【ネタバレありレビュー】映画『X-MEN:アポカリプス』ココが良かった、ココが残念!

『X-MEN:アポカリプス』

『X-MEN:アポカリプス』が公開されて一週間ほど、もうご覧になられた方も多いのではないでしょうか。当サイトでもすでにいろいろなレビューや考察、感想が書かれているので、あらすじや説明は抜きにして、こちらの記事ではネタバレも含みながら、筆者個人の視点でレビューをしてゆきます。 もう一度、書きますが、これはネタバレも含むレビューですので、まだ『X-MEN:アポカリプス』をご覧になってない方は、当サイトのネタバレなしのレビューを見るか、映画を鑑賞なさった上でこの記事に戻ってきていただければ幸いです。 

【注意】

この記事は、映画『X-MEN:アポカリプス』のネタバレを含んでいます。

 

素晴らしい演技

旧シリーズも含めると名立たる俳優陣が演じてきたX-MENシリーズ。今回はその中でもベストといって過言ではないパフォーマンスが見られました。

マグニートことマイケル・ファスベンダー

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今回もマイケル・ファスベンダーによって演じられたマグニートですが、とてつもない魅力とカリスマ性を放っていました。

マグニートはアメリカでの生活を捨て、一般人として偽名を使い、ヨーロッパのド田舎で細々としながらも、妻と娘に囲まれ小さな幸せの日々を過ごしていましたが、地震が起こり、マグニートの働いていた工場で機材が倒れてしまい従業員がつぶされそうになるのを見過ごせず、パワーを使ってしまいます。
それにより、身元がバれ、地元警察がマグニートの家族の住んでいる森へやってきて、不幸が重なり、娘もパニックからミュータントパワーに目覚めてしまい、最強のミュータントとその娘を前にした警察は焦り、木製の弓矢から手を滑らせ、一本の矢でマグニートの妻と娘の命を奪ってしまいます。
そこで悲しみと怒り、絶望にくれたマグニートが娘にあげたペンダントで警察を皆殺しにします。

ここでのマグニートの心中は信じかけていた人間たちに裏切られ、かつ妻子も失い、自分に残されたものが何もない状態で、あらゆる負の感情が渦巻いています。
この森でのシーンでは派手なアクション、派手なセリフもないが、マイケル・ファスベンダーの演技により最大限にエモーショナルなマグニートが見られます。ここでの演技は今まで出てきたX-MENシリーズの中でも文句なしで一番、俳優の演技が輝いている瞬間で間違いないでしょう。

またマグニートはその後、勤めていた工場にバラしたことによる復讐に行きますが、ここでは、演技と脚本によるコンビネーションの功を奏しており、人間もミュータントも関係なく、一つの裏切り行為により愛する人を失うということがわかるか、と語るのですが、こちらもインパクトの強いシーンになっています。

これらの素晴らしい演技によるキャラクター作りで、アポカリプスと手を組むマグニートと彼の破壊的な欲望に大きな説得力を与えます。 そして、最後のバトルでマグニートがアポカリプスから寝返り、X-MENとともにアポカリプス打倒のために戦うのですが、そのときに彼がアポカリプスに放った「私はお前(アポカリプス)を裏切ったのではない、今まで彼ら(X-MENら善良なミュータント)を裏切っていたのだ」というセリフでの重みは半端ではないです。
もともと演技派として知られているマイケル・ファスベンダーですが、この作品で演技面で突出していたのは彼で間違いありません。

プロフェッサーXことジェイムズ・マカヴォイ

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ジェイムズ・マカヴォイの演じるプロフェッサーXは”今回”に限って言えば個人な感想としては前述のマイケル・ファスベンダーには数歩及ばないといった印象です。
ですが、劣っていたというわけでもなく、ハイレベルな競争で甲乙ついてしまった感じです。

彼の演技もとてもよいことに変わりはないです。何より彼のプロフェッサーXについて目を惹いたのが、今回はしっかりとプロフェッサー然としているところです。優しく聡明でリーダーシップもある、そんなみんなが知ってるプロフェッサー像になっています。
彼の演技について素晴らしいのが、新3部作の新しいチャールズ・エグゼビアとして、『フィースト・ジェネレーション』(FC)から『フューチャーアンドパスト』(DoFP)と今回の『アポカリプス』で同じチャールズ・エグゼビアという一つのキャラクターながらもしっかりと変化が大きく見られるとことです。
FCでは自身がミュータントということにもがきながらも、若くて野心的な姿、DoFPでは自信を失い、やさぐれ気味で薬物に頼る弱い部分も見せる。また今回では、さまざまな出来事のあとで円熟性を増したプロフェッサーとしてジェイムズ・マカヴォイは演じ分けています。

脚本や演技によって、このような変化の大きいキャラクターは一貫性を失うこともありますが、彼は芯はブラさずに、しかし、ふり幅は豊かに演じていました。 こうしてみると、新『X-MEN』トリロジーはチャールズ・エグゼビアの成長物語とも見られますね。

ミスティークことジェニファー・ローレンス

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今回のミスティークについては、本来のミュータントの姿である青い身体でいる時間が少なく、ジェニファー・ローレンスの姿である時間が多いという批判、また彼女がどの映画でもだいたい同じようなキャラクターを演じ今回もその一つという批判もあるが、確かに事実だけ並べるとその通りで言い返しが出来ません。

しかし、やはり彼女はミスティークであり、ジェニファー・ローレンスもであるので同一の二人から醸し出されるカリスマ性にとても引き込まれました。

もう一つミスティークいつて言及する点が、旧トリロジーでは彼女は悪役の一人なのに主体性があまりなくただマグニートの側近であった、『アポカリプス』における彼女は自らの意志を持ち、プロフェッサーともマグニートとも少し違った視点から行動している点です。今回の脚本によるミスティークはキャラクター作りがとても強い女性像になっているので、ジェニファー・ローレンスによる”ジェニファー・ローレンス的”なキャラクターにはとてもマッチしていると感じられます。

今回もやってくれたぜ!クイックシルバー!

 

『X2』のマグニートの脱獄を見たとき、「こんなかっこいい能力の使い方があるのか!しかも見せ方もイカしてる!」と感心したものです。

そしてそこからX-MEN映画にはこのような最高の能力と見せ方のコンビネーションと期待していました。ですが、X3、FCと2本のウルヴァリンではそのような映像と能力を活かしたものが見られませんでした。しかし、DoFPのクイックシルバーを観て、「これだよ!ずっと見たかったやつ!」と軽くX2でのマグニートのシーンを超える映像を見せられて、興奮したものです。同時に、また新しいX-MEN映画はあれを超えることができるのか?と少し不安にもなりなした。

そして『アポカリプス』を観てる最中に彼が登場してからは期待と不安で胸が膨らみました。彼が能力を発揮してくれたら、何のことはない、不安は消え去り、また観る者を最高の興奮へと押し上げてくれました。
ロックバンドのTシャツを着て、当時はやりのディスコミュージックを聞いていかにも俺イケてる、といった風に涼しい顔をして、ミュータントの子供たちを学園の爆破から救います。

また、前回のクイックシルバーは一回衝撃的な登場をした後、すぐに映画の表舞台からは立ち去ってしまいました。ですが、今回はもう一回彼の超スピードが見られるのです。しかも、2回目はアポカリプス相手に「フッ、こんなヤツ」というような表情をして高速でボコボコに殴るという、誰もアポカリプスを相手に至近距離戦をしない中こんなことをやってのけてくれるのが最高でした。

ジーンとスコットなど若きミュータントたち

新トリロジーでは初登場のジーン、スコットakaサイクロップス、ナイトクローラー、アークエンジェル、ストーム、サイロック、ジュビリーなど若いミュータントたちがほとんどは魅力的に描かれていました。特に学園組はちょっとした80’sな雰囲気のティーンコメディ的な要素も見せてくれて、X-MEN映画にこの感じのコメディを予想はしてなかったので新鮮でした。

スターウォーズってEP.5が最高で、今見たEP.6は微妙だったね」という製作側がデッドプールを見た後にとってつけたようなメタいジョーク(旧トリロジーの3作目を皮肉っている)もありましたが、面白いし笑ってしまうので製作の意図が見えても許せます。

また、サイクロップスがプロフェッサーの大事な木をなぎ倒してしまうシーン、ヨーロッパ出身のナイトクローラーがこれから起こる戦いのため学園に連れてこられたのに、アメリカに来た普通の留学生のようなノリで「アメリカの”モール”って場所に行きたいんだけど」も笑えました。X-MENは差別に苦しむといったテーマが多い中、このようにコミカルなシーンをふんだんに盛り込むのは良い術でしょう。

そして、旧トリロジーにも登場するジーン、スコット、ストームには今回オリジンストーリーが与えられているのが印象的でした。時系列改変の問題でX1には直接繋がりはしないですが、似たような世界になる考えれば今回提示された関係性も納得できます。

さて、問題のサイロックとジュビリーですが、この二人はなぜいたのかが本当にわかりませんでした。サイロックはアポカリプスの四騎士に加入する理由も説明されず、ただただセクシーな戦士枠でそこにいただけな印象でした。演じている女優も綺麗でコスチュームはセクシーでバトルもなかなかといったビジュアル的には申し分ないのに、キャラクターの動機が一切されず、魅力的なキャラクターになるポテンシャルがあるのに、ただの目の保養になっていたのが残念です。

ジュビリーはアジア人っぽいキュートで奇抜なパステルカラーの80’sファッションでビジュアルも印象的で、前述の学園コメディに花を添えていたので存在感はありました。しかしその存在感に見合うキャラクターの中身が伴いませんでした。台詞のあるミュータントキャラクターで能力を披露していないのは彼女だけです。何か一つでも彼女のミュータントとしての見せ場を与えるべきだったのでは

今回のヴィラン、アポカリプス

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まず、演じた俳優、オスカー・アイザックの演技はおおむね良かったです。最古で最強のミュータントでほぼ神のような存在として威圧的で傲慢でありながらも従者のミュータントたちには愛をも与える、そんなキャラクターを特殊メイクに負けずに演技で表現できていたのは素晴らしかったです。

ですが、脚本的な問題として、彼の持つビジョンが不透明なのが痛い点でした。また、アポカリプスのビジョンをマグニートのミュータントが優位な世界を作りたいというビジョンと混同させないために、アポカリプスは気に入らないもの・人を”すべて”破壊するという行動をとらせます。

ではそのすべてを破壊しつくした後「世界を立て直す」と言ってますが、実際それができたとして、何をどうしたいのかが見えてこないため、ヴィランとしての動機が薄かったです。そしてまだがっかりだった点としては、予告編でも行っていた台詞と同じく明かされていた彼の能力です。予告編でかなり印象的に使われていた”Everything they built will fall, and from the ashes of their world we will build better one.(予告編の字幕では何パターンかありましたが;堕落した文明は崩れ去り、その瓦礫の中から正しい世界を築くのだ)”というセリフ、これはもっと悪役ならではのかっこよさで大勢の一般人や対峙し苦戦するX-MENに対して言われるものだと思っていましたが、実際にこの台詞と聞いているのは彼の従者の四騎士たちだけであり、たった4人を前にこんな必要以上にドラマティックなセリフを言っているので、なんだか中二病みたいに見えてしまいました。

もう一つは、彼の身体の大きさを変えられる能力ですが、これも完全に予告によるミスリードで、実はプロフェッサーとのマインドバトルでのみ使えた能力で実際には大きさは変わらないのです。また、俳優の努力でどうにかなる体重や筋肉の増減とは違い、頑張ってもどうにもできないので仕方ない点ではありますが、アポカリプスは四騎士と5人で並ぶと一番背の低い人物になってしまうのです。

演技面では演じるのがオスカー・アイザックでよかったと思っていますが、もしビジュアル重視で行くならザ・ロックのようなでっかい俳優でもよかったのではないかと思ってしまいます。ドウェイン・ジョンソンほどの人が古代エジプトの民にいるとも思えませんし、巨体で筋肉モリモリで特殊メイクばっちりにしたらMr.フリーズの再来になりそうな気がして今うので決して良い案とは思えませんが、要するに例えばの話です。

お助けキャラウルヴァリン!

x-men アポカリプス 最終予告編

X-MEN映画といえばヒュー・ジャックマンのウルヴァリンですよね。この映画でもほぼ一瞬ですが登場し、結構濃ゆい一瞬でコミック及びX-MEN映画のファンにはたまらないシーンとなりました。野生の本能に任せて悪いやつらをバッサバサとスライスにして、グサグサとメッタ刺しにして、ボコボコに殴るウルヴァリンを見たくないファンはいないでしょう。

筆者はコミックに詳しくないのであまり大したことは言えませんが、ウルヴァリンのウェポンXとしての開発中の頭や口近くに危惧をはめられた姿は有名なコミックの表紙になっているのでコミックのファンへのサービスも忘れていません。またクレジット後のシーンでは女性版ウルヴァリンの登場が示唆されます。続くのがX-MENシリーズかウルヴァリンのスピンオフ映画になるかはわかりませんが、スピンオフであればまたX2以来の、不死身の肉体&アダマンチウムの骨格を持つもの同士の戦いが期待できます。

今回のウルヴァリンの登場はファンとしてはとても楽しめました、ですがボディダブルかCGであることを悟られないためかわかりませんが早すぎる&多すぎるカット割りなのが少し目につきました。俳優も含めてこのキャラクターが好きなので残念というほどではないですが、気になってしまいました。

まとめ

X-MEN映画のいちファンとしてはファンサービスも多かったのでこの映画をとても楽しめましたし、演技の面でもとても素晴らしいパフォーマンスがいくつも見られたので見ていて良い時間を過ごせました。しかし、ファンというファクターを抜いてしまうと悪い・粗い部分が目立ってしまうかもしれません。ですが、これからもおそらく続くであろうX-MEN映画の一つとしてはサムズアップに値する作品でしょう。

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About the author

パンクロックと映画が好きです。ストレートエッジになりたいのに、ストーナーフィルムに憧れています。ヴィーガンです。スタンドアップコメディアンもやってます。

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