マーベルドラマ「ワンダヴィジョン」にはコロナ禍の混沌も反映 ─ 「今この時にふさわしい作品」

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」は、コロナ禍によるスケジュール変動を受け、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)以来18ヶ月ぶりに登場する新作だ。本作は「フェイズ4」の皮切りとなるが、これは当初の計画になかったもの。『ブラック・ウィドウ』の公開延期、『エターナルズ(原題)』などの撮影遅延により、結果的に発表順が繰り上げられたのである。
もっとも「ワンダヴィジョン」の製作陣は、思わぬ偶然にもかかわらず、本作がコロナ禍からの“復活第1弾”となったことに納得しているようだ。脚本家のジャック・シェイファーは、米SFX Magazineにて「この作品を今発表できることに感謝し、また心躍っています」と述べた。
「『ワンダヴィジョン』は今この時にふさわしい作品だと思います。ありとあらゆる意味で、心地良さと癒し、息抜きになるからです。それはすべて意図していたわけではなく、偶然そうなったもの。このシリーズには、私たちが感じている不安や、昨年(2020年)のつらさと混沌がしっかりと反映されています。そのことがしっくりと来ていますし、マーベルもそう感じていると信じています。メアリー・リヴァノス(製作総指揮)とはずっとその話をしていて、とても良いことだと思っているんです。特別なタイミングになりました。」
むろん、新型コロナウイルスの感染拡大は本作の製作にも影響を及ぼした。米The New York Timesでは、スカーレット・ウィッチ/ワンダ・マキシモフ役のエリザベス・オルセンが、感染予防を徹底しての撮影にはストレスもあったと述べつつ、「今は誰もが極端なほどの生活を過ごしています。(撮影では)そんな中でコミュニケーションを取り、ともに問題を解決できる小宇宙を作ったわけです」とコメント。「仕事ができ、そういう経験ができて本当に良かった」と話している。
ちなみにマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、「ワンダヴィジョン」の記者会見にて、コロナ禍のような事態にあらかじめ備えていたわけではなかったものの、本作や「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」などドラマ作品のクリエイティブ面に大きな支障は出ていないと強調。今後のMCUには、コロナ禍の影響を受けた作品群が多数控えているが、一連のスケジュール変更によって、全体構想に大きな影響は生じていないとも述べている。
Source: SFX Magazine 2021 January, ComicBook.com(1, 2), The New York Times