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「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」コロナ禍で「当初よりも重要な作品に」 ─ 製作陣が語る現代性・同時代性

ファルコン&ウィンター・ソルジャー
ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』 3月19日(金)日米同時配信

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、本来ならば2020年8月、映画『ブラック・ウィドウ』に続いて登場する“初めてのテレビ作品”となるはずだった。しかし新型コロナウイルスの影響により、マーベル・スタジオはスケジュールの見直しを迫られる。その結果、初のテレビ作品は「ワンダヴィジョン」になり、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は『ブラック・ウィドウ』に先がけてのリリースとなった。

Entertainment Weeklyによると、コロナ禍はMCUの全体図に大きな影響を及ぼしていないという。それは、準備されていた各作品が比較的独立しているか、あるいは『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)に繋がっているため。新作同士が密にリンクしていないぶん、なんとか事なきを得たのである。しかし「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の製作チームは、この混乱をどう捉えていたのか。

本作は2019年10月末に撮影開始後、コロナ禍の影響により、2020年3月上旬に撮影を中断している。当時、監督のカリ・スコグランドは“ロックダウンは数週間で終わるだろう”と踏んでいたが、実際に撮影が再開されたのは9月上旬。実に約半年の中断となった。もっとも監督は、その期間も製作の手を緩めていなかったことを認めている

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「コロナで撮影が中断された後、休まずにポストプロダクションに入りました。編集を続けられたし、考えを深めることができたんです。世界が変わっていく中で、こちらは自分たちの焦点をさらに絞ることができた。だから現場に戻った時には、自分たちがどうすべきなのか、シリーズを仕上げるために何を撮ればいいのかが明らかでした。(パンデミックでは)何も変わらず、自分たちの助けにさえなったと思っています。」

この言葉通り、再開後の撮影はスムーズに進行し、製作チームは翌10月にシリーズの撮影を終えることとなった。

しかしながら、コロナ禍が影響を及ぼしたのはスケジュールだけではない。世界的に情勢が変化し、人々の考え方が変わった以上、もはやそれ以前と同じように作品を受け止められなくなる可能性もあるのだ。ただし本作の場合、ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ役のセバスチャン・スタンは「自分たちの作っていたものが、当初よりも重要なものとなったように思いました」と話している。「2020年、僕たちがあらゆる形で経験したことに踏み込んでいるんです」

「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)から約6ヶ月後、“指パッチン”によって消えた人々が戻ってきた世界を描く。脚本・製作総指揮のマルコム・スペルマンは、そこにはコロナ禍の現在に通じる要素があると語った

「このシリーズの理念は、“私たちを未来へ導く、今の時代のヒーローを作り出すこと”でした。そのために彼らは、一般の人々が受け止めている問題に向き合わなければなりません。現在のパンデミックを経験している人なら誰でも、人口の半分が戻ってきたという世界的問題に直面する人々の気持ちがわかることでしょう。世界的問題のポイントは、それによって人々が団結したり、分断されたりするということ。本作ではそういう葛藤を描いていますし、それがすべてのエピソードを明確にしているのです。」

またスコグランド監督は、コロナ禍において“ヒーロー”のあり方も変化していると指摘する。「昔ながらのヒーローは戦士や兵士として描かれてきましたが、今のヒーローには責任ある市民も含まれます。(救急隊員・消防士・救助者などの)ファースト・レスポンダーもそう。現在の世界情勢下では、これまで以上にそうなりつつあります」。そして監督は、ファルコン/サム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)もまた“最前線のファースト・レスポンダー”なのだと述べた。「“ヒーローとは何か”という私たちの問いの中では、彼らの存在が大きな役割を担っています」

ディズニープラス オリジナルドラマシリーズ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』 は2021年3月19日(金)より配信中。

Sources: Entertainment Weekly, Collider, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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