マーベル社長ケヴィン・ファイギ「やめることも考えている」 ─ MCU最大の功労者、ヒーロー映画から去る日は来るか

2008年『アイアンマン』から、2019年『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』まで、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の全作品でプロデューサーを務め、全体の指揮を執ってきたのが、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長だ。MCUの歴史は、ヒーロー映画隆盛の歴史にそのまま重なるが、その立役者であるファイギ社長が、いつかヒーロー映画を作るのをやめてしまう日は来るのだろうか。
米The Hollywood Reporterのポッドキャストに登場したファイギ社長は、そんなストレートな問いかけに応じている。
「もちろん、そのことは想像してきましたよ。自分のキャリアを始めた日から、ずっと考えてきていることです。数年ごとに、このまま続けたいのか、それともやめてしまいたいのかと考えますね。実際のところ、僕はいつも“退屈したら辞める”と言っているんです。」
しかし、ファイギ社長が本当に退屈してしまう日はまだ遠そうだ。現在、MCUはフェイズ4の開幕を間近に控え、映像配信サービス「Disney+」にてテレビシリーズを複数準備中。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)という集大成を経て、新たな方向に舵を切り始めているのである。
「今は大きなご支援をいただきながら、いろんなことを、ありとあらゆる方法でやっているところ。Disney+も大きなものになっています。僕はちょうど『ワンダヴィジョン(原題)』のセットから帰ってきたところなんですが、今までとはまったく違う作品になっていますよ。」
思えばMCUは、ジャンルとしては“ヒーロー映画”ながら、そこにありとあらゆるジャンルを常にかけ合わせてきた。いわば、“ヒーロー映画”のイメージを常に刷新してきたのだ。ファイギ社長の挙げた「ワンダヴィジョン」は、なんとMCU初のシチュエーション・コメディ(シットコム)になるともいわれている。
さらにファイギ社長は、ヒーロー映画づくりをやめてしまうことなく、新たな方向へ進みだしたばかり。まずはMCUの功績を評価され、マーベル・エンターテインメント全社のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任。今後は映画のみならず、テレビやコミックなど、あらゆるストーリーを統括することになる。さらに、マーベル社外では『スター・ウォーズ』新作映画(タイトル未定)をプロデュースすることも決定済み。これは従来のスカイウォーカー・サーガとは異なる、新たな方向性へ進む作品になるとみられている。
自分自身を決して退屈させることなく、いつも挑戦を続けること。もしかすると、それこそがファイギ社長が世界有数のフィルムメーカーたりえている理由なのかもしれない。
Sources: The Hollywood Reporter, Comicbook.com