【ネタバレ解説】『デッドプール&ウルヴァリン』あの人がサプライズ登場、ファンの夢が実現


『デッドプール&ウルヴァリン』チャニング・テイタムがガンビット役で出演、単独映画頓挫からの復活
『デッドプール&ウルヴァリン』では、自分の世界が消滅の危機に瀕したウェイド・ウィルソン/デッドプール(ライアン・レイノルズ)と世界を救うことができなかった茫然自失のウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)が、TVAによって剪定された者が集まる虚無の空間から元の世界へ戻るべく、タッグを組むことになる。そこではプロフェッサーX/チャールズ・エグゼビアの双子の妹、カサンドラ・ノヴァが独裁帝国を築き上げており、虚無の空間に送られた者の運命はカサンドラに仕えるか、巨大生物アライオスの餌食になるかの二択だった。
出会って早々歯向かってくるデッドプールとウルヴァリンに、カサンドラはさっそくアライオスを召喚するが、2人は隙を見てなんとかその場を脱出。その後の道中では大げんかを繰り広げることになったが、ほぼ不死身の2人は疲れて眠ってしまう。
そんなデッドプールとウルヴァリンを何者かが誘拐。隠れ家のような場所で目を覚ました2人の前には4人の戦士が登場する。カサンドラの支配から解放されるためにレジスタンスチームを結成していたブレイド(ウェズリー・スナイプス)、エレクトラ(ジェニファー・ガーナー)、X-23/ローラ(ダフネ・キーン)、ガンビット/レミー・ルボー(チャニング・テイタム)だ。スナイプス、ガーナー、キーンの3人は過去作からの再演となったのに対し、テイタムはガンビットを初めて演じることになった。

実はテイタム版ガンビット、『デッドプール』『X-MEN』シリーズと同じ旧20世紀フォックスのもとで単独映画が企画されていた。始まりは2015年、『X-MEN』シリーズのスピンオフ映画としてテイタムが主演を務める『ガンビット(邦題未定、原題:Gambit)』が発表された。
同企画では監督に『猿の惑星:創世記』(2011)のルパート・ワイアット、脚本に『マジック・マイク』シリーズや『ローガン・ラッキー』(2017)などテイタムのクリエイティブパートナーであるリード・キャロリンが就任。始動に向けてテイタムを含める3人は共同作業を始めていた。
しかし、同年10月にワイアット監督が突然の離脱。のちに本人が語ったところによれば、リブート版『ファンタスティック・フォー』(2015)の興行不振の影響により『ガンビット』の製作費が削減されてしまったのだという。この決定を受け入れられなかったワイアット監督が離脱した後は、ダグ・リーマン、ゴア・ヴァービンスキーといった監督が企画に参加しては降板。ついにはテイタム本人がメガホンを取るという報道まで出た。
最終的に頓挫が決定したのは企画発足から4年後の2019年。一時は公開日も確定されていたが、米ディズニーが20世紀フォックスを買収したことにより、企画は立ち消えとなった。紆余曲折を経た上での棚上げにはテイタムも深い心の傷を負ったようで、「『ガンビット』がなくなったことが大きなトラウマになりました。マーベルを自分から遮断したので、映画もまったく観られていません。あまりにも悲しかった。演じる準備は万全だったから、まるで友人を失ったようでした」と複雑な心境を吐露していた。
だからこそ、『デッドプール&ウルヴァリン』におけるガンビット役出演はテイタムにとって念願の瞬間になったはずだ。ガンビットは、手に持つ物体に破壊エネルギー(キネティック・エネルギー)を込める能力を持ち、トランプや棒術などを駆使して戦うキャラクター。劇中でも、軽快なアクロバティックな動きで技を繰り出し、その強さを存分に発揮した。
『デッドプール&ウルヴァリン』終盤、カサンドラに支配されていたガンビットらは元いた世界に帰っていったと思われる。本作での登場を機に、テイタム版『ガンビット』の復活にも期待がかかるが、その運命やいかに。なお、『ガンビット』はロマンティック・コメディ風の映画になる予定だったことが伝えられている。
映画『デッドプール&ウルヴァリン』は大ヒット公開中。