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【特集】消えたホークアイの足跡を追う ― 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』「答えを見つける」関係者証言集

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編が初めて公開された2017年11月から、いよいよ劇場公開を翌日に控えた本日4月26日まで、おそらくクリント・バートン/ホークアイのファンは気が気ではなかっただろう。米Vanity Fair誌に写真が掲載されて以来、彼の姿はどこにも見えなかったのである。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)の後、ホークアイはどこへ消えたのか? 確かに撮影に参加していたはずのジェレミー・レナーは、一体なにを撮っていたのか? 本記事では、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』および『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』にまつわるホークアイの足跡を、関係者の証言者をもとに改めて追いかけることにしたい。

注意

この記事には、映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のネタバレが含まれています。

ホークアイはどこへ消えた?

クリント・バートン/ホークアイがマーベル・シネマティック・ユニバースに初めて登場したのは『マイティ・ソー』(2011)。S.H.I.E.L.D.の一員として登場し、少ない出番で強い印象を与えた。つづいての出番となった『アベンジャーズ』(2012)では、冒頭からロキの洗脳を受け、ヒーローの前に立ちはだかるという役割を担う。ただし同作ではロキを追い詰める重要な役割を担うなど、ヒーローとしての活躍もきちんと用意されていた。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)では、前作以上に優れた戦闘能力を発揮するとともに、ワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチやピエトロ・マキシモフ/クイックシルバーとの関係を築くというポジションも担う。妻子がいることも判明するなど、ヒーローとしての精神性を示すとともに、一人の男性としての表情も見せたのだった。

そんなホークアイの、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』以前の最後の出番となったのが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』だ。トニー・スターク/アイアンマンによって行動を制限されたスカーレット・ウィッチを救出すべく現れたほか、アントマンとのタッグなども大きな見せ場となった。ただしキャプテン・アメリカ側についたために、劇中ではラフト刑務所に投獄されている。ラストでキャプテン・アメリカが刑務所を襲撃して以降、ホークアイはどこへ消えたのだろう?

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』より ©Marvel Studios 写真:ゼータ イメージ

その大きなヒントとなるのが、前日譚コミック“Marvel’s Avengers: Infinity War Prelude”に描かれている「その後」の様子だ。刑務所から救い出されたあと、クリントは「楽しかったよ。でも正式に引退してるってことは信じてほしい」と話し、妻子のもとへ戻っているのだ。そもそも『シビル・ウォー』でソコヴィア協定が話題に上がった時点で、彼は引退を宣言していたのである。

アンソニー&ジョー・ルッソ監督は、『シビル・ウォー』以降のチーム・キャプテン・アメリカ、そしてホークアイについてこう述べている

ジョー: キャップ側にいたキャラクターは、ある者がひとつの決断をすれば、別の者は違う決断をしているわけです。そのことが、彼らをあらゆる意味で別々の道へ進ませる。つまり本作で、ホークアイは彼自身の旅に出ているんです。

アンソニー: そう。彼は『シビル・ウォー』の状況にも独特の反応をしていて、それがこの映画では、彼を特別な場所に導いているんですよ。

ホークアイをめぐる証言の数々

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のプロモーションで、マーベル・スタジオは徹底してホークアイの姿を隠している。予告編やスポット映像に登場していないばかりか、ジェレミー・レナーは各地のイベントや取材、果てはワールド・プレミアの会場にも現れなかったのだ。ケヴィン・ファイギ社長に至っては、ホークアイの不在は「(ホークアイにとって)史上最も良いことのひとつ」だと意味深なコメントを発しているほどである。

むろんこうした状況はファンの間でも大きな話題を呼び、二人の監督はインタビューでホークアイの動向を次々と尋ねられる事態となった。これに対して、アンソニー監督は「(不在の理由は)映画を観ていただければ分かります。すべてが物語に深く関係しているんです」答え、ジョー監督は「彼にはちょっと長めのストーリーを用意しました」述べている
そのヒントとなるのは、やはりクリント・バートンという人物に妻子がいることだろう。米Entertainment Tonightの取材で、ジョー監督はやや踏み込んで「(『シビル・ウォー』を経て)逃亡者となった男は、その問題に答えを出さなくてはいけません。特に、彼には家族がいるわけですから。その答えを知ることになりますよ」と話したのだ。

ホークアイの活躍の予感は、ほかの関係者の証言からもうかがえる。たとえば小道具担当のラッセル・ホビット氏はホークアイのために新たな小道具や武器を製作したことを明かしているし、ジェレミー・レナーも作品内容には言及しないながら、「(撮影現場で)とても驚くようなことをたくさんやっている」と話していたのである。ちなみに一部でささやかれている、ホークアイが日本刀などを扱う戦士ローニンとして登場するのではないかという説について、その真相は明らかになっていない。

ちなみにアイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.やジョー監督は、プロモーションでホークアイの不在を積極的にイジっていく姿勢だ。ジョー監督が「撮影を半分終えた頃、ロバートが“あれ、ジェレミー・レナーはどこ?”って言うんですよ。僕は“しまった!”ってね(笑)」と冗談を言えば、ロバートは『ホーム・アローン』(1990)を引き合いに出して「彼はマコーレー・カルキンだから」と乗っかる始末である。さらにサノスに勝てるヒーローと尋ねられた際、二人はこんなふうにコメントしたのだった。

ロバート: これは僕の予想ですけど[中略]、ジェレミー・レナーがポスターにいないのは、彼だけがサノスに勝てるからでしょう! 違うな、ジェレミーか。ジェレミーだけがサノスに勝てる(笑)。

ジョー: ホークアイこそがサノス。

ジェレミー・レナー

ジェレミー・レナー
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/14779748196/

1971年生まれのジェレミー・レナーは、1995年から俳優としてのキャリアをスタートさせ、テレビや映画で実績を重ねてきた。初めて大きな注目を集めたのは2002年の『ジェフリー・ダーマー』で、実在の殺人鬼を演じてインディペンデント・スピリット賞にノミネートされている。その後、『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2007)や『28週後…』(2007)などに出演、『ハート・ロッカー』(2008)と『ザ・タウン』(2010)ではアカデミー賞を含む複数の映画賞にノミネート、受賞を経験した。

マーベル・シネマティック・ユニバース以外では、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)と続編『ローグ・ネイション』(2015)に出演して人気を得ているほか、『ボーン・レガシー』(2012)、『エヴァの告白』(2013)、『アメリカン・ハッスル』(2013)、『メッセージ』(2016)など話題作に多数出演している。
現在は、スカーレット・ウィッチ役のエリザベス・オルセンと共演したクライム・サスペンス『ウィンド・リバー』(7月27日公開)のほか、本気の鬼ごっこを30年間続けてきた男たちを描く衝撃の実話映画『タグ(原題:Tag)』が待機中。アクション俳優としての魅力と繊細な演技、その両方が今後も期待されるばかりだ。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://cpn.disney.co.jp/avengers-iw/

Sources: io9, ET

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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