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徹底解説『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』予告編 ― ヒーロー集結、最凶の脅威、ユニバースの過去と未来

https://www.youtube.com/watch?v=6ZfuNTqbHE8 スクリーンショット

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編は、かつてニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)の口から聞かれた言葉の反復から始まる。

「ある計画があった。並外れた人物を集めて、それ以上の存在になりうるかを確かめるというものだ。俺たちは求められれば戦うことができた。誰も勝てなかった相手にも。」

フューリーの声からドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)、ヴィジョン(ポール・ベタニー)、ソー(クリス・ヘムズワース)、そしてブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)へとバトンタッチしながら語られるのは、『アベンジャーズ』(2012)でフューリーが「アベンジャーズ計画」について明かしたセリフの引用だ。
かつてはヒーローたちが「結束できるかどうかを試したかった」といわれた部分が、現在では「結束して戦った」ことを示すものへと変わっているのである。

2008年『アイアンマン』から始まったマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、本作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で史上最大の転換期へと突入する。数多のヒーローがスクリーンに顔を揃え、それぞれの作品で展開してきた物語が、闇の帝王サノスの襲来によってひとつにまとまろうとしているのだ。
本記事では、米国版予告編に散りばめられた情報の数々を紐解きながら、やがて訪れるクライマックスについて検討していきたい

注意

この記事には、マーベル・シネマティック・ユニバース作品のネタバレ、および『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレになりうる内容が含まれています。

ブルース・バナー、地球への帰還

どことも知れぬ場所で神妙な顔をしたトニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr.)、宇宙からついに帰還したブルース・バナー(マーク・ラファロ)、その姿を見下ろしているらしいドクター・ストレンジとウォン(ベネディクト・ウォン)、スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)と人間の姿をしたヴィジョン(ポール・ベタニー)、宇宙船に乗るソー、ハルクバスターらしきアーマーの傍らに立つブルース、そしてブロンドヘアとなったナターシャ。

予告編の冒頭、約30秒間には、過去作品から直接つながった要素が早くも多数散りばめられている。たとえば『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のポストクレジットシーンでは、アスガルドを脱出した救出船の前にサノスの宇宙船「サンクチュアリII」現れていたが、そこから何が起こってブルース/ハルクは地球へ戻ってくることになったのか。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)以来の登場となるハルクバスターは、なぜ再びお目見えすることになったのか。

コミックの有名エピソードからの引用でいえば、やはりスカーレット・ウィッチとヴィジョンの恋愛模様が描かれることになりそうなことも注目ポイントだ。先日は『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』の出演者として“2歳くらいの双子”が募集され、二人の子供ではないかと予想されてもいた。

ニューヨークに現れた「ポータル」

おなじみのマーベル・スタジオによるロゴが流れると、場面はニューヨーク。ドクター・ストレンジの屋敷であるサンクタム・サンクトラムには、どういう理由からかトニー&ブルースの姿がある。トニーの手に、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)のラストでスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)から届けられた携帯電話が握られていることに注目しよう。屋敷の外には、何かから逃げるように走っていく人々の姿が見える。
一方、バスに乗っているピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド)は、スパイダーセンス(第六感)を体得していた。尋常ならざる気配を感じたピーターが窓の外を見ると、ニューヨークの上空には巨大なポータルが出現していたのだ。すでに崩壊の始まった街中には、トニー&ブルース&ストレンジ&ウォンの4人が立っている。

こうしてニューヨークに起こった異変が映し出される中、その背景にはサノス(ジョシュ・ブローリン)の語りが聞こえてくる。

「いずれ、負けるとはどういうことかを知ることになる。自分たちは正しい、まだ諦めてはいないと心から感じるんだ。」

つづいてロキ(トム・ヒドルストン)が人々の倒れる中に現れ、スペース・ストーンをかざす。『マイティ・ソー バトルロイヤル』の終盤で意味深に映し出されたテッセラクトは、やはりロキの手に渡っていたのだ。「恐れろ、逃げろ。運命がやってくる。」そしてサノスが、とうとう地球にその姿を現す。

『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)に登場した新スーツを身にまとったスパイダーマンがポータルに立ち、右目にアイパッチをしたソーが謎の円形の物体にしがみつき、そしてサノスの部下であるブラックオーダーの一員、プロキシマ・ミッドナイトは、槍のような武器をシルエットに投げつける。その槍を片手でつかむのはキャプテン・アメリカだろうか?

「盾を手に入れろ」キャプテン・アメリカ、再登場

本作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でカギを握ることになりそうなのは、『ブラックパンサー』(2018年3月1日公開)の舞台であるワカンダ王国である。キャプテン・アメリカの盾の素材でもあるヴィブラニウムの産出国で、科学と神秘を併せ持つ謎めいた国だが、その実態は『ブラックパンサー』までお預けとなりそうだ。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で追われる身となったキャプテン・アメリカは、髭を生やした姿で本作に登場する。ティ・チャラのセリフは、彼の盾が重要な役割を果たすことを示唆してもいるだろう。

「街から離れろ、自分たちの身を守るんだ。そして、この男の盾を手に入れろ。」

ワカンダと思しき場所にハルクバスターが現れ、巨大な物体が天から地面へと降り注ぎ、4本の腕をもつ異星人とブラックパンサーが格闘する。さらに別の場所ではブラック・ウィドウやストレンジが脅威に対峙し、スパイダーマンがサノスの圧倒的な力によってねじ伏せられてしまう。

「楽しいことは、宇宙のバランスを取りながら考えるようなものじゃない。しかし、これは笑える。」

サノスの声が響く中、ヴィジョンの額に埋め込まれたマインド・ストーンにはブラックオーダーと思しき人物の武器が突きつけられる。サノスのガントレットには、ロキが手にしていたスペース・ストーンと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)に登場したパワー・ストーンが埋め込まれているが、ロキはまたしても裏切ったのか、それともサノスの前に敗れてしまったのか。また、パワー・ストーンはいかなる経緯でサノスの手に渡ったのだろうか。そしてサノスは本作のうちに、どこまでインフィニティ・ストーンを集めてしまうのだろう……。

アイアンマンがサノスへの一騎打ちを仕掛ける中、ワカンダではブラックパンサーを筆頭に、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』での冷凍から目覚めたバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)とキャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ファルコン(アンソニー・マッキー)、ハルク、そして再び前線へと復帰するらしいウォーマシン(ドン・チードル)らが大群を率いての乱戦に挑むようだ。
それにしても、サノスの部下たちが大挙してワカンダを襲撃するということは、最後のインフィニティ・ストーンであるソウル・ストーンは、やはりワカンダに存在するということだろうか?

おなじみ『アベンジャーズ』のテーマ曲とともにタイトルロゴが現れたあと、予告編はソーがガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと対面する場面で終わる(こちらも『マイティ・ソー バトルロイヤル』直後の場面だと思われる)。
ミラノ号の中には、キャプテン・アメリカと同じく髭を生やしたスター・ロード(クリス・プラット)をはじめ、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)やドラックス(デイヴ・バウティスタ)、マンティス(ポム・クレメンティーフ)、ロケット・ラクーン(声:ブラッドリー・クーパー)、そして『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)のラストを思わせるグルート(声:ヴィン・ディーゼル)が顔を揃えているのだ。


今回の予告編に登場していない主なヒーローは、クリント・バートン/ホークアイ(ジェレミー・レナー)とスコット・ラング/アントマン(ポール・ラッド)だ。二人とも撮影に参加していることは判明しているだけに、なぜ画面に登場しなかったのかはわからない。もっともMCUの主要キャラクターゆえ、「登場しなかった」というよりは何らかの理由で「登場させられなかった」のだと考えてもいいのかもしれないが……。
またニック・フューリーの姿がないほか、『マイティ・ソー バトルロイヤル』のヒロインとして登場したヴァルキリー(テッサ・トンプソン)や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でサノスへの復讐を誓って去ったネビュラ(カレン・ギラン)らも登場していない。

本作を手がけるアンソニー&ジョー・ルッソ監督は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)と『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でシリアスな群像劇を見事な手つきでさばいてみせた俊英である。ジョス・ウェドン監督による『アベンジャーズ』シリーズの前2作とは明らかに異なる作風、一連の物語をクライマックスに到達させようという気概は、今回の予告編から十分に伝わってくるだろう。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

Sources: https://www.cbr.com/marvel-avengers-infinity-war-teaser-trailer/
http://collider.com/avengers-infinity-war-trailer-breakdown/
http://comicbook.com/marvel/2017/11/29/avengers-infinity-war-trailer-nick-fury-avengers-1-quote/
http://comicbook.com/marvel/2017/11/29/avengers-infinity-war-captain-america-civil-war-phone/
Eyecatch Image: https://www.youtube.com/watch?v=6ZfuNTqbHE8 スクリーンショット

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。