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ファルコン役アンソニー・マッキー、マーベル映画の多様性に疑問 ─ 『ブラックパンサー』も「差別的」、未来への提言も

アンソニー・マッキー
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/48469318202/

ディズニー/マーベル・スタジオは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に多様性をもたらす取り組みを続けている。初の黒人ヒーロー映画『ブラックパンサー』(2018)、初の女性ヒーロー映画『キャプテン・マーベル』(2019)に続いては、初のアジア系ヒーロー映画『シャン・チー&ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス(原題)』を控えているのだ。

しかし『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)からMCUに参加しているファルコン役のアンソニー・マッキーは、より大きな視点に立った多様性の確保を求めているようだ。米Varietyの対談企画「Actors on Actors」で、アンソニーはあえて内部からの批判的提言に及んでいる。

アンソニーの対談相手は、いま大きな注目を集める気鋭の黒人俳優ダヴィード・ディグス。アンソニーは「オルタード・カーボン」シーズン2や「ファルコン&ウィンター・ソルジャー(原題)」で、ディグスはNetflixドラマ「スノーピアサー」(2020)で、それぞれドラマシリーズの主演を務めている。2020年5月末から人種差別への反対抗議運動「Black Lives Matter」が活発に行われている現状について、おのおのの立場から考えを述べた。

ディグスはアンソニーに、「自分が今できる(ムーブメントへの)関わり方はどういう形だと思いますか?」と問いかけ、自分自身の答えは「目の前の仕事をよりよいものにすること」だと話す。「カメラの前にせよ、後ろにせよ、いろんな表現にどんな影響を与えられるのか。今、自分たちがすべきことは何なのか、できることは何なのか……」。アンソニーはこれに頷くと、自分自身のMCUにおける経験を振り返っている。

「僕も、君も主演をやっているから、そういう問いかけをできるだけのパワーと能力がある。マーベル映画に7本出て、すごく思い悩んだのは、プロデューサーや監督、スタントパーソン、衣裳デザイナー、プロダクションのアシスタント、全員が白人だったこと。黒人のプロデューサーがひとり、ネイト・ムーアという人がいて、彼は『ブラックパンサー』をプロデュースした。だけど『ブラックパンサー』を作るとなったら、今度は黒人の監督、黒人のプロデューサー、黒人の衣裳デザイナー、黒人の振付家……。僕は、こんなに人種差別的なこともないと思う。黒人映画にしか黒人を使わないなんて、白人がメインの映画に黒人は力不足ってことかよって。」

こうした状況を踏まえ、マッキーは、自分自身の「Black Lives Matter」への関わり方について「その仕事に最もふさわしい人を雇うよう働きかけること」だと語っている。そして、「たとえば最高の女性を2人雇うなら、最高の男を2人雇う。そういうことが向こう10年間に起こればいいと思う」と断言しているのだ。「それって、他人に仕事を与え、その人の履歴書に何かを書き込める人々にも新しい世代が出てくるということだから。仮にパーセンテージで(スタッフを)決めなければいけないなら、そうやって分け合えばいい。それが主演俳優が求めていけることだと思う」。

Sources: Variety(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。