『イン・ザ・ハイツ』圧巻の無重力ミュージカルシーン、名作オマージュの本編映像

『ハミルトン』リン=マニュエル・ミランダによる傑作ブロードウェイ・ミュージカルの映画版『イン・ザ・ハイツ』より、コーリー・ホーキンズ演じるベニーと、レスリー・グレース演じるニーナのデュエットシーンが公開された。ミュージカルシーンに多彩が演出が詰まった本作だが、このシーンのポイントは「無重力」。その一端をチェックするとともに、こだわりの制作秘話をどうぞ。
夕焼けが照らすジョージ・ワシントン・ブリッジをバックに、ベニーとニーナの二人は、ベランダで自分たちの未来を歌い始める。楽曲「When The Sun Goes Down」のなか、ベニーは建物の壁に足をかけ、歩きはじめた。ニーナもベニーの手を取り、二人で壁の上をダンスする。
THE RIVERのインタビューにて、ベニー役のコーリーは「ジョン・M・チュウ(監督)は重力を操り、二人が願うままに世界を回転させ、世界を曲げてしまいます。あのシーンは、ベニーとニーナの『雨に唄えば』(1952)だと思う」と述べていた。コーリーが最も印象に残っているクライマックスの一部が、このたび公開された映像なのである。
ところで、コーリーが『雨に唄えば』を挙げた一方、本作の振付を担当したクリス・スコットは、フレッド・アステア主演の名作ミュージカル映画『恋愛準決勝戦』(1951)を参考にしたことを明かしている。
「(撮影の)仕組みは、フレッド・アステアが『恋愛準決勝戦』で披露した、床と壁と天井の4面を使ったダンスシーンと同じです。カメラとセットの壁が固定されていて、同時に回転する仕組みになっている。『恋愛準決勝戦』は屋内でしたが、本作は外壁で踊るようにデザインされています。アニメーションなどは追加せず、本当にすべて踊ってるんですよ! 難しかったのは、実際に回転するセットで練習する時間が限られていたこと。テーブルを逆さまにして、階段に見立てて、“多分こんな感じ”とか想像しながら作り上げなくてはいけませんでした。こういう難しいシーンを成功させられたのは、長年一緒に仕事をしてきた、僕とジョン・M・チュウ監督、撮影監督のアリス・ブルックスのお互いへの信頼があったから。ジョンとアリスは僕を振付師として信頼してくれているし、僕も、アリスが僕のビジョンを捉えてくれていると信頼しています。」
ニーナ役を演じ、DC映画『バットガール(原題)』にも抜擢された新鋭レスリー・グレースは、撮影を振り返って「本当に大変でした。遊園地の乗り物みたいな感覚だった」と話す。「セットが完成するまでは練習もできなかったので、撮影も一番最後だったんです。ベニーとニーナにとって大切なシーンなので、成功させるため、コーリーと精一杯の愛情と努力を注ぎました。今でも身体の一部がセットに残ったままなんじゃないかっていうぐらい、身を粉にして頑張りましたね。その甲斐があるシーンになったと思います」。
往年の名作ミュージカルへのオマージュも込められ、スタッフ・キャストが一丸となって取り組んだ、劇中でも屈指のロマンチックなシーン。その全貌はぜひ劇場にて。
映画『イン・ザ・ハイツ』は2021年7月30日(金) 全国ロードショー。
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