【ネタバレありレビュー】映画『X-MEN:アポカリプス』ココが良かった、ココが残念!
脚本や演技によって、このような変化の大きいキャラクターは一貫性を失うこともありますが、彼は芯はブラさずに、しかし、ふり幅は豊かに演じていました。 こうしてみると、新『X-MEN』トリロジーはチャールズ・エグゼビアの成長物語とも見られますね。
ミスティークことジェニファー・ローレンス
今回のミスティークについては、本来のミュータントの姿である青い身体でいる時間が少なく、ジェニファー・ローレンスの姿である時間が多いという批判、また彼女がどの映画でもだいたい同じようなキャラクターを演じ今回もその一つという批判もあるが、確かに事実だけ並べるとその通りで言い返しが出来ません。
しかし、やはり彼女はミスティークであり、ジェニファー・ローレンスもであるので同一の二人から醸し出されるカリスマ性にとても引き込まれました。
もう一つミスティークいつて言及する点が、旧トリロジーでは彼女は悪役の一人なのに主体性があまりなくただマグニートの側近であった、『アポカリプス』における彼女は自らの意志を持ち、プロフェッサーともマグニートとも少し違った視点から行動している点です。今回の脚本によるミスティークはキャラクター作りがとても強い女性像になっているので、ジェニファー・ローレンスによる”ジェニファー・ローレンス的”なキャラクターにはとてもマッチしていると感じられます。
今回もやってくれたぜ!クイックシルバー!
『X2』のマグニートの脱獄を見たとき、「こんなかっこいい能力の使い方があるのか!しかも見せ方もイカしてる!」と感心したものです。
そしてそこからX-MEN映画にはこのような最高の能力と見せ方のコンビネーションと期待していました。ですが、X3、FCと2本のウルヴァリンではそのような映像と能力を活かしたものが見られませんでした。しかし、DoFPのクイックシルバーを観て、「これだよ!ずっと見たかったやつ!」と軽くX2でのマグニートのシーンを超える映像を見せられて、興奮したものです。同時に、また新しいX-MEN映画はあれを超えることができるのか?と少し不安にもなりなした。
そして『アポカリプス』を観てる最中に彼が登場してからは期待と不安で胸が膨らみました。彼が能力を発揮してくれたら、何のことはない、不安は消え去り、また観る者を最高の興奮へと押し上げてくれました。
ロックバンドのTシャツを着て、当時はやりのディスコミュージックを聞いていかにも俺イケてる、といった風に涼しい顔をして、ミュータントの子供たちを学園の爆破から救います。
また、前回のクイックシルバーは一回衝撃的な登場をした後、すぐに映画の表舞台からは立ち去ってしまいました。ですが、今回はもう一回彼の超スピードが見られるのです。しかも、2回目はアポカリプス相手に「フッ、こんなヤツ」というような表情をして高速でボコボコに殴るという、誰もアポカリプスを相手に至近距離戦をしない中こんなことをやってのけてくれるのが最高でした。
ジーンとスコットなど若きミュータントたち
新トリロジーでは初登場のジーン、スコットakaサイクロップス、ナイトクローラー、アークエンジェル、ストーム、サイロック、ジュビリーなど若いミュータントたちがほとんどは魅力的に描かれていました。特に学園組はちょっとした80’sな雰囲気のティーンコメディ的な要素も見せてくれて、X-MEN映画にこの感じのコメディを予想はしてなかったので新鮮でした。
「スターウォーズってEP.5が最高で、今見たEP.6は微妙だったね」という製作側がデッドプールを見た後にとってつけたようなメタいジョーク(旧トリロジーの3作目を皮肉っている)もありましたが、面白いし笑ってしまうので製作の意図が見えても許せます。
また、サイクロップスがプロフェッサーの大事な木をなぎ倒してしまうシーン、ヨーロッパ出身のナイトクローラーがこれから起こる戦いのため学園に連れてこられたのに、アメリカに来た普通の留学生のようなノリで「アメリカの”モール”って場所に行きたいんだけど」も笑えました。X-MENは差別に苦しむといったテーマが多い中、このようにコミカルなシーンをふんだんに盛り込むのは良い術でしょう。
そして、旧トリロジーにも登場するジーン、スコット、ストームには今回オリジンストーリーが与えられているのが印象的でした。時系列改変の問題でX1には直接繋がりはしないですが、似たような世界になる考えれば今回提示された関係性も納得できます。
さて、問題のサイロックとジュビリーですが、この二人はなぜいたのかが本当にわかりませんでした。サイロックはアポカリプスの四騎士に加入する理由も説明されず、ただただセクシーな戦士枠でそこにいただけな印象でした。演じている女優も綺麗でコスチュームはセクシーでバトルもなかなかといったビジュアル的には申し分ないのに、キャラクターの動機が一切されず、魅力的なキャラクターになるポテンシャルがあるのに、ただの目の保養になっていたのが残念です。