『アベンジャーズ』の核爆発シーンを物理学の専門家が見たら「10点中1点」の評価に

2012年のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『アベンジャーズ』で、アイアンマン/トニー・スタークが核ミサイルを宇宙空間に持ち出して爆発させたのは、科学的に可能な描写なのか?映画のあらゆるシーンに対して専門家が“どれだけ現実的か”を語る米Insiderの企画に、『アベンジャーズ』が登場した。
解説を行うのは、ローレンス・リバモア国立研究所の核兵器物理学者グレッグ・スプリッグス。映画の核爆発シーン全7作を、専門家として評価した。
映画『アベンジャーズ』クライマックスとなるニューヨーク決戦では、アイアンマンが発射された核ミサイルを抱え、ワームホールを通じて宇宙空間に飛び出すと、チタウリ軍の母艦めがけて命中させる。艦船は爆発を起こし、これにより敵の地上艦隊は一斉に無力化して勝利を収めるが、そのためにアイアンマンは命懸けの自己犠牲を払ったのだった。
映画では、大気圏内を飛行していた核ミサイルが速度を落とさぬまま宇宙空間を飛び、チタウリ母艦に的中すると、すぐさま爆発を起こした。スプリッグス氏は専門的な見地から、「大気圏外ではなく、真の宇宙空間に核兵器を持ち出し、爆発させたとすると、実際には蒸発してしまうんですね。核兵器自体にエネルギーが蓄積されるからです」と分析。映画のような大爆発は起こらないことを語った。また、「宇宙空間に衝撃派はありません。衝撃派は他の媒体を介しながら撹乱する時にのみ起こります」とも捕捉している。
劇中で爆発を起こしたチタウリ母艦では、まずミサイルが命中した中央部分に爆炎が見られ、眩い閃光を放った後、球体型のガス爆発が中央から外側にかけて急速に拡大した。これに対してスプリッグス氏は、「“ガスの球”は核爆発そのものとは関係がない」と解析する。「おそらく、もともと燃料が積載されていて、それが爆発したのでしょう。 爆発が宇宙船の全長に連鎖していくのなら、爆発は長く続く。しかし、爆発が瞬間的なものであれば、ほぼ瞬間的に冷えてしまうでしょう」。
スプリッグス氏は、「宇宙空間では“放射冷却”というものが起こる」と説明。実際には、「明るい閃光が見え、それが10〜20マイクロ秒続き、そして真っ黒になる」と予想した。
最終的に『アベンジャーズ』の核爆発シーンについて、科学者の見地からは「あまり好みではない」描写だと評価。点数は10点満点中1点となった。
この企画でスプリッグス氏は、他の作品にも同様に解説と評価を行っている。『アルマゲドン』(1998)は1点、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2007)3点、『ブロークン・アロー』(1996)1点、『アメリカン・アサシン』(2017)2点、『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964)は2点。最も高得点となったのは『ダークナイト ライジング』(2012)と『オッペンハイマー』(2023)の7点だった。
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