『シャザム!~神々の怒り~』監督、裏話語る【単独インタビュー】

DC映画『シャザム!』待望の続編『シャザム!~神々の怒り~』が2023年3月17日よりついに公開だ。硬派なトーンで知られるDC映画の中でも、とびきり快活で笑えるスーパーヒーロー映画として大人気を博した前作から正統進化を果たした本作は、アクションもコメディも、アツいファミリーの絆も、パワフルなヴィランも超パワーアップ。前作のファンは漏れなく楽しめるスーパーヒーロー神々バトルアクションエンターテインメントだ。
THE RIVERは、前作から引き続きこの快作を手掛けたデヴィッド・F・サンドバーグ監督に単独でインタビュー。本作の秘密や楽しい裏話をじっくりと聞き出した。

『シャザム!~神々の怒り~』デヴィッド・F・サンドバーグ監督 単独インタビュー
──『シャザム!~神々の怒り~』、1作目同様とても楽しみました!DC映画の中でも、特にお気に入りですよ。
ワーオ!それは嬉しいです。ありがとう!
──巨大なドラゴンのアクションシーンも大迫力でした。「ゲーム・オブ・スローンズ」にまつわる小ネタも最高でしたが、ドラゴンのデザインも少し「ゲースロ」を思い出させるものがありましたね。
実は「ゲーム・オブ・スローンズ」のドラゴンは少し意識していて、ちょっと違うデザインにしようと思っていました。そこで本作のドラゴンは設定を工夫しながら、人々を怖がらせるようなものにしたんです。だから似過ぎているということはないと思いますが(笑)、もちろん僕も「ゲースロ」の大ファンなので、お楽しみを取り入れました。
──もしかして、ゴジラからの影響もありますか?
そうそう、鳴き声はちょっとゴジラっぽいと思います。ドラゴンが最初に出現して、撃たれながらフレディを追いかけるシーンは、僕も本作で一番気に入っているシーンですね。

──予告編にもありましたが、シャザムファミリーが人々を救出しに橋に現れるシーンがお気に入りです。これぞスーパーヒーロー映画だという醍醐味が詰まっていました。なんだか2002年のサム・ライミ版『スパイダーマン』と対になっているようで、すごく感慨深かったです。『スパイダーマン』にも橋での決闘シーンがありましたが、あの映画ではNickelbackが主題歌で「我々を助けてくれるというヒーローとやらを待つもりはない」と歌います。それから21年が経った本作では、ボニー・タイラーの「ヒーローが必要なの!」と歌う曲とともに、シャザムたちがレスキュー活動をする。ヒーロー映画で描かれることが一巡したような気がしました。
僕自身、最初期の『スパイダーマン』のサム・ライミは大好きです。特に好きなのは『スパイダーマン2』で、あれはクラシック作品ですね。サム・ライミからは大いに影響を受けています。
確かにスーパーヒーロー映画は、かなり進化したと思います。それは素晴らしいこと。これまでとは違うことができるようになりましたから。例えば『ジョーカー』(2019)や『LOGAN/ローガン』(2017)のようなシリアスな作風も成立するようになった。だからこそ、『シャザム!』はもっと快活で笑える作品として存在できるし、そこにちょっとダークな要素を加えることもできる。
スーパーヒーロー映画とは、一つのジャンルではないんです。「スーパーヒーローもの」という名の傘の下に、たくさんのジャンルが混在しているんですね。スーパーヒーロー映画を多様な形で推し進めるにあたって、その点が鍵になってくると思います。

──確かに監督はホラー畑の出身で、『シャザム!』1作目にホラージャンルを織り混ぜましたね。本作でもホラー要素は健在でした。
僕はモンスターが大好きで、1作目では「七つの大罪」に基づくモンスターを登場させましたが、彼らは全て同じピースのようなものでした。今作ではもっとクレイジーになっていて、ユニコーンからミノタウロス、サイクロップスやハーピーも登場します。
僕は、危機感を演出するためにホラー要素を扱うのが必要だと考えています。人が傷つけられるかもしれない、殺されるかもしれないという現実的な危機感のために取り組むべきものだと思います。そういうクリーチャーのデザインはとても楽しいですね。

──監督は本作で、『AKIRA』や『ゼルダの伝説』からの影響を公言していますね。予告編映像にも、『死霊館』シリーズのアナベル人形が紛れ込んでいました。こういう小ネタが大好きなのですが、他にも何かありますか?
ちょっとしたネタがたくさんあります。映画に登場する全てのもの、衣装から何まで全てをデザインしなくてはいけないので、イースターエッグを織り混ぜて楽しんでいるんです。例えば、『アイアン・ジャイアント』のTシャツも登場します。DCネタも忍ばせていたり、部屋の壁にスティーブン・スピルバーグ映画やジェームズ・ボンド映画のポスターを貼っていたり。ルチオ・フルチやマリオ・バーヴァのような1970~80年代のイタリアのホラー映画監督へのオマージュもあります。自分で映画全体をデザインするのだから、面白いネタを投入しちゃえっていうことでね。
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