戦争の現実、メディアの狂騒 ― 映画『ビリー・リンの永遠の一日』配信開始！海外文学＆映画ファン必見、Amazonビデオ ミニシアターにて

『ブロークバック・マウンテン』（2005）や『ライフ・オブ・パイ／トラと漂流した 227 日』（2012）を手がけたアン・リー監督の最新作、映画『ビリー・リンの永遠の一日』がいよいよ日本に上陸した。
Amazonビデオの新サービス「Amazonビデオ ミニシアター」の初回公開作品として、2017年10月4日より10月31日までの期間限定で配信されている。

本作『ビリー・リンの永遠の一日』は、2012年に全米批評家協会賞を受賞した同名小説（新潮社刊）を映画化したもの。
イラク戦争でサダム・フセイン政権が倒れたあとの2004年、アメリカン・フットボールのハーフタイムショーを見た著者ベン・ファウンテンが、その様子を「軍国主義、ポップカルチャー、アメリカの勝利主義、ソフトコア・ポルノのシュールな、そして明らかにクレイジーなごたまぜ」（同書訳者あとがきより）と感じたことをきっかけに執筆したものだ。
戦場の兵士が送る現実と、大衆やメディアの狂騒を対比させながら描ききった原作は、「21世紀の戦争小説」として非常に高く評価され、ここ日本でも海外文学ファンや書評家からの注目を集めていた。

物語の舞台は2004年のイラク戦争下。19歳の青年兵ビリー・リンは、味方を助けるべく飛び交う銃弾の中へと身を投じたことから祖国の英雄となった。しかし一時帰国で全米凱旋ツアーへ駆り出されたビリーは、歓迎を受けるうち、再出兵をためらう気持ちや違和感を感じるようになる。いよいよ戦地へ戻る前日、ビリーはツアー最大の目玉であるアメリカン・フットボールのハーフタイムイベントに迎えられるのだった。満員のスタジアムで歓声に包まれながら、彼は戦地を回想して……。

主人公のビリー・リンを演じるのは、本作で映画デビューを果たした新星ジョー・アルウィン。共演者には、主人公が尊敬する部隊の上司役に『ワイルド・スピード』シリーズなどで知られるヴィン・ディーゼル、ビリーの姉役にリブート版『チャーリーズ・エンジェル』出演の噂もあるクリステン・スチュワートといった顔ぶれが揃った。

ちなみに本作『ビリー・リンと永遠の一日』は、2017年2月に日本公開が予定されながらも、残念ながら公開延期となっていた作品である。じつは日本上陸を待ち望んでいたという映画ファン、海外文学ファンもいることだろう。この機会にぜひご堪能いただきたい。

Amazonビデオの新サービス「Amazonビデオ ミニシアター」は、国内未公開の映画作品を日本で一番早く、期間限定で観ることができるサービスになるという。今後は『ホーンテッド・メモリーズ 戦慄ノ館』（2017年11月1～28日）、『バンド･エイド』（11月29日～12月26日）といった作品が配信されるということだ。

映画『ビリー・リンの永遠の一日』
2017年10月4日より10月31日まで配信
（レンタル価格 1,400円／72時間視聴可能）
Amazonビデオ ミニシアター：http://www.amazon.co.jp/movie
発売元：ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

（文：Takatoshi Inagaki）

［参考文献］ベン・ファウンテン，上岡伸雄訳『ビリー・リンの永遠の一日』2017 新潮社刊
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