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「ヒーローとヴィランは似ている」『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』驚愕のテーマ判明か ― サノスはダース・ベイダー10人分?

マーベル・シネマティック・ユニバース史上最凶のヴィラン、サノスがまもなく観客の前に姿を現す。ヒーローたちはこの恐るべき帝王を倒すことができるのか……。
映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、もしかするとそんな「ヒーロー対ヴィラン」という単純な図式すら破壊するような可能性を秘めているのかもしれない。脚本家・監督チームがサノスについて語る言葉からは、本作に隠された驚愕のテーマが透けて見えてくるようだ。

注意

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレと捉えうる内容が含まれています。

史上最凶、しかし共感できるヴィラン

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で監督を務めるのは、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)のアンソニー&ジョー・ルッソ。脚本には、同2作を執筆したスティーヴン・マクフィーリー&クリストファー・マルクスが起用された。
彼らは本作について、「サノスの映画」であると口を揃える。ヒーローたちがコラボレーションを果たす映画なのではなく、これは「サノスの映画」なのだ。

2017年夏、撮影現場にて行われたインタビューで、アンソニー監督は本作が「サノスの決断に依るところが大きい」ストーリーだと明かしている。

アンソニー: インフィニティ・ストーンを手に入れるため、彼は非常に積極的な動きを見せる。サノスにとっても過去にないほど実戦的な行動に出るんです。決めたことは確実に実行するし、映画全編を通して、彼はヒーロー全員の先を行くことになる。その過程で、サノスはヒーローたちに大きな痛みを味わわせることになるでしょうね。

その恐ろしさを、ジョー監督は「ダース・ベイダー10人分くらい(笑)」とジョークを交えつつ説明する。

ジョー: とにかく僕たちの仕事は、サノスをマーベル・ユニバース屈指のヴィランにすることでした。それがサノスのコミックにおける役割ですし、この映画における役割でもあると。ずば抜けたヴィランにするため、極悪なことをやらなきゃいけませんでしたね。

しかし米Fandangoのインタビューで、ジョー監督は「サノスにはゾッとしたり、共感したりしてもらえると思います」とも述べている。すなわち史上最凶のヴィランは、ただの「極悪」ではないということか……。

ジョー: 僕たちは深みのあるヴィランが大好きなんですよ。『ウィンター・ソルジャー』を撮りたいと思ったのは、キャプテン・アメリカが偶然にも親友と戦うことになってしまうという展開があったから。悪役として非常に豊かな背景があり、現実的なドラマが秘められている、そんな複雑なヴィランが好きなんです。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のジモはアベンジャーズの犠牲者で、家族が死んでしまった責任が彼らにあると考えている。
つまり僕たちは、ヴィランの人間的な部分を発見しようとしているんですよ。あらゆるヴィランのストーリーにおいて、彼らはヒーローなんです。彼ら自身の見方でいえばみんな正しい。ヴィランが複雑であるほど、ヒーローも複雑になり、結果としてストーリーが面白くなるんです。

ヒーローとヴィランは「似た者同士」

こうした監督たちの言葉には、脚本家コンビの発言もきちんと呼応している。「これはサノスのオリジン・ストーリーだと言える」とまで言わしめた本作のストーリーには、いったい何が描かれているのだろう?

スティーヴン: サノスはインフィニティ・ストーンを集める冷酷なマシンではない、ということを描くのは大きな挑戦でした。ショッピングのようにストーンを集めるわけではないんです。だからエモーショナルなストーリーをきちんと用意したかった。[中略]自分の望みを叶えるために決断せねばならないという意味で、彼は従来のヒーローと同じ重みを背負うことになるでしょう

これまで『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に関しては、サノスの背景がインタビューで複数明かされてきた(詳細はこちらの記事12をご覧いただきたい)。しかし、これらの背景は本編では描かれない可能性も示唆されている。
「サノスのオリジン・ストーリー」とは2017年夏の発言ゆえ、こうした性質が完成版から削除されていることもありえないではないが……むしろここでのポイントは、サノスが「ヒーローと同じ重みを背負う」というところにあるだろう。

クリストファー: 登場人物たちには、常に選択肢を与えたいと思ってきました。“もう何も選べない”というのではなくて、決断するためには別の選択を捨てなければならないという状況を作りたかった。でも、たとえばエイリアンがニューヨークに攻めてきた時、彼らはどうするでしょう? 戦わないってことがありますか? 戦わなきゃいけませんよね。
そういう展開を批判するわけではありませんが、この壮大で長い物語を引っ張るため、物事をわかりやすくしたくなかったし、“彼はああしたけど、僕ならそうはしなかったかも”というような状況を維持したかった。全員をそうしていくと、彼らが目的を達成した後に“あっ、こうすべきじゃなかった”って気づくまで、ヒーローとヴィランは似た者同士になるんですよね。

「史上最凶」と称されたヴィランに共感できるような内面があって、彼がヒーローと同じような選択を迫られており、ただ手段が違うだけなのだとしたら? 以前ルッソ監督は本作で「ヒーローの本質を扱う」述べていた。その真意は、もしかして想像を絶する形で私たちの目の前に現れることになるのかもしれない。

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』公式サイト:http://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-iw.html

Sources: SR(1, 2), Fandango

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。