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【ネタバレ解説】『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に登場したアノ人の衝撃と舞台ウラ

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
©2021 CTMG. © & ™ 2021 MARVEL. All Rights Reserved.

この記事には、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の重大なネタバレが含まれています。必ず本編をご覧になってからお楽しみください。

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
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デアデビル/マット・マードック、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に登場

とんでもなさそうなサプライズを忍ばせているニオイがムンムン漏れていた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』だが、マーベル・スタジオはド級のサプライズを、前菜感覚でしれっと提供するもんだから、ファンは劇場でどよめいたことだろう。チャーリー・コックス演じる「デアデビル」ことマット・マードックが、ピーター・パーカーの弁護士として登場したのである。

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マット・マードックは映画の序盤に登場。ミステリオ殺害の容疑をかけられ「ダメージ・コントロール局」から囚われの身になっていたピーター・パーカーが解放された後、弁護士としてパーカー家に現れた。家の外ではスパイダーマンのアンチたちが徒党を組んでおり、投げられたレンガのブロックが窓ガラスを割って飛び込んでくると、マードックは瞬発的にキャッチする。ピーターが「どうやってやったの?」と驚いていたことから分かるように、彼がデアデビルというクライム・ファイターである事実は伏せられているようだ。

登場シーンは短かったものの、これはDisney+のドラマ「ホークアイ」のキングピン登場に続く、NetflixドラマとMCUの本格クロスオーバーである。デアデビルのMCU本格合流は、ファンが長年熱望していたものだ。

『ノー・ウェイ・ホーム』の米公開前、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長がデアデビルの再登場について「もし今後の作品にデアデビルが登場するとしたら、演じるのはチャーリー・コックスです。どこで、どういう形で、そしていつ登場するのかはわかりませんが」と発言した際も大きな話題となっていたが、ファイギは別の取材でも「今後数週間のうちにすべてがわかる」と意味深に予告していた。その答えとは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にあった、というわけである。ファンにとっては、Netflixで追いかけていた憧れのヒーローが、映画館の大スクリーンでトム・ホランド版ピーター・パーカーと共にいる姿を見られただけで大感激なのだ。

デアデビル?あのおじさんは誰?

そうは言っても、Netflixのドラマシリーズまでは追いかけてないよという方は、いきなり意味ありげに登場した弁護士のおじさんに困惑したことだろう。なんか劇場はどよめいているし、飛んできたレンガをノールックでキャッチしていたから、とりあえずタダ者ではなさそうだけど、一体あの人はどちら様なの?と。

コミックのデアデビルの歴史は古く、初登場は1964年。コミックでの単独シリーズはいくつもあるが、中でもフランク・ミラー&ジョン・ロミータ Jr.の「マン・ウィズアウト・フィアー」は邦訳版も出ており、ハードボイルドで読み応えがありオススメだ。デアデビル誕生を描くオリジンストーリーになっているから、入門にもピッタリ。

デアデビルの最大の特徴は、盲目のヒーローであるということだ。マット・マードックは幼い頃、事故で顔から放射性廃棄物を浴び失明してしまう。そこから同じく盲目の謎の老人と出会い、格闘術を叩き込まれ、視覚以外の感覚が超人的に発達した「レーダーセンス」と呼ばれる能力を身に着けるのである(『ノー・ウェイ・ホーム』でレンガをノールック・キャッチしていたのはこのためだ)。

そのため、視力は持たないものの、むしろ常人よりも優れた感性で、あらゆる状況を瞬時に察知。相手の心臓の鼓動を聞き取り、嘘をついているかどうかも判断することができる。武器はワイヤーで繋がれた棍棒で、これは普段は盲人の杖として携帯しているものだが、有事の際はサっと伸ばして戦いに使用。スパイダーマンのクモ糸のように引っ掛けて、ある程度の空中移動もできる。

通常、デアデビルはニューヨークの「ヘルズ・キッチン」と呼ばれる一帯を守るローカル・ヒーローだ。昼は弁護士として法で悪を裁き、夜はヒーローとして法で裁けぬ悪を退治するという、シビれる設定である。ちなみに「デアデビル」は英語で「恐れ知らず」という意味で、(盲目ということもあって)どんな強大な敵や恐ろしい状況でも恐れず挑んでいく姿から、そう呼ばれている。また、「マン・ウィズアウト・フィアー(恐れ知らずの男)」という異名でも知られている。

Marvel デアデビル シーズン2
Netflixシリーズ「Marvel’s デアデビル」独占配信中。 Patrick Harbron/Netflix

ドラマ「デアデビル」ってどんな内容?

2015年より開始されたドラマ「デアデビル」は、今ではすっかりお馴染みとなったNetflixのオリジナルシリーズの中でも比較的初期の主力タイトルの一つで、「ハウス・オブ・カード」や「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の成功の後に登場したシリーズ。

当初からマーベル・シネマティック・ユニバースに属する作品であることが公表されており、MCU作品での出来事が劇中で言及されることもあったが、ドラマはあくまでのニューヨークのヘルズ・キッチンに軸足を置いた、もっと小規模でリアルなストーリーが描かれた。

主人公マット・マードックの暮らすヘルズ・キッチンは、『アベンジャーズ』(2012)ニューヨーク決戦後にスラム街のようになってしまったという設定。ドラマではマードックの幼少期、事故で視力を失ってから修行を積んでいく姿や、黒いお手製コスチュームを身に纏い、闇に紛れたクライム・ファイターとして戦いに身を投じていく姿が描かれる。デアデビルといえば深紅のコスチュームが有名だが、ドラマでは溜めに溜め、シーズン1のクライマックスで満を辞して「変身」するというアツい展開を迎える。

ドラマは全部で3シーズン。シーズンあたり13話、1話あたり50分前後あるのでイチから観るには少々長旅となるが、「『ノー・ウェイ・ホーム』に出てきたから」という事情を抜きにしても、非常に見応えのある良ドラマだ。正義の価値観のぶつかり合いなど、ストーリーも深く掘り下げられていて、アクションのみならずドラマ部分も味わい甲斐がある。MCU映画ではなかなか見られないダークな世界観とハードな暴力描写もあって、大人向けスリラーとして秀作。ファンからの異論は承知だが、どちらかと言えばDC映画っぽさ、『ダークナイト』に似た空気感を持っている。

Marvel デアデビル
Netflixシリーズ「Marvel’s デアデビル」独占配信中。Barry Wetcher/Netflix

キングピンも登場したわけだし

とは言いつつも、これからのMCUメインストリームのことを考えると「デアデビル」の必修度は高い。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と同時期に登場したDisney +ドラマ「ホークアイ」の方に、キングピンことウィルソン・フィスクも登場したからだ(詳しい解説はこちらの記事で)。

つまり今後のMCUでは、「デアデビル」のマット・マードックとキングピンが再登場し、再対決をしたり、他のヒーローやヴィランとタッグを組んだりする可能性も考えられるわけである。ちなみに『ノー・ウェイ・ホーム』と「ホークアイ」に登場した彼らはマルチバースの別人という罠設定ではなく、ドラマ版としっかり同一人物であるということが、キングピン役ヴィンセント・ドノフリオによって認められている

全部知っていたチャーリー・コックス

チャーリー・コックス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35794958200/

『ノー・ウェイ・ホーム』にデアデビル/マット・マードックが登場するのではないかという噂は公開前からファンの間では話されていたことだが、演じたチャーリー・コックスは(当然ながら)これを否定し続けていた。2020年5月には、仮にデアデビルが登場するとしても「間違いなく僕のデアデビルではない」「僕ではなく他の俳優でしょう」とキッパリ否定していたのである。

ところが、ドラマシリーズで共演したジェシカ・ヘンウィックの証言によれば、「チャーリーは(再演することを)数年前から知っていましたよ。実現するって最初からわかっていたんです」という。つまりチャーリー・コックスは守秘義務に従い、いくらメディアに再登場説を尋ねられても“知らぬ存ぜぬ”を貫いていたわけだ。

共演したトム・ホランドの興奮

『ノー・ウェイ・ホーム』でチャーリー・コックスのマット・マードックと奇跡の共演を果たしたトム・ホランドも、ドラマ「デアデビル」の熱心な視聴者であったことを公言している。共演シーンについては「すごく楽しかった。2人のスーパーヒーローが、スーパーヒーローじゃない話をしているのが面白いですよね」とコメント。「レンガをキャッチするところは別ですけど。あれは最高でした」。

これに対してMJ役のゼンデイヤは「私はそこにいなかった」とジェラシー。ホランドは「あれ、いなかったっけ?」と確認しているが、ゼンデイヤは「舞台裏でみんなのことは見てたよ。でも出演はできなかった」と悔やんでいる。ゼンデイヤ、おそらく『スパイダーマン』の現場のみんなが大好きで、自分の出番がない時でも勝手に現場に入り浸っていたそうだ。別のインタビューでは、ジョン・ワッツ監督に注意されていたとも明かしている

ちなみにトム・ホランド、チャーリー・コックスの登場シーンを公開前にほんのり仄かしていたことがある。2021年10月時点の記事のことだ。ホランドは「今までで一番最高のシーンを撮った」「アゴが床まで落ちた」と意気揚々に語っていたのだが、そこではピーターとハッピー、メイおばさん、さらに謎のもう1人で、「4人でテーブルについて、“スーパーヒーローになるとはどういうことか”を話している」と喋っていたのである。ファンやメディアはその「謎の4人目」について、ドクター・ストレンジか、別世界のピーター・パーカー、あるいはホログラムのトニー・スタークではないかと予想していたのだが、その正体こそ“デアデビル”マット・マードックだったというわけである。

キングピン役とも仲良し、長電話で喜び合う

ドラマ「デアデビル」ではデアデビルとキングピンが血で血を洗う死闘を繰り広げているが、彼らを演じたチャーリー・コックスとヴィンセント・ドノフリオは、プライベートでは仲良しなのだそうだ。それぞれ同時期にMCU作品にサプライズ復帰を果たすこととなったが、お互いに再登場を報告しあって喜んでいたという。ドノフリオはこんな“優しい世界”エピソードを話している。

「チャーリーと私は友人です。でも、契約上言っていいことといけないことがややこしいので、マーベルの話はあんまりしないんですけど。でもケヴィン(・ファイギ)がチャーリーに出演を明かしてすぐ、チャーリーは私に電話をかけてくれて、それについてたっぷり話したんですよ。その時は、『ホークアイ』については黙っていたんですけど。それで、『ホークアイ』でケータイにキングピンが写った時、今度は僕がすぐにチャーリーに電話をして、また2時間喋った(笑)。」

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は公開中。
Netflixシリーズ「Marvel’s デアデビル」は独占配信中。

Source:THR(1,2),Marvel,ScreenRant

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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