【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』最大の鍵、◯◯◯◯◯◯◯徹底解説 ─ ◯◯◯の疑問、これで解消

ふたりのサノスの消滅
『アベンジャーズ/エンドゲーム』においては、2014年においてインフィニティ・ストーンを求めていたサノスが、当時のネビュラに混じり込んだ“現代のネビュラの記憶”によって、インフィニティ・ストーンを一気に獲得すべく動き出すことになる。自分の目的が未来で達成されること、それに納得しない「アベンジャーズ」というヒーローが存在することを知り、2014年のネビュラを使ってヒーローの殲滅を画策するのだ。

現代のネビュラに化けて、2014年のネビュラはピム粒子を使って現代にやってくる。そのネビュラの誘導によって、2014年のサノスも現代へとやってくるのだ。ネビュラが過去に戻り、そこで作戦に失敗し、別の展開が生まれてしまったために、2014年では“新しい未来”が元の時間から分岐している。ヒーローの計画に気づいたあとのサノスは、『インフィニティ・ウォー』で暗躍し、そして『エンドゲーム』冒頭で死亡したサノスとは別のサノスだと考えるべきだろう。
ともかく、本作に登場するサノスは二人とも最後には命を落としている。冒頭でソーに首を斬り落とされたサノスは、私たちがMCUにおいて『アベンジャーズ』から『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』まで観てきたサノス本人だ。2014年から現代に登場し、破壊のかぎりを尽くし、最後には塵と消えたサノスは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の時点から分岐した別のサノスである。おそらくサノスがいた宇宙においては、サノス軍は突如宇宙から消滅したということになるだろう。ピム粒子で過去のヴォーミアを訪れ、そこで命を落としたブラック・ウィドウが、元の世界に帰ってくることができなかったのと同じように……。
なお「タイムトラベル」をめぐっては、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカをめぐる大仕掛けが映画の結末に用意されていた。ペギー・カーターやキャプテン・アメリカの盾をめぐるタイムトラベルについては、追って別記事で解説する。
タイムトラベルはどうして生まれた?
それにしても驚かされるのは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で採用されたタイムトラベルというアイデアが、あらゆる意味で実に理にかなっていることだ。過去11年間22作品にわたるMCUの集大成として、過去の光景をもう一度見せながら、新しいレイヤーを重ねるという手段はファンの目にも楽しいし、前作と共通する「インフィニティ・ストーンを様々な場所から集めてくる」というストーリーを、今度はヒーローの視点から『インフィニティ・ウォー』と鏡の構造にして描くことにも成功している。
さらにいえば、MCUに多元宇宙の可能性をはっきり示したことは非常に大きい転換だ。ソーと母親フリッガのエピソードを、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』から約6年越しできちんと描き切ったことも、ソーをめぐる物語をひとまず完結させる上では非常に大きかったといえる。
脚本家のマルクス&マクフィーリーは、『エンドゲーム』にタイムトラベルを導入するというアイデアが、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長によるものだったことを明らかにしている。
マクフィーリー「ケヴィンが、“タイム・ストーン、もしくは時間という要素を使いたい”と言ったことがあったんです。時間を扱って、しかも映画全体を破壊せずに済む、できるかぎり最もユニークな方法は何だろうかと数週間悩みました。」
マルクス「全員で“えっ、タイムトラベルをやるの?”って。そこで使えるキャラクターについて考えていたら、まだアントマンを使っていないことに気づきました。(『アントマン』シリーズには)量子世界の仮説があって、MCUの時間要素がある。しかも今すぐ使うことができて、しかもまだ使っていないキャラクターだった。ここに抜け道があったのか、と。」
ちなみに脚本家ふたりは、今回のストーリーを考案するにあたって、過去に生み出された、あらゆる“タイムトラベルもの”を再確認。その結果、「過去を変えれば現在が変わる」というアイデアがうまくいかないことを悟ったという。
マクフィーリー「マクガフィン(登場人物や物語を左右する重要な小道具)が6つあって、しかも過去に戻るたびに何かを変えるなんて、(『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で)ビフがカジノを作るようなくだりが爆発的に増えるってことですよ。そんなことはできません。何人かの物理学者に聞いたんですが、全員、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は間違いだって言いますしね。」
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映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html
Source: 贵圈, New York Times, SR