこう綴っている。

「まさしく最高! ストーリーやアクション、エフェクト、演技、そしてマーベル史上最高のサウンドトラックに完全に打ちのめされた!」

好みが分かれる?監督の作家性が爆発か

こうした中、非常に冷静な視線で『マイティ・ソー バトルロイヤル』に賞賛を送っている二人の人物がいる。IGNのジム・ヴェイヴォダ氏とSlash Filmのピーター・シレッタ氏だ。しかし図らずも、この感想こそが本作の“問題作”らしい印象を引き立てる結果にもなっているような……。

「『マイティ・ソー バトルロイヤル』は史上最高の『マイティ・ソー』です。ただし、すごく良いけど最高ではないと思っています。それでも(クリス・)ヘムズワース、ハルク&テッサ(・トンプソン)は素晴らしかった、それから(ジェフ・)ゴールドブラムも!」

「『マイティ・ソー バトルロイヤル』はマーベル・スタジオ史上最も愉快な映画の一本で、まぎれもなく『マイティ・ソー』史上最高の作品です。マーク・マザーズボーの音楽もとっても良かった。ジョークとキャラクターがアクションやドラマへ向けての中心になっていて、これこそが観客を、この映画を大好きになる人とそうではない人に分けることでしょう。」

まさにシレッタ氏のコメント通りというべきだろうか、感想の論調は“ワイティティ監督によるユーモアにハマったかどうか”で方向性が分かれているようにも思われる。

たとえばBustleのアナ・クラッセン氏は「バカみたいに楽しい、洗練されたポップコーン映画。クリス・ヘムズワースは完全にコメディアン」と記し、同じくColliderのハレイ・フォウチ氏も「最初から最後まで大笑いだった」投稿した。ほかにも多くの人物がコメディ路線をとても楽しんだようで、米CinemaBlendのエリック・アイゼンバーグ氏は、本作のアドベンチャー・ムービーとしての方向性にも言及している。

「『マイティ・ソー バトルロイヤル』はものすごく楽しい! マーベル・シネマティック・ユニバースの自己言及的なプロットながら、キャラクターの動きは最高だし、アドベンチャーにスリルがある。『マイティ・ソー』史上最高だ!」

ただしそんな中、The Playlistのグレゴリー・エルウッド氏は、自身の参加した試写の様子をこのように記してもいる。

「テッサ・トンプソンがズバ抜けて最高でした。いずれニュー・アベンジャーになることを願います。ケイト・ブランシェットも愉快でした。その他の部分はうまくいっていないのかもしれません。大部分は(長すぎないとしても)すごく面白いんですが、私だけが笑っているように感じたこともありました。」

こうして感想を並べてみると、どの人物もほとんどコメディ映画としての側面に注目せざるを得なくなっていることがわかるだろう。しかし、それこそがタイカ・ワイティティ監督やクリス・ヘムズワースの「とにかく楽しい映画にしたい」という企みだったのだ。

もっとも監督の手がけた『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(2014)や『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』(2016)、あるいはソーを主人公とした短編映像(「チーム・ソー」)を観ていれば、その作家性が炸裂するとどうなるかは想像がつくことだろう。『マイティ・ソー』であるがゆえに、むしろ想像がつかないということもあるだろうか……。

そこで本記事では、最後にYahoo! Entertainmentのケヴィン・ポロウィ氏の感想をご紹介することにしよう。

「『マイティ・ソー バトルロイヤル』は楽しくて、ヘンテコで、オフビートで、レトロで、崇高な作品です。タイカ・ワイティティに、これほど“超ワイティティッシュ”な映画を作らせたマーベルが最高。

映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』は2017年11月3日より日米同時公開。なんだか、いよいよ本編を観てみないとわからないという気がしてこないだろうか……?

[お詫び]
記事初出時、ケイト・ブランシェット氏の人名に誤植がございました。お詫びして修正させていただきます。

Sources: https://www.comicbookmovie.com/thor/thor_ragnarok/thor-ragnarok-first-reactions-hail-it-as-the-most-fun-marvel-movie-yet-tessa-thompson-steals-the-show-a154381
https://heroichollywood.com/first-reactions-thor-ragnarok/
http://comicbook.com/marvel/2017/10/09/thor-ragnarok-reactions-critics-early-social-media/
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。