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【特集】ブラック・ウィドウの過去と現在 ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』での変化、ヒーローたちとの関係は

女優スカーレット・ヨハンソンが演じるナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウは、2010年『アイアンマン2』以来、マーベル・シネマティック・ユニバースを支えるキーパーソンだ。2018年時点で単独映画こそ製作されていないが、複雑な背景ゆえに様々なヒーローと関係を築き、その活躍を強力にバックアップしてきた。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、そんなブラック・ウィドウには大きな変化が生じている。トレードマークだった赤髪がブロンドヘアになったのだ。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)を経たナターシャは、本作までにいかなる経験を経て、そしてサノスとの対決で何を見せてくれるのか。現在までの経緯や、ヒーローたちとの関係性を振り返っておくことにしよう。

注意この記事では、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の設定や内容に言及しています。

ブラック・ウィドウの過去と現在

『アイアンマン2』ののち、『アベンジャーズ』(2012)でチームの一員として、また『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)ではスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカをサポートする“相棒役”として活躍したブラック・ウィドウだが、その背景を読み解くために最も重要なのは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)だろう。未だ多くは説明されていないものの、ナターシャがスパイとして厳しい訓練を受けたこと、子供を持てない身体になっていることが明かされたのだ。

続く『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で、ヒーローを国連の管理下に置く「ソコヴィア協定」をめぐってスティーブとトニー・スタークが対立する中、ナターシャはトニーの側に付いた。しかし、その一方でスティーブを一人にしない配慮を見せ、彼の望みにも貢献する姿勢をも見せている。アンソニー&ジョー・ルッソ監督は、同作の音声解説にて、ナターシャを「最も成熟したキャラクター」だと述べ、元ヴィランゆえに他者の気持ちを理解できる人物として描く意図を明かしていた。

そして本作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、『シビル・ウォー』から2年後の物語だ。その前日譚コミック“Marvel’s Avengers: Infinity War Prelude”には、ナターシャが逃亡者となったキャプテン・アメリカ、サム・ウィルソン/ファルコンとともに反テロ活動の最前線を戦う様子が描かれている。
『シビル・ウォー』以降のナターシャやスティーブらについて、スカーレットは「政府の支援も受けず、大衆にも支持されず、多くのミッションに関わっていたんだと思います。逃亡者のようにしながら、人々のためベストを尽くそうとしてるんです」述べた。また記事冒頭で触れたブロンドヘアについて、彼女はこのように説明している。

「ジョーとアンソニーは、(『シビル・ウォー』から)一定の時間が過ぎたことを表現したいと考えていました。ブラック・ウィドウとキャプテン・アメリカは、二人とも人々に見つからないように行動しているんですよね。[中略]監督たちには、私とキャップを今までとは違う見た目にする意図がありました。“よし、ブラック・ウィドウが疲れ切るまでの物語があったことを示してみよう”って思いましたね。」

キャプテン・アメリカ、ハルクとの関係

おそらく『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』において、ブラック・ウィドウはキャプテン・アメリカと強い結びつきをもったキャラクターとして描かれることになるのだろう。スカーレットは、ハードな人生を送ってきたナターシャについて、『シビル・ウォー』を経て「以前よりも態度を硬化させたんじゃないかな」話している。しかし逃亡者となったキャプテン・アメリカにとって、その性質こそが彼を導くことになったのかもしれない。キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスはこう述べる。

「スティーブは、世間の中で少し硬化し始めているんじゃないかと思います。でもナターシャは経験と知識という点で、いつも彼の数歩先を行っている。彼らは、理由は異なりながらもお互いに頼り合っているんです。それで友情がより深まったんですよ。」

ただし政府から追われる身となったこと、反テロ組織に身を置いてひそかに活動していることは、キャプテン・アメリカとブラック・ウィドウにとって非常に過酷な状況なのだろう。その環境が二人の関係性に負荷をかけていることを、スカーレットは明らかにしている。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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