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『ソー/ラグナロク』予告編を超重要ポイントから徹底解析!物語のカギを握るのは『移民の歌』

昨日、2017年4月10日は、日本在住のマーベル・ファンにとっては大きなインパクトをもって受け止められた日となったことだろう。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のレッドカーペット・イベントとスクリーニング(という名の世界最速試写会)が開催されたほか、アメリカでは『ソー/ラグナロク(原題:Thor: Raganarok)』の予告編とポスターが解禁されたのである。

『ソー/ラグナロク』予告編を徹底解析!

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手がけたジェームズ・ガン監督は、以前この予告編を「マーベル・スタジオ史上最高の予告編かも」と絶賛していた。これまでの『マイティ・ソー』とは一線を画すテイストの映像には、映画のキーポイントとおぼしき情報がたくさん眠っている。そこで今回は、映像の細部に至るまで、その内容をチェックしてみよう。

囚われのソー、壊されるハンマー

予告編は、まずソーが鎖に巻かれて囚われている場面から始まる。ここでひとまず気に留めておきたいのは、映像の5秒目ごろで左上と右下に現れる、口を開いた炎の怪物のようなヤツだろう。

続いて登場するのは、本作のメイン・ヴィランである“死の女神”ヘラ(ケイト・ブランシェット)。もはやキャスティングの時点で超強いことはわかっていたが、アベンジャーズですら持ち上げられなかったハンマー(ムジョルニア)を片手で木っ端微塵に破壊してしまうあたり、どうも超強いとかいう話じゃなさそう。また、この場所は地球のように見えるが、もしもニューヨークだとすれば、これは『ドクター・ストレンジ』のポストクレジット・シーンに直接繋がっている可能性もありそうだ。

この予告編を見る限り、ムジョルニアをヘラに破壊されるくだりと、冒頭の「囚われのソー」との時系列の関係は不明。とはいえ、冒頭のシーンはヘラに囚われたソーのフラッシュバックと考えるのが自然だろうか? ちなみに予告編には、ヘラが別の姿でも登場している(30秒ごろ)。

炎上するアスガルド、そして惑星サカール

アスガルドに現れたヘラが“Asgald is dead.”と口にした途端、アスガルドは炎に包まれ、ヘラに敗れた(とみられる)ソーは惑星サカールへと飛ばされてしまう。そこに登場するのは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、そして『スター・ウォーズ』をも思わせるようなメカクリーチャーの数々である(映像の40~45秒ごろをご覧いただきたい)。この場所で、ソーはさっそく囚われの身となってしまうのだ。

作品を彩る新キャラクター

『ソー/ラグナロク』の見どころは、シリーズ3作目にして登場する新キャラクターにもある。注目は、ジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)不在の本作で、いわばヒロイン的なポジションを務めることにもなりそうなヴァルキリー(テッサ・トンプソン)と、惑星サカールを治めるグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)だ。

この予告編で気になるのは、ヴァルキリーが初登場する46秒目の直後に、フラッシュバックのように女戦士とヘラの対決シーンが挿入されていることだ。はっきり顔までは見えないのだが、この女戦士はヴァルキリーと同一人物だと考えていいのだろうか?

また予告編の1分3秒ごろには、アスガルドの戦士であるスカージ(カール・アーバン)もほんの少しだけ登場している。彼はヘラの味方、すなわちヴィランのポジションになるようだが、その詳細は不明のままだ。

おなじみロキ&ヘイムダル、そしてインクレディブル・ハルク

もちろん『ソー/ラグナロク』には、これまでの2作品でその魅力を発揮してきたキャラクターも登場する。予告編に登場しているのはロキ(トム・ヒドルストンと、ヘイムダル(イドリス・エルバ)の二人だ。

『ハイ・ライズ』『キングコング:髑髏島の巨神』に主演するなど、今やトップスターの風格を漂わせつつあるヒドルストンは、久々のロキ役で、どんな姿を見せてくれるのか……。とはいえ、予告編での姿はもちろんのこと、本作はオーディンに化けたロキの失策がヘラの復活を招いたというストーリーになるようで、おおよそ期待を裏切らない活躍と愛嬌を堪能することができそうだ。ちなみに映像の1分35秒ごろでは、ロキ様がちゃっかりグランドマスターのお隣を確保することに成功している模様(遠いけど)。

一方で、ヘイムダルは前2作とはまた違った活躍ぶりを見せてくれそうだ。なにせ、予告編の1分1秒ごろではクリーチャーとのアクション・シーンで登場しているのである。それにしても敵をぶった切ってビックリしているようだが、この武器はいったい……。

ちなみに『ソー/ラグナロク』には、オーディン(アンソニー・ホプキンス)も登場するほか、以前入ってきた情報によると、ウォリアーズ・スリーも再登場を果たすという。シフ(ジェイミー・アレクサンダー)だけは情報がないものの、さすがに彼女だけ出てこないのも考えづらそうだ……。

闘技場での激突

マーベル・シネマティック・ユニバースを追いかけてきた観客にとって、間違いなく本作最大の見どころとなるのが、ソー&ハルクという顔合わせだろう。予告編の1分10秒以降、惑星サカールの闘技場に戦士として立つソーの前にブルース・バナー/ハルク(マーク・ラファロ)が現れるのだ!

どんな対戦相手が現れるのか……と、まさに戦々恐々といったソーは、ハルクの姿を見て安堵。笑顔を見せて、“We are friends from work!(俺たちは仕事仲間だ!)”と叫ぶが、どうやらハルクの様子は違うようで……。

なぜ『移民の歌』なのか?

今回公開された予告編からは、これまでの『マイティ・ソー』2作品とは、その作風が大きく変化していることがよくわかる。ヒドルストンが「ソー史上最高に笑える作品になる」とも発言したように、監督を務めるタイカ・ワイティティは、かなり思い切ったアイデアで本作に挑んだようだ。予告編のテイストも、どちらかといえば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に近いといえるだろう。

むろん、そうした印象を受けるのは、1970年に発表されたレッド・ツェッペリンの楽曲『移民の歌』による効果も大きい。マーベル・シネマティック・ユニバース作品としては珍しい選曲センス、それを『マイティ・ソー』でやってのけるところに大きなインパクトがあるだろう。ところが、『移民の歌』が選曲されたことにはそれ以上の理由があるはずだ。なぜなら、この曲には北欧神話を思わせる要素が多分に含まれているからである。では、その内容に『ソー/ラグナロク』のヒントが隠されているということはないだろうか……。

『移民の歌』の歌詞は、8~10世紀にヨーロッパで侵略を行った北欧民族、ヴァイキングをイメージして書かれているという。まずはその歌詞全体が、“The hammer of gods(神々のハンマー)”に導かれたヴァイキングたちが戦に臨み、勝利して、荒廃した土地の復興を祈るという、ヴァイキングの侵略を歌ったストーリーであることに注目しよう。おそらく『ソー/ラグナロク』は、アスガルドを守るためヘラと戦い、惑星サカールへと追放されたソーが、再びアスガルドを救うため立ち上がるという展開になるとみられる。『移民の歌』が歌うのは「ヴァイキングによる侵略」だが、これを本作になぞらえて「一度滅ぼされたアスガルドを奪還し、そして祈りを捧げる」ストーリーだと再解釈することも可能なのである。

また、ヴァイキングという民族の人々には、北欧神話に登場する神々への信仰心があったという。歌詞のうち、北欧神話を直接的に示しているのは“Valhalla(ヴァルハラ) I’m coming!”という部分で、ヴァルハラとは北欧神話に登場するオーディンの宮殿のこと。もっといえば戦士の楽園(戦死者の館)を指しているという。この部分を、敵の手に落ちたオーディンの宮殿を目指すソーの心境と重ねることも容易だろう。あるいはこれを、死を覚悟して戦いに挑む兵士たちの言葉だと考えることもできる。

そもそもワイティティ監督が本作を「ロードムービー」と形容していることからも、この作品では“移動”が大きなテーマになっているはずだ。

『ソー/ラグナロク』のプロモーションはまだ始まったばかり。今回公開された予告編は“ティザートレーラー”であり、今後、本予告編が公開された暁には、まだ伏せられている情報も明らかになるはずだ。その予告編にはどんな音楽が使われるのか、本作ではそんな楽しみ方もできそうである。

映画『ソー/ラグナロク』は2017年11月3日米国公開予定。ちなみにTHE RIVERでは、これまでにも『ソー/ラグナロク』の噂や情報を定期的にご紹介している。気になった方は、ぜひあれこれとお読みいただければ幸いだ。

 

Sources: http://www.azlyrics.com/lyrics/ledzeppelin/immigrantsong.html
http://www.runsten.info/viking/lecture/myth.htm
http://www.y-history.net/appendix/wh0601-111.html
All Trailer Images & Eyecatch Image: https://www.youtube.com/watch?v=v7MGUNV8MxU
© 2017 Marvel

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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