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2022年(第94回)アカデミー賞の作品賞ノミネート作、日本公開・配信状況まとめ ─ 結果発表までの鑑賞ガイド

第94回(2022年)アカデミー賞

2022年2月8日、第94回アカデミー賞のノミネート作品が発表された。注目の作品賞には、スティーブン・スピルバーグやギレルモ・デル・トロ、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ジェーン・カンピオン、ポール・トーマス・アンダーソン、アダム・マッケイなど錚々たる監督の話題作が勢揃いしたほか、日本からは濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』が、日本映画として初の候補入りを果たしたのである。

すでに日本で公開されている作品もあれば、今後公開を控えている作品もある。本記事では、作品賞に候補入りしている映画のストーリーやキャスト、そして公開・配信情報を紹介したい。なお気になる受賞結果は、2022年3月28日に発表される。

『ベルファスト』

トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞した映画、『ベルファスト』は俳優・監督・演出家として映画や舞台の最前線で活躍し続け、世界中から絶大な評価を得るケネス・ブラナーが、自身の幼少期を投影した自伝的作品。9歳の少年バディの目線を通して、愛と笑顔と興奮に満ちた日常と、激動の時代に翻弄され様変わりしていく故郷、ベルファストを克明に映し出す。

バディはベルファストで生まれ育ち、家族と友達に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごしていた。笑顔にあふれ、たくさんの愛に包まれる日常は彼にとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。プロテスタントの武装集団が、街のカトリック住民への攻撃を始めたのだ。

住民すべてが顔なじみで、まるでひとつの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。暴力と隣り合わせの日々のなか、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断に迫られるのだった。困難な状況におかれながらも、未熟だった殻を破って大人へと転換していくひとりの少年の成長と、その家族の強く気高い魂を力強く魅せている美しくも儚い白黒映像にも注目だ。

出演者にはジュディ・デンチをはじめ、『裏切りのサーカス』(2011)のキアラン・ハインズ、『フォードvsフェラーリ』(2019)のカトリーナ・バルフ、『フィフティ・シェイズ』シリーズのジェイミー・ドーナンらが名を連ねている。

なお同作は作品賞をはじめ、ジュディ・デンチが助演女優賞、キアラン・ハインズが助演男優賞、ケネス・ブラナーが監督・脚本賞、さらには歌曲賞と音響賞にもノミネートされている。

『ベルファスト』は、2022年3月25日より日本全国の劇場にて公開予定。

『コーダ あいのうた』

サンダンス映画祭で観客賞に輝き、配給権の争奪戦が勃発し、映画祭史上最高額で落札されたことでも大きな話題を呼んだ感動作、『コーダ あいのうた』。「CODA(コーダ)」とは、Children of Deaf Adults= “耳の聴こえない両親に育てられた子ども”の意。音楽用語としては、楽曲や楽章の締めを表す=新たな章の始まりの意もある。そんなふたつの意味が込められた本作は、『エール!』(2014)のハリウッドリメイク版だ。

豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中でひとりだけ耳が聞こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から通訳となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、秘かに憧れるクラスメイト、マイルズと同じ合唱部を選択する。すると顧問の先生が、ルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。

しかし、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは、夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をするのだった。ルビーが少しずつで音楽と向き合い、外の世界や人と出会い、成⻑していく様子に感動せずにはいられないだろう。

主人公のルビーには、「ロック&キー」(2020-)のエミリア・ジョーンズ。共演したフェルディア・ウォルシュ=ピーロは、『シング・ストリート』(2016)で観る者の胸を共感で震わせた俳優。そしてルビーの家族を演じるのは、『愛は静けさの中に』(1986)のマリー・マトリンをはじめ、全員が実際に耳の聞こえない俳優たち。監督を務めたシアン・ヘダーは、『タルーラ 〜彼女たちの事情〜』(2016)で知られる気鋭だ。なお作品賞のほか同作は、トロイ・コッツァーが助演男優賞、シアン・ヘダーが脚色賞に候補入りしている。

『コーダ あいのうた』は、2022年1月21日より日本全国の劇場にて公開中。

『ドント・ルック・アップ』

『ドント・ルック・アップ』は、レオナルド・ディカプリオ&ジェニファー・ローレンスが主演を務め、『バイス』(2018)などのアダム・マッケイがメガホンをとったブラックコメディ。天文学を専攻する大学院生のケイト・ディビアスキーと、天文学専攻の博士であるランドール・ミンディは、太陽系内を回る彗星について驚愕の発見をする。

一番の問題は、彗星の軌道をたどると、直接地球と衝突しそうだということ。さらに厄介なのは、誰もことの重大さが分かっていないということ。どうも、エベレスト級の大きさの物体が地球を破壊しかねないという事実は迷惑な発見のようだ。

人類に警告するのは至難の業となるも、ふたりはオグルソープ博士の協力を得て、各方面を渡り歩くことに。訴えかける相手は、無関心な大統領と、彼女に従順な息子であり、補佐官でもあるジェイソンから、人気司会者のブリーとジャック、そして視聴者まで。彗星の衝突までたった6ヵ月しかない中で、手遅れになる前に、ニュース界の関心を引き、SNSに夢中な一般市民を振り向かせる過程が、ひどく滑稽な展開となっていく。

本作には、オールスターキャストが集結した。主演を務めるのは、レオナルド・ディカプリオ&ジェニファー・ローレンス。そのほかには、ティモシー・シャラメ、メリル・ストリープ、ジョナ・ヒル、ケイト・ブランシェット、アリアナ・グランデ、マーク・ライランス、ロン・パールマンらが名を連ねている。クリス・エヴァンスもカメオ出演した。現代社会を滑稽にも風刺した巧みな物語が、オールスターキャストによるユーモアあふれる演技で描かれていく。

なお同作は作品賞ほか、作曲賞、脚本賞、編集賞にもノミネートされている。

『ドント・ルック・アップ』は、Netflixにて独占配信中。

『ドライブ・マイ・カー』

村上春樹の短編小説集『女のいない男たち』を原作とした同作の主人公は、膜下出血により突如と妻を亡くした舞台俳優で演出家の家福悠介。妻を亡くし、2年の時が流れた。家福は演劇祭に参加するため広島に向かう。そこで出会ったのが、渡利みさきという寡黙な専属ドライバーだ。彼女と時間を過ごす中で、これまで目を背けてきた妻との関係性について向き合っていくことになる。

3時間に渡る物語は、少しずつ丁寧に紡がれていく。そして家福が喪失と向き合い、新たな道を切り開いていくのだ。その静けさの果てに訪れる奇跡の瞬間を見逃さないでほしい。

家福悠介役を演じたのは、『クリーピー 偽りの隣人』(2016)などで知られる西島秀俊。ドラマでは、「チーム・バチスタ」シリーズをはじめ、「ストロベリーナイト」(2010)、「奥様は、取り扱い注意」(2017)「きのう何食べた?」(2019)などに出演した。渡利みさき役を演じたのは、三浦透子。『鈴木先生』(2013)、『私たちのハァハァ(2014)』、『ロマンスドール』(2020)などに出演したほか、新海誠監督作『天気の子』(2019)では、RADWIMPSにボーカリストとして抜擢された。そのほか出演者には、岡田将生や霧島れいからが名を連ねている。

監督・共同脚本を務めた濱口竜介は、『ハッピーアワー』(2015)をはじめ、『寝ても覚めても』(2018)『偶然と想像』(2021)などで知られる鬼才だ。濱口監督は監督賞・脚色賞にノミネートされているほか、同作は国際長編映画賞にも候補入りを果たしている。

カンヌ国際映画祭でお披露目された後、2021年8月20日に劇場公開された『ドライブ・マイ・カー』。2022年2月18日に、DVD&ブルーレイがリリースされる予定で、U-NEXTにて同日より配信開始となる。なお一部劇場では現在も公開中(本記事掲載時点)

『DUNE/デューン 砂の惑星』

フランク・ハーバートの同名小説が再び映像化を果たした。10,190年、銀河系は分裂。人類が地球以外の惑星に移住し、宇宙帝国を築いたあとの世界では、ひとつの惑星をひとつの大領家が統治する身分制度が敷かれている。レト・アトレイデス公爵は、皇帝の命を受け、「デューン」と呼ばれる砂漠の惑星を治めていた。そこは、抗老化作用を持つ香料、メランジの唯一の生産地。一家には莫大な利益がもたらされるはずだったが、レト公爵を待っていたのは、ハルコンネン家と皇帝の陰謀。父を殺され、サンドワームが襲い来るその星で、未来が視える能力を持ち合わせたポール・アトレイデスは、全宇宙の未来のために立ち上がる。

主人公のポール・アトレイデスにふんしたのは、『君の名前で僕を呼んで』(2017)をはじめ、『ビューティフル・ボーイ』(2018)『ドント・ルック・アップ』(2021)などで知られる気鋭俳優、ティモシー・シャラメ。そのほかには、『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『スター・ウォーズ』シリーズのオスカー・アイザック、『ミッション:インポッシブル』シリーズのレベッカ・ファーガソン、『ボーダーライン』シリーズのジョシュ・ブローリン、『アクアマン』シリーズのジェイソン・モモアら豪華俳優陣が勢揃いしている。

監督・共同脚本を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴは、『プリズナーズ』(2013)をはじめ、『ボーダーライン』(2015)『メッセージ』(2016)『ブレードランナー 2049』(2017)など知られる映画界を代表する監督のひとりだ。そんなヴィルヌーヴはエリック・ロス&ジョン・スペイツとともに脚色賞にも候補入りしており、圧倒的な映像美で描かれる同作は、撮影賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞、編集賞、音響賞、視覚効果賞にもノミネートされている。

なお同作は、続編がすでに決定している

2021年10月15日に日本公開を迎えた『デューン』は、12月22日よりデジタルダウンロードがリリースされたのち、2022年2月2日よりデジタルレンタルがスタートした。4K ULTRA HDの発売、DVD&ブルーレイのリリース&レンタルは、2022年3月2日より開始される

『ドリームプラン』

『ドリームプラン』は、テニスプレーヤーのビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を、ゼロからテニスのワールドチャンピオンに育て上げた父親、リチャードの計画書にまつわる驚きの実話映画だ。リチャードは、“世界王者にする計画書”を姉妹が生まれる前に作っていたが、劣悪な環境の中で、コネも資金もない彼らにとっては不可能な挑戦だと思われた。

テニス未経験の父親は、プロのコーチに指導してもらうために姉妹を賢明に売り込むも、あっさりと断られてしまう。それでも、娘たちを信じ続ける父と姉妹は懸命に練習を続けていく。父の指導のもと、ウィリアムズ姉妹がいかにしてその才能を開花させ、世界の頂点へ上りつめたのか。揺るがぬ信念と子供たちの可能性に人生のすべてを捧げ、不可能を可能にする父親の姿に注目だ。

主演男優賞の候補入りも果たしているウィル・スミス。共演者には、『バース・オブ・ネイション』(2016)『ビール・ストリートの恋人たち』(2018)をはじめ、ドラマ「クワンティコ/FBIアカデミーの真実」(2015-2018)などで知られる俳優、アーンジャニュー・エリスが名を連ねている。エリスは助演女優賞に候補入り。姉妹を演じたサナイヤ・シドニー&デミ・シングルトンほか、ジョン・バーンサルも出演。監督を務めたのは、レイナルド・マーカス・グリーンだ。

なお同作は作品賞・主演男優賞・助演女優賞のほか、脚本賞と編集賞にもノミネートされている。

『ドリーム・プラン』は、2022年2月23日より日本全国の劇場にて公開予定。

『リコリス・ピザ』

リコリス・ピザ
© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

『リコリス・ピザ』は、『パンチドランク・ラブ』(2002)『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)『ザ・マスター』(2012)にて世界三大国際映画祭を制した若き巨匠、ポール・トーマス・アンダーソン監督最新作。1970年代のアメリカ、サンフェルナンド・バレーを舞台に、アラナとゲイリーの恋模様を描き出していく。

メインキャラクターのひとりであるゲイリー役を演じたのは、フィリップ・シーモア・ホフマンの息子で、本作が長編映画への初出演となるクーパー・ホフマン。フィリップは、アンダーソン監督作品の常連者で、2014年に46歳という若さで他界した。その息子が本作の主演を務めているのだ。それだけでもファンは間違いなく心を揺さぶられるだろう。そしてアラナ役は、三人姉妹バンドのハイムのメンバーのアラナ・ハイムがふんしており、同じく本作が長編映画初出演となった。

主演に新人・若手俳優が起用された『リコリス・ピザ』だが、そんな俳優ふたりの新鮮な演技に、J・J・エイブラムスは大変魅了されたようで、「信じられないほどの素晴らしいデビュー・パフォーマンス」とコメントしていた

そのほかのキャストには、ブラッドリー・クーパーやショーン・ペン、ベニー・サフディらが名を連ねている。またレオナルド・ディカプリオの父、ジョージ・ディカプリオがカメオ出演。音楽は、ポール・トーマス・アンダーソン監督作の多くを手掛けている、レディオ・ヘッドのジョニー・グリーンウッドが担当した。アンダーソンは監督賞・脚本賞に候補入りを果たしている。

『リコリス・ピザ』の公開日は本記事時点で、“2022年”とのみ告知されている

『ナイトメア・アリー』

『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)などのギレルモ・デル・トロ監督最新作、『ナイトメア・アリー』。アカデミー受賞監督が映画化に挑むのは、1946年に出版された伝説的傑作といわれる同名小説だ。『悪魔の往く町』(1947)として過去に映画化されていたが、デル・トロ監督は自身の映画版について、「小説に立ち返って、リメイクではなく新たな映画化を目指しました」と説明している

デル・トロ監督といえば、『パンズ・ラビリンス』(2006)『シェイプ・オブ・ウォーター』といったダーク・ファンタジーや、『クリムゾン・ピーク』(2015)といったゴシック・ホラーなど独特な世界観の作品を手掛けることで知られるが、本作は監督初となるフィルム・ノワール。これまでの作品とは一味違う、デル・トロ監督の新境地に注目だ。

ショービジネスでの成功を目指す野心溢れる男を演じるのは、『ハングオーバー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや、『アメリカン・ハッスル』(2013)『アメリカン・スナイパー』(2014)などのブラッドリー・ クーパー。『アリー/スター誕生』(2018)では主演のほか初の監督を務めた。クーパー演じる男の前に現れる謎めいた女性精神科医を演じるのは、『ブルージャスミン』(2013)『キャロル』(2015)などのケイト・ブランシェットだ。そのほか共演者には、ウィレム・デフォー、トニ・コレット、ルーニー・マーラらが名を連ねている。

なお同作は作品賞のほか、衣裳デザイン賞、撮影賞、美術賞にもノミネートされている。

『ナイトメア・アリー』は、2022年3月25日より日本全国の劇場にて公開予定。

『ウエスト・サイド・ストーリー』

世代を超えて人々を魅了し続ける伝説のミュージカルを、スティーブン・スピルバーグが念願の映画化を果たした。物語の舞台は、1950年代のニューヨーク・マンハッタンのウエスト・サイド。そこには夢や成功を求める多くの移民たちがいた。差別や偏見に満ちた社会の中で、若者たちは同胞の仲間と結束し、それぞれのグループは敵対し合っている。

特に、ポーランド系移民「ジェッツ」とプエルトリコ系移民「シャークス」は激しく対立し、一触即発の状態に。ある夜のダンスパーティで、「ジェッツ」の元リーダーのトニーは、「シャークス」のリーダーの妹マリアに出会い、一瞬で惹かれあう。このふたりの禁断の恋が、多くの人々の運命を変えていく。

差別や偏見を越えた禁断の愛の先に待ち受けている現実とは。様々な困難が立ちはだかる今の時代だからこそ観るべき一作に仕上がっているに違いない。

『きっと、星のせいじゃない。』(2015)『ベイビー・ドライバー』(2017)などのアンセル・エルゴートが、メインキャラクターのトニー役を演じ、レイチェル・ゼグラーがマリア役を演じる。そのほかキャストには、アリアナ・デボーズやリタ・モレノらが名を連ねている。デボーズは助演女優賞に候補入りを果たし、名作を現代に蘇らせたスピルバーグは、監督賞にノミネート。そのほかに同作は、撮影賞、美術賞、衣裳デザイン賞、音響賞にも候補入りしている。

『ウエスト・サイド・ストーリー』は、2022年2月11日に日本全国の劇場にて公開予定。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

ヴェネツィア国際映画祭にて銀獅子賞・監督賞に輝いた同作は、『ピアノ・レッスン』(1993)のジェーン・カンピオン監督による待望の最新作だ。主人公となるのは、カリスマ的存在で周囲から恐れられる牧場主、フィル・バーバンク。ある日、弟が妻だという女性と、その息子を家に連れてくる。ふたりに対し酷い仕打ちを重ねるフィルだったが 、やがて自分の中にある愛が何なのかを突き付けられていく。

主演を務めたベネディクト・カンバーバッチは、『ドクター・ストレンジ』『アベンジャーズ』シリーズをはじめ、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)など知られる俳優。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でカンバーバッチは役作りのため、キルスティン・ダンストと撮影の合間でさえ会話を交わさなかったり、フィルのように常に体から悪臭を放つため風呂に入らなかったり、バンジョーを実際に演奏するため練習に励んだり、ヘビースモーカーという設定を貫くため煙草をひたすらに吸ったりしていたことを明かしていた。そのカンバーバッチの圧倒的な演技力は世界中で高く評価され、このたび主演男優賞にも候補入りを果たしている。

そのほかのキャストには、『スパイダーマン』シリーズや、『マリー・アントワネット』(2006)『メランコリア』(2011)などのキルスティン・ダンスト。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』では、フィルにより心身ともに追い込まれていく妻役を演じた。彼女の夫役を演じたのは、ジェシー・プレモンス。ドラマ「ブレイキング・バッド」(2008-2013)をはじめ、『アイリッシュマン』(2019)などで知られており、ダンストとは実生活でも夫婦関係にある。ダンストは助演女優賞、プレモンスとコディ・スミット=マクフィーはそれぞれ助演男優賞に候補入りした。

なおそのほかには、監督賞・脚色賞・撮影賞・美術賞・作曲賞・編集賞・音響賞にてノミネートされている。これは本年度最多となる数だ。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、Netflixにて独占配信中。

第94回アカデミー賞受賞結果は、2022年3月28日(日本時間)に発表。

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。