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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』パルパティーン復活はいつから検討されたのか ─ J・J・エイブラムス監督の発言読み解く

『スター・ウォーズ』皇帝パルパティーン/ダース・シディアス
© & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータイメージ

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で最大のサプライズのひとつとして期待したいのが、シスの暗黒卿ダース・シディアス、またの名を旧帝国軍の皇帝パルパティーンの復活だ。これまでに公開されている映像では、その姿こそ映らぬものの、あの象徴的な笑い声が不気味に響いている。


『フォースの覚醒』(2015)に始まった続3部作では、ファースト・オーダーの最高指導者スノークが謎に包まれた悪役として描かれていたが、『最後のジェダイ』(2017)で突然の退場。『スカイウォーカーの夜明け』では、まさに真打ち登場といった趣でパルパティーンが再登場する。

アナキンによって一度倒されたはずのパルパティーンの復活は、一体いつごろから検討されていたのだろうか。「『フォースの覚醒』の頃から議論していたのか、それともスノーク退場が理由なのか」という米Uproxxの質問に、J・J・エイブラムス監督は次のように答えている。

「本作を物語の第9章として見ると、おそらくパルパティーンが戻ってこない方がむしろ変だと思うんです。彼の話していること、どういった人物なのか、どれだけ重要な存在なのか、何の話であるのかを考えると、今回の3部作での彼の不在は明らかに変でした。とてもおかしなことです。」

『スター・ウォーズ』の映画で描かれた物語とは主に、『エピソード1/ファントム・メナス』(1999)に始まったパルパティーンの陰謀、すなわち帝国を設立して銀河を独裁下に置き、シスの暗黒卿としてジェダイを根絶やしにし、もう一度シスの時代を築くという目論見に対する反乱軍やジェダイの戦いを描くものだった。その物語が続くとあれば、パルパティーンの存在は本来的に不可欠なはずだというのが、J・Jの主張だ。こう続けている。

「別に、我々の中にバイブルがあって、毎回どうなるか知っていたと言うわけではありません。でも『フォースの覚醒』でローレンス・カスダン(脚本)と組んだ時、ふたりの独断で進めていたわけでもないんです。新たな物語を始めていく上で、これまでの流れをしっかり考えて、過去作で見てきた特定の要素やテーマ、考え方に触れていくストーリーにしようと決めたんです。これからどこへ向かうかを訊ねる前に、過去をすべて考察したんですよ。

そういう議論が、当時ありました。序章ということで筋道を作りたい。でも、必ずしも全てを詳らかにはしたくない。」

実はこの問答でJ・Jは、いつからパルパティーンの再登場を検討していたかという質問に直接回答していない。同様の質問は2019年4月にもルーカス・フィルム社長のキャスリーン・ケネディにも尋ねられているが、「どれくらい前から検討していたのですか、『フォースの覚醒』の頃から計画があったのですか」との具体的な質問に対して「計画は長い間ありました。はい。具体的にどうするかまでは着地していませんでしたが、でも、そうです。ずっとありました……」という回答だった。注意深く読み取ると、『フォースの覚醒』の頃よりの計画だったとは必ずしも断言されていないことに気付くだろう。

この度のJ・J・エイブラムス監督は、「それからライアン(・ジョンソン)が『最後のジェダイ』に就任した時、我々は直接会って彼の書いたストーリーについて話し合っています」と続け、『最後のジェダイ』との整合性について語っている。

「彼の脚本を読んでみたら、これはラリー(ローレンス・カスダン)と僕とで話していたことの邪魔にはならないぞと分かったんです。そこには今作で出来そうなことがあって、笑いながらこう言いました。“凄いぞ、5年前に話していたことが、遂にやれそうだ”と。」

『フォースの覚醒』当時のアイデアを実現へ

ここでUproxxの記者は、『フォースの覚醒』の製作過程をまとめた書籍「アート・オブ・スター・ウォーズ/フォースの覚醒」より、「レイがデス・スターの残骸の中を泳ぐ絵があったが」と指摘している。

この書籍で水中に沈んだデス・スターが描かれたコンセプトアートは2種ある。いずれもまだ女性主人公にレイの名も与えられておらず、ストーリーも確立していない、ごく初期に描かれたものだ。1つ目は2013年2月のもので、レイ(当時はまだ“キラ”と呼ばれていた)が第2デス・スターの“皇帝の塔”の中を泳いでいる。そこでレイは「隠された地図を見つける」というアイデアだ。“その地図には、ジェダイがどこにいてルークがどこに隠れているかが記されている。”

もうひとつは2013年4月のもので、“第2デス・スターが惑星エンドアに墜落して、皇帝の居室が水没していたらどうだろう”というアイデアに基づき、暗い水中に沈んだ皇帝の玉座の間を泳ぐ人影が描かれている。コンセプト・アーティストのライアン・チャーチはこの案について“無茶苦茶だと思った”と記されているが、Uproxxの記者が言うように、「今となっては、もうすぐ今作で見られそうなもの」だ。予告編映像には、海上に墜落した第2デス・スターの残骸を見ることができる。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
(C) 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

確かに、あの本(アート・オブ〜)と近いものを遂に実現する部分もあります。」J・Jはそう認める一方で、「でも、パルパティーンについては扱うつもりはありませんでした」と明かす。

「2年のオフを取って、キャスリーン・ケネディに呼ばれて製作に戻った時に、“これはどうなるの?”と尋ね始めたんです。そこで急に、本格的にやるべきということになった。僕たちがワクワクできる物語の筋に立ち戻って、そこで新たなものを見つけたんです。」

一連の情報を読み解くに、J・Jが具体的な検討に至ったのは『スカイウォーカーの夜明け』就任後からではないだろうか。(かつて本作の脚本・監督を務めるはずだったコリン・トレボロウによれば、パルパティーンの再登場はJ・Jのアイデアだという。)ちなみに「アート・オブ・スター・ウォーズ/フォースの覚醒」と「アート・オブ・スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の両書からは、パルパティーン再登場について触れられた資料を確認することができない。

「パルパティーンの不在は変だ」というJ・J・エイブラムス監督の主張にはある程度の合理性がある。一方、再登場にあたっても納得のいく理由が求められるだろう。ジェダイとシスの戦いに「誰かがチェックメイトをかける」とも宣言された『スカイウォーカーの夜明け』、一体どうなる。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)日米同時公開

Source:Uproxx,djkevlar

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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