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ソニーのスパイダーマン映画ユニバース、呼称はSUMC ─ 『ヴェノム』後、女性や多様性重視のヒーロー作品ズラリ

ヴェノム
(c) 2018 Columbia Pictures Industries, Inc. and Tencent Pictures (USA) LLC. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c) & TM 2019 MARVEL.

米ソニー・ピクチャーズは、「スパイダーマン」シリーズのスピンオフ作品において、女性やダイバーシティを重視したヒーロー映画を強化したいと考えているそうだ。米Varietyが報じている。

ソニーは現在、多くのスパイダーマン関連の映画を企画しており、2018年には『ヴェノム』とアニメ『スパイダーマン:スパイダーバース』がそれぞれ全米で公開を控えている(共に日本公開も決定)。それ以降も、『スーサイド・スクワッド』(2016)のジャレッド・レト主演で『モービウス(邦題未定、原題:Morbius)』の制作が決定している他、シルクナイトウォッチクレイヴン・ザ・ハンターシルバー&ブラックを主人公とした作品の企画が進行中と報じられていた。なお、一連の「スパイダーマン」スピンオフ作品は、同社内でSony’s Universe of Marvel Characters(SUMC)と呼ばれていることが今回の報道で明らかになっている。

 スパイダーマン:スパイダーバース
『スパイダーマン:スパイダーバース』より SPIDER-MAN: INTO THE SPIDER-VERSE

「スパイダーマン」新スピンオフも企画中

新たに分かったこととして、ソニーはジャックポットと呼ばれるヒーローを主人公とした作品を企画中だという。ジャックポットは、2008年の原作コミックス「Amazing Spider-Man #546」で登場。ダン・スロットとフィル・ジメネズによって生み出された女性ヒーローである。

コミックスで初代ジャックポットを務めたのは、サラ・アース。オズ・コープの子会社に勤めていたサラは、仕事中の事故でウィルスを浴び、4ヶ月間意識不明に。意識が回復したのち、家族を救うために超人的な怪力を発揮し、「ジャックポット」となる。しかし、家族との普通の生活を望んだサラは、アラナ・ジョブソンに「ジャックポット」を名乗る権利を売る。2代目ジャックポットとなったアラナは危険な薬物を使用して身体能力を超人レベルに高め、ヒーローとしてのパワーを手に入れる。しかし、活動中にアラナは殉死してしまう。アラナの死をきっかけに、サラはヒーローになることを決意し、再びジャックポットとなるのだった。

本作でサラとアラナのどちらがフォーカスされるのかは明らかになっていないが、40代の女性が主人公となるそうだ。監督・出演者などの情報も現段階では明かされていない。

『シルバー&ブラック」は解体か

また、『シルバー&ブラック(原題:Silver & Black)』に関しても大きな方向転換が明らかになった。本作は女性キャラクター、シルバー・セーブルとブラック・キャットのバディ・ムービーとなる予定だったもの。しかし、ソニーは本作の製作を中止し、代わりにそれぞれの単独映画を製作すると決定、まずはブラック・キャットから先に製作を始めたいという。ソニーが保有するスパイダーマン・キャラクターの監修サンフォード・パニッチは、今回の決定の理由について「ブラック・キャットには、単独作品を製作できるほど十分なバックストーリーや材料があると思うんです」と述べている。

ちなみに、ブラック・キャットの本名はフェリシア・ハーディ。かつて泥棒だったものの、後に改心し犯罪者を退治するヒーローとなるキャラクターだ。『アメイジング・スパイダーマン2』(2014)では、『ローグ・ワンスター・ウォーズ・ストーリー』(2016)のフェリシティ・ジョーンズがフェリシアを演じていたが、劇中でブラック・キャットに変身を遂げることはなかった。

『シルバー&ブラック』で監督・脚本を務める予定だった『リリィ、はちみつ色の秘密』(2008)のジーナ・プリンス=バイスウッドは、ブラック・キャット単独映画にはプロデューサーとして携わる見込みだ。なお、後任の監督には女性監督を予定しているという。

ダイバーシティを取り入れてはいけない理由はない

新情報も加え、SUMC映画計画のうち3作品は女性が主人公となっている。男性ヒーローが圧倒的に多いアメコミ界に対し、積極的な女性ヒーロー登用と言えるだろう。また、『スパイダーマン:スパイダーバース』ではアフロ・ラテン系アメリカ人のマイルズ・モラレスが主人公で、シルクは韓国人と、ダイバーシティを重視する作品も目立つ。

「スパイダーマンは沢山のキャラクターと繋がっています」。積極的に女性やマイノリティを主人公とするヒーロー映画の製作について、パニッチはこう語る。「ヴィランや、ヒーロー、そしてアンチヒーローなどがいますが、その多くは女性キャラクターなんですよ。本物で奥が深く、とてもユニークなんです」。そして、「マーベルキャラクターがダイバーシティを取り入れちゃいけない理由なんてないですからね」と付け加えた。

『ワンダーウーマン 』(2017)や『ブラックパンサー』(2018)の成功をきっかけに、白人男性以外を主人公としたアメコミ映画を制作する機運が高まっている。これらの映画が成功し、女性や非白人が主人公の作品もどんどん増えて行くことに期待したい。

いよいよ拡張を始めるSUMC。まずは、2018年11月2日(金)日本公開の『ヴェノム』を待とう。

『ヴェノム』公式サイト:http://www.venom-movie.jp/

Sources: Variety

Writer

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Marika Hiraoka

THE RIVER編集部。アメリカのあちこちに住んでいました。