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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』、コミック「ハウス・オブ・M」の脚色が検討されていた ─ 『インフィニティ・ウォー』でノヴァ登場の計画も

アベンジャーズ/エンドゲーム
ⒸMarvel Studios 2019

「ハウス・オブ・M」と『アベンジャーズ/エンドゲーム』

The Hollywood Reporterにマルクス&マクフィーリーが語ったところによると、60ページにわたる書類には大小さまざまなアイデアが綴られていたという。二人はマーベル・スタジオ側に書類を提出し、スタジオが求めるものを探るという作業を行っていたのだ。実現したアイデア、実現しなかったアイデア、さまざまな内容が記されていたであろう中で、二人が口を揃えたのが「ハウス・オブ・M」である。

日本では『X-MEN/アベンジャーズ ハウス・オブ・M』との書名でヴィレッジブックスより邦訳版が刊行されている「ハウス・オブ・M」は、2005年に刊行された大型クロスオーバー・シリーズで、アベンジャーズとX-MENが全面的に共演。ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチの力によって現実世界が改変され、多くのヒーローが改変前の記憶を失ってしまった中で、記憶をとどめていたウルヴァリンがヒーローを目覚めさせ、問題の根源に迫り、世界を取り戻そうとするストーリーだ。

『インフィニティ・ウォー』の執筆以前といえば、もちろんウォルト・ディズニー・カンパニーと20世紀フォックスの事業統合など想像もされていなかった頃だろう。おそらくマルクス&マクフィーリーは、X-MENを登場させずに「ハウス・オブ・M」のストーリーを脚色する意向だったとみられる。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』サノス
ⒸMarvel Studios 2019 Supplied by LMK 写真:ゼータイメージ

実際のところ、『エンドゲーム』の脚本に当時のアイデアがどれほど残ったかはわからない。しかし「ハウス・オブ・M」の翻案が検討されていたと明かされて気づくのは、『エンドゲーム』のストーリーが「ハウス・オブ・M」の構造を基本的に踏襲していることだ。

『インフィニティ・ウォー』でサノスによって全生命の半分が消滅させられたあと、『エンドゲーム』でヒーローはストーンを集め直し、指を鳴らすことで生命を取り戻そうとするが、これは「ハウス・オブ・M」の“改変された世界を元に戻す”という大枠の構造に一致する。終盤、ストーンと指パッチンをめぐってヒーローとサノス軍が激突する展開には、“世界の姿を変えてしまうのか、それとも元に戻すのか”という映画そのものの骨格が直接表れているのだ。

また『インフィニティ・ウォー』でサノスが生命の半分を塵と消したことは、公式に「The Decimation(大量殺戮)」呼称された。一方、「ハウス・オブ・M」ではスカーレット・ウィッチの力によってミュータントの大半が力を失うが、その後の出来事が描かれたシリーズは「Decimation」(2006年刊行)というタイトルである。これらは、『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』という2本の映画が、コミック『インフィニティ・ガントレット』(小学館集英社プロダクション刊)と「ハウス・オブ・M」を参考に構想されていたことを示すには十分な情報だろう。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』サノス
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

なおマクフィーリーは、現在でも「ハウス・オブ・M」の映画化については「最高の作品になる」と考えているよう。ただし『エンドゲーム』を終えたばかりの今、その脚本を自ら執筆することには消極的だ。マルクスもクロスオーバーを執筆するのではなく、「個人的には一人のキャラクターを立ち上げて、最初から描くことに興味があります」と話している。

ちなみに60ページの書類には、『インフィニティ・ウォー』に銀河を守るヒーロー、リチャード・ライダー/ノヴァを登場させるアイデアもあったそう。マルクスいわく、サノスがノヴァ軍を襲撃してリチャード以外を全滅させてしまい、ノヴァが緊急事態を告げにやってくるという展開だったという。すなわち、『インフィニティ・ウォー』冒頭でブルース・バナー/ハルクが担ったポジションをノヴァが請け負う可能性もあったのだ。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

Source: THR

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。