『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』徹底解説 ─ あらすじ、小ネタからキャスト情報まで完全ガイド

J・K・ローリング原作、世界的ベストセラー小説『ハリー・ポッター』シリーズの映画版シリーズ第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)は、ファミリー層だけでなく大人の映画ファンも唸らせた一作。のちに『ゼロ・グラビティ』(2013)や『ROMA/ローマ』(2018)を手がけるアルフォンソ・キュアロン監督は、ちょっとダークなアプローチで原作の大胆な映像化に挑んだ。
本記事では、あらすじから名優ぞろいの出演者たち、監督、小ネタをじっくりとご紹介。鑑賞のお供に是非どうぞ。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』予告編
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』あらすじ
魔法使いの少年ハリー・ポッターはホグワーツ魔法魔術学校の3年生。夏休み、ハリーは人間界で魔法を使用してダーズリー家を抜け出してしまった。しかもその道中、ハリーは魔法省の大臣コーネリウス・ファッジと遭遇。ところがファッジはハリーを見逃すと、アズカバンの監獄に服役していたヴォルデモートの手下、シリウス・ブラックが脱獄したことを明かした。
噂によると、シリウスはハリーの両親の死に深く関わっており、今はハリーの命を狙っているという。生徒を守り、シリウスを捕らえるとの名目で、ホグワーツにはアズカバンの看守・吸魂鬼(ディメンター)が現れた。「闇の魔術に対する防衛術」の新任教授リーマス・ルーピンは、ハリーに「守護霊の呪文」を教える。そんなある日、魔法族が暮らす村・ホグズミードを訪れたハリーは、シリウスが父親の親友であったこと、しかし父を裏切って闇の魔法使いの手下になったことを知り……。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』小ネタ解説
1.クリス・コロンバス監督降板の理由は?
シリーズ第3作となった『アズカバンの囚人』では、前2作の『賢者の石』と『秘密の部屋』を手掛けたクリス・コロンバス監督が降板。その理由は、前2作で身体的に疲れ果ててしまったため。また、「2年半の間、子供達と一緒に夕食を食べられなかった」というのも理由のようだ。「4人の子どもが居ますが、今では一緒に過ごせています」と2002年のインタビューで語っている。
2.ハリー、ハーマイオニー、ロンの3役者への「宿題」
新たに監督に就任したキュアロン監督は、ハリー役ダニエル・ラドクリフ、ハーマイオニー役エマ・ワトソン、ロン・ウィーズリー役ルパート・グリントに、役を理解するため「自分のキャラクター視点のエッセイを書く」という宿題を出した。
ハーマイオニーのように優等生のワトソンは16ページにも及ぶエッセイを書き上げて提出。ハリー役ラドクリフは1枚に書きまとめた。そしてロン役のグリントは……1枚も書かなかったという。
3.シリウス・ブラックのタトゥー
『アズカバンの囚人』では、ゲイリー・オールドマン演じるシリウス・ブラックが初登場。彼の身体のタトゥーは、ロシアの刑務所内のギャングたちのタトゥーを参考にしてデザインされたという。
4.二代目ダンブルドアをイアン・マッケランが断った理由
ダンブルドア校長先生を演じたリチャード・ハリスが今作までに他界したため、『アズカバンの囚人』からはマイケル・ガンボンが引き継いだ。ここにはイアン・マッケランも候補に挙がっていたが、既に『ロード・オブ・ザ・リング』で魔法使い(ガンダルフ)を演じていたマッケランは「伝説の役はひとつで充分。二役なんて望みすぎだ」と断っている。
5.目じゃなくて氷です
ハリーたちが乗るホグワーツ・エクスプレスにディメンターが現れるシーンでは、雨が氷に変わる。アルフォンソ・キュアロンが雨を“氷(ice)”にしたいとアイデアを語った際、監督のメキシコ訛りの英語を視覚チームが“目(eyes)”と聞き間違えた。そのため最初のストーリーボードの同シーンは目玉が降ってくる画になってしまい、監督を驚かせたという。
6.シビル・トレローニー先生役はエマ・トンプソン
占い学のシビル・トレローニー先生を演じているのは、『ハワーズ・エンド』(1993)『ラブ・アクチュアリー』(2003)や『メン・イン・ブラック』シリーズのエマ・トンプソン。当時4歳だった娘を喜ばせるためオファーを引き受けたという。ちなみに同役オファーはティルダ・スウィントンにも渡ったが、断られている。