『ワンダーウーマン 1984』米公開さらに延期の可能性、『デューン』に影響か ─ 『ブラック・ウィドウ』にも不穏な噂、コロナ禍のダメージ続く

DC映画『ワンダーウーマン 1984』の米国公開がさらに延期される可能性が浮上してきた。本作は2020年10月2日に米国公開予定だが、このたび米Deadlineは、映画館関係の情報筋から「11月のどこか、もしくは12月後半に移動することになりそうだ」との情報を得ている。現時点で本情報はひとつの噂にすぎないが、ひとつの可能性として検討しておきたい。
もともと『ワンダーウーマン 1984』は2019年12月13日に公開予定だったが、同年11月1日への繰り上げが発表され、のちに2020年6月5日へと大幅に延期されていた。ところが新型コロナウイルスの感染拡大を受けて同年8月14日に延期、さらに状況を鑑みて10月2日に再延期となっている。しかしアメリカでは、いまだニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコといった大都市圏の映画館が営業を再開できていない状況。もはや経緯を追いきれないほどの公開日変更を経ているが、ここにきてもなお、予定通りの上映が叶うとは言い切れない。
米Varietyは、告知されている米国公開日が3週間後に迫っているにもかかわらず、ワーナー・ブラザースが映画のプロモーションをほとんど行っていないことを指摘している。「近々再延期が行われる兆しではないか」というのだ。
クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』は米国公開を迎え、未曾有の状況下においても健闘を示しているが、このコロナ禍での大作公開はひとつの英断だった。ワーナーは同作を長期的に上映する方針で、予算をすぐさま使い切らない方針にシフトしているというが、同じワーナー作品だからといって、『ワンダーウーマン 1984』もこの方針に舵を切れるかどうかは別問題だろう。ジャンルや主なターゲット、作品の性質、なにもかもが異なることは明白だ。
一方でDeadlineの情報筋によると、ニューヨークやロサンゼルスの映画館は9月下旬~10月上旬まで営業を再開できないとのこと。これが現実化した場合、時期だけなら『ワンダーウーマン 1984』にとってのベストタイミングだが、映画館は営業再開後、まずは『TENET テネット』を大々的に上映することになる。そんな中で『ワンダーウーマン 1984』を公開すると、ワーナーの大作が正面から激突し、互いの興行収入を食い合うことになりかねない。
ともあれ『ワンダーウーマン 1984』の米国公開が2020年12月にずれ込んだ場合、ワーナーはもうひとつの大作についてもスケジュールの変更を強いられるだろう。ティモシー・シャラメ主演『デューン(原題:Dune)』である。公開されたばかりの米国版予告編には公開日の表記がなかったが、『ワンダーウーマン 1984』が12月公開となれば、こちらは2021年まで繰り下げられるとみられる。
さらにDeadlineは、周辺のいくつかの作品についても噂に近い情報を伝えている。たとえば、ディズニー/マーベル・スタジオが『ブラック・ウィドウ』の米国公開を11月6日から再延期する可能性があるというのだ。もしそうなった場合、『ワンダーウーマン 1984』がその空白を狙う展開も考えられる。一方で11月下旬には『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が控えているため、同時期の公開は難しい。ちなみにディズニー/ピクサーが『ソウルフル・ワールド』の劇場公開を見送る可能性があるという噂も一部にはささやかれているようで、仮にそうなれば12月公開という線はさらに色濃くなる。
もちろん、いまだ先行きの見通せない状況ながら、『ワンダーウーマン 1984』が予定通り10月2日に米国公開を迎える可能性も残っている。『TENET テネット』はヨーロッパ&アジア圏で優れた成績を示しているため、もし米国での再延期が行われる場合でも、海外での公開を先行させることは絶対にありえないものではない。Deadlineは「映画館にとって最悪の事態は、『ムーラン』のように劇場公開を見送り、ストリーミング配信に送られることだ」と記した。
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