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【ネタバレ解説】マーベル「ロキ」第4話のミッドクレジットシーンで分かったこと

「ロキ」
(C)2021 Marvel

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ドラマ「ロキ」の第4話『分岐イベント』は、ロキというキャラクターが持つ歴史を大きく示す回となった。その多くは、本シリーズ初の登場となるミッドクレジット・シーンに詰め込まれている。

残すところ2話となった本シリーズで、わずかに映し出されたミッドクレジット・シーンには、疑問符を浮かべた方も多いはず。本記事では、このミッドクレジットシーンで判明したことを整理してみる。

この記事には、「ロキ」第4話『分岐イベント』のネタバレが含まれています。

「ロキ」
(C)2021 Marvel

第4話では、TVAへの疑念が深まるなか、組織内部で大きな乱れが生じた。メビウスをはじめとするTVA職員は、自分たちはタイムキーパーによって作り出されたものと信じ、与えられた運命を全うしていたが、実際には裁判官サヴォーナをはじめとする上層部によって記憶を消されており、職員として働かされていたのだ。

一方、ロキとシルヴィは、タイムキーパーが偽物のアンドロイドであることを突き止めた。その後、ロキはTVAの秘密を知るサヴォーナによって剪定(せんてい)されてしまい、死んでしまったと思われた。

しかし、ミッドクレジットシーンでは、どうやらロキが死んでいないことが分かる。「ここはヘル(地獄)か?死んだのか?」と自問するロキの耳元に「まだだ」と何者かのささやき声。すると、崩壊した街を背景に、子ども1人と大人2人、1体のワニのような生き物が現れたのだ。後に詳しく説明するが、ロキの前に現れたのは、いずれも別世界に存在する変異体のロキだった。

剪定=死ではない

まず大枠の整理として、剪定された者に待ち受ける運命は死のみと考えられていたが、ミッドクレジット・シーンでこの認識が誤りだったことが判明する。目を覚まし、「ここはヘルか?」とつぶやいたロキは、自分の居場所を『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)に登場したヘラが支配する死者の領域だと勘違いするが、ロキがたどり着いたのは現実の世界だった。とすると、メビウスもどこかで生存している可能性はある。

もっとも、このシーンだけではTVAの秘密を暴くことは難しい。ここで鍵を握るのが、ロキの前に現れた変異体ロキたちなのだ。

彼らは、いずれもロキに関係する装飾を身に着けている。片膝をついて座る少年と黄色のスーツに身を包んだ男は、ロキやシルヴィと同様に角(つの)の頭飾りを被り、黒スーツの男は、ロキの兄ソーが扱うハンマー“ムジョルニア”のようなものを持つ。少年が抱えるワニのような生き物にも角の頭飾りが確認できる。謎に満ちた彼らの正体は、原作コミックにヒントが隠されているようだ。

新たな変異体ロキたち

エンドクレジットを確認すると、ロキの前に現れた3人は、少年がキッド・ロキ(Kid Loki)、黄色スーツの男がクラシック・ロキ(Classic Loki)、ハンマーを持った男がボーストフル・ロキ(Boastful Loki)と記されている。それぞれ、「このサイテーな世界の終わり」(2017-)のジャック・ビール、「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)などのデオビア・オパレイ、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)などで知られるリチャード・E・グラントが演じている。

マーベル・コミックの歴史において、ロキは様々な姿で登場するが、少なくともキッド・ロキとクラシック・ロキは同様のキャラクターが存在する。まずはキッド・ロキについて。2010年に刊行されたコミック「Thor」で描かれた「シージ」というタイムラインでは、アスガルドを戦場に、アベンジャーズと、初代グリーン・ゴブリンとして知られるノーマン・オズボーン率いる侵攻軍の決戦が繰り広げられる。アスガルドへの侵攻をノーマンに吹き込んだ張本人であるロキは、途中で改心しアベンジャーズ側につくことに。この後、ロキは裏切りがばれてノーマンに殺されてしまうのだが、新たに生まれ変わることになったのだ。この生まれ変わりこそ、キッド・ロキとして知られるキャラクターなのである。

一方で、リチャード・E・グラントが演じるクラシック・ロキは、キッド・ロキのように同名のキャラクターがいるわけではなさそう。もっとも、クラシック・ロキは、アメコミ界のレジェンドとして知られるジャック・カービーとスタン・リーが1960代に手がけたコミック「Journey Into Mystery」でマーベル・コミック初登場を果たしたロキと同じく、黄色と緑を基調としたスーツを身にまとっている。これこそ、“古典的”を意味するクラシックを冠したキャラクター名が付けられた所以だろう。

それでは、ボーストフル・ロキと角を被ったワニらしき生物は一体何者なのだろう。両者ともに原作コミックで一致するキャラクターは存在しないようだが、原作コミックではムジョルニアを握るロキや動物の姿をしたロキが存在するため、何かしらの形で着想が得られているようだ。

崩壊したアベンジャーズタワー

彼らの正体がつかめたところで、“彼らは一体どこにいるのか”という疑問も浮かんでくるだろう。シルヴィと名乗る女性の姿をしたロキの変異体の例から推測するに、このロキたちも変異体であるはず。荒廃した街の様子から、彼らも終末を迎える星に身を潜めていたと考えられる。

ロキが行き着いた世界について考えられることは限られるが、ヒントもある。街に目を凝らすと、崩れかけたアベンジャーズ・タワーのような建物が確認できるはずだ。アベンジャーズ・タワーは、トニー・スターク/アイアンマンが所有していたアベンジャーズの基地。これがアベンジャーズ・タワーであれば、ロキが着いた先はタイムラインこそ不明であれ、ニューヨークということになる。元はスターク・タワーとして建てられたアベンジャーズ・タワーは、映画『アベンジャーズ』で描かれた2012年に完成している。確たることは言えないが、複数のロキが集結した世界は、2012年のニューヨーク決戦でアベンジャーズが敗れた世界線なのかもしれない。

ヤング・アベンジャーズのメンバー登場か

最後に、今後のMCUを担うヤング・アベンジャーズのメンバーになるかもしれないキャラクターについても触れておきたい。上述のキッド・ロキだ。原作コミックでのキッド・ロキは、生まれ変わった後にヤング・アベンジャーズに加入するのである。

ヤング・アベンジャーズとは、アベンジャーズの次世代チームとして、若手スーパーヒーローたちが集結したヒーローチーム。原作コミックでは、映画『アントマン』シリーズ第3作『アントマン&ワスプ:クアントゥマニア(原題:Ant-man And The Wasp: Quantumania)』の悪役として登場することが判明している征服者カーンが前身の姿ナサニエル・リチャーズだった頃に、未来からやってきた自分のお告げにより結成した。

MCUにおけるヤング・アベンジャーズの結成は、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギがかねてより示唆していた。事実、「ロキ」に先がけて配信されたMCUドラマ「ワンダヴィジョン」では、それぞれスピードとウィッカンとしてヤング・アベンジャーズで活躍する双子トミーとビリーが登場。続く「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でも、原作コミックではパトリオットとしてヤング・アベンジャーズに加入する少年エリ・ブラッドリーが姿を見せている。

このほか、きたるMCUドラマ「ホークアイ(原題:Hawkeye)」で初登場するケイト・ビショップ(ヘイリー・スタインフェルド)が2代目ホークアイとして、『アントマン』第3作で再登場するキャシー・ラング(キャスリーン・ニュートン)がスタチュアとして、ヤング・アベンジャーズに属する設定だ。こうした事実を照らし合わせると、キッド・ロキの登場が偶然とは考えにくい。

第4話のミッドクレジットシーンでは多くの新事実が判明したが、その分新たな疑問も生じたはず。以前、ロキ役のヒドルストンは、「第4話で新しい方向に向かうことになる」としながら、「第5話で結実のようなものを迎える」とも予告していた。ともあれ、ロキの前に現れた変異体ロキたちが、結末の鍵を握ることは間違いないだろう。

Writer

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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