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【解説】『ワンダーウーマン 1984』ゴールドアーマー徹底解剖 ─ ガル・ガドット「強さやレガシー、希望の象徴」

ワンダーウーマン 1984
(c) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c) DC Comics

DC映画『ワンダーウーマン 1984』でひとつの見どころとなるのは、劇中でワンダーウーマンが身にまとう、目にも華やかなゴールドアーマー。全身と頭部をまばゆい黄金のアーマーで包み、さらに翼も授かったその姿は、美しく神々しい。このゴールドアーマーは、いかにして生まれたのだろうか。

ゴールドアーマーが初登場したのは、名作コミック『キングダム・カム』でのこと。ワンダーウーマンらジャスティス・リーグが表社会から姿を消し、傍若無人の超人たちが地上を荒らす世界を、超次元存在に導かれる一般人の視点で目撃していく物語だ。この神話的作品でワンダーウーマンは、暴徒化した超人たちを制圧する最終決戦に向けて、ゴールドアーマーを着用した。

ワンダーウーマンはコミックの歴史上、最も重要なスーパーヒロインであり、私は彼女をいつも大切に思っている」と、ゴールドアーマーを生み出したアレックス・ロスは綴っている。デザインにこめた理想は「彼女の生い立ちや内面に相応しい」、「英雄としてのワンダーウーマンを現代の読者に訴え」られるもの。「体格に厚みをもたせたのは、完璧な美の女神というイメージを弱めたかったからだ。ジョージ・ペレスが描いたワンダーウーマンの鎧のスーツを、ホークマンに似たデザインに変えたのは、鷹の象徴性を際立たせたかったからで、ワンダーウーマンのアイデンティティが戦闘にあることをよりわかりやすく示せたと思う」。

鷹のようなヘッド部分や翼といったデザイン・コンセプトは、実写版にも継承。衣装担当のリンジー・ヘミングは、全身を黄金で包むこのスーツデザインを、大げさなものになりすぎないように務めた。「私とパティ(・ジェンキンス監督)がめざしたのは“光沢はあっても、まばゆいほどではない”スーツ」「映画に登場するメタリックな衣装はたいてい無機質で表情がありません。ですが、このスーツには表情があるんです」と、本作のプロダクションノートで語っている。その“表情”とは、表面に映り込む物影。撮影のマシュー・ジェンセンがライティングに工夫をこらし、「さざ波」のように見える気品あふれる仕上がりとなった。

ワンダーウーマン 1984
(c) 2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c) DC Comics

この荘厳なアーマーの製作には、「F1の技術を応用」して、着心地を良くするために軽量化が徹底された。ボディ部分には、「柔軟性のあるウレタン部位の上に使える強度をもつ仕上げを可能にするクロムメッキ調の塗料を使用」。このため、「カーボン型を80度で8時間」焼成したということだ。翼の部分は140〜180の羽でできており、ひとつひとつの羽は0.4ミリのカーボンファイバー製、「重さの三分の一は金の塗料」というほど軽量なのだそう。完成にいたるまで、なんと40人のスタッフが1年以上かけて完成させたという。

ところが、着用したガドットによれば、スーツの「着心地は良くなかった」という。「肩や首も痛めた」「大変でした」と苦労を語っているが、「映画を観て、イエス!って。苦労も吹っ飛びましたよ」と大満足のようだ。「完成したゴールドアーマーは芸術の域に達していた。美術館に展示できるほどの出来栄えだった」と惚れ惚れ。

実際にガドットは、この美しいアーマーのヘルメットを自宅に飾っている。「ふだんは映画の記念品を自宅に置いておくことはないんですけど、特別なものだから飾っちゃいました。ネタバレはしませんが、これは強さやレガシー、希望の象徴なんです。それを忘れないように、大切に所有することにします」。

ガドットのいう、ゴールドアーマーに込められた「強さやレガシー、希望」は『ワンダーウーマン 1984』劇中で語られる。この美しく力強いアーマーは、映画館の巨大スクリーンにいかに映えるか?劇場で確かめるとしよう。

Source:映画『ワンダーウーマン 1984』プロダクションノート
『キングダム・カム 愛蔵版』マーク・ウェイド (著), アレックス・ロス (イラスト), 秋友克也 (翻訳), 依田光江 (翻訳),2010,小学館集英社プロダクション
CNA

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THE RIVER編集部THE RIVER

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